上 下
223 / 754
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第313話 迷宮都市 サヨさんとの昼食

しおりを挟む
 華蘭からんに入ると老紳士が直ぐに応接室へ案内してくれる。
 その後、店員さんが紅茶とフルーツの盛り合わせをテーブルの上に置き部屋から出ていった。
 
 私は出された紅茶と綺麗にカットされた桃を食べる。
 もう完全に超VIP待遇だよね~。
 本当、落ち着かないわ……。

 しばらくすると老紳士がサヨさんと一緒に部屋へ入ってきた。
 立ち上がり、お互い挨拶を交わす。

「いつもお世話になってます。今日もサヨさんをお借りしますね」

「こちらこそ大変お世話になっております。本日も家内をよろしくお願い致します。それとご注文頂いております『スヌード』が出来上がりましたのでお納め下さい。『耳当て』の方は、来週土曜日の朝には完成品を全てお渡し出来そうです」

 老紳士にマジックバッグを手渡されたので、商品を私のマジックバッグに入れ替える。

「ありがとうございます。こんなに早く納品してくれて助かります。これで子供達に寒くなる前に渡す事が出来そうです」

「迷宮タイガーの皮やリッチのマントを卸して頂いたのですから当然ですよ。今後共、是非ぜひ当店をよろしくお願い致します」

「はい、勿論もちろんです。後は靴と服ですね。こちらはどれくらいかかりますか?」

「後3週間程みて頂けると幸いでございます」

「分かりました。ではサヨさん、行きましょうか」

「はい。それじゃあ貴方、行ってくるわね。帰りは遅くなると思うから夕食は適当に食べて下さいな」

 サヨさんの言葉に一瞬老紳士の顔が引きる。
 客の前なので何か言いかけた言葉を飲み込んだようだ。

 またしても、昼食と夕食を自炊する事になり老紳士はショックを受けたらしい。
 料理が出来ない男性は、妻がいないとまともな食事にありつけないのか……。

 異世界には便利なインスタント食品が無いから、外食するくらいしか食事を取る事は難しいだろうなぁ。

 サヨさんを連れ一旦いったん、兄達を教会まで迎えに行く。
 流石さすがに説教は終わっていたらしく、2人はシルバーとフォレスト相手に芸の続きを教えていた。

 あの昏倒させた3人の護衛達は一体誰が運んだんだろう?
 まっ、そんな事はどうでもいいか。

「お兄ちゃん、家に帰るよ~」

「サヨさんこんにちは。今日も妹の手伝いをしてくれるそうで、ありがとうございます」

「まぁ、私の孫なのに固い事を言わないで。おばあちゃんですからね。いつでも孫に会いたいのよ」

「そうでした。では今日の昼食も楽しみにしています」

「ええ、任せて頂戴ちょうだい

「俺も、ご相伴しょうばんに与ります」

勿論もちろんですよ。リクエストがあれば遠慮なく言って下さいね」

「わぁ~ありがとうございます!」

 全員でホームの自宅に戻ると午前11時を過ぎていた。
 旭はサヨさんへ、本当に遠慮する事なく好物をリクエストしていた。

 お昼のメニューは、ぶり大根・イカの煮付け・ニラ玉・豚汁と至って和食になった。

 旭の母親は余り料理が得意ではなく煮物関係は全滅だったらしい。
 よく家に遊びに来て、お母さんの料理を美味しそうに食べていた。 
 
 サヨさんにぶり大根とイカの煮付けをお願いし、私は豚汁とニラ玉を作る事にする。
 アイテムBOXから材料を出してサヨさんに渡す。

 先週も作った気がするけど……。
 兄と旭は豚汁が好きなので問題ないのだろう。

 家の豚汁には、里芋・さつま芋・牛蒡ごぼう・人参・大根・コンニャク・豚肉が入ってかなり具沢山になる。

 大量に作るので野菜を切る手間も大変だ。
 私は黙々と野菜を切っていった。
 
 サヨさんはテキパキと煮物を作り始める。
 1時間後、昼食の用意が出来たのでリビングでまったりしている兄達を呼んだ。

「頂きます!」

 全員で食前の挨拶を済ませると、ず旭が豚汁にはしをつける。
 私はぶり大根から頂こう。

 うん、お母さんの味と一緒だ。
 兄はイカの煮付けから食べていた。

 サヨさんは私の作った豚汁を飲み、「美味しいわ」とめてくれた。
 えへへっ、嬉しいな~。
 
 そうだサヨさんに確認したい事があった!

「サヨさん。冒険者の高レベルな人は、寿命が延びるって聞いたんですけど本当ですか?」

「ええ本当よ。この世界の人達の平均寿命は大体85歳前後だけど、高レベルの冒険者の方は120歳くらいまで生きる人が多いわね」

 ま・じ・かっ!

 他人のステータス表記が見られないから、高レベルと言われても何Lvの事を言っているのか分からないけど……。
 きっと拠点にしていたダンジョンで決まってくるんだろう。

 バスクさんが地下19階を攻略しているのを聞いて、母親は高レベルの冒険者と判断したから地下20階層辺りが目安になるのかな?

 となると摩天楼まてんろうのダンジョンを攻略しているA級・S級の冒険者は120歳以上生きる可能性があるって事か……。

 異世界はLvが肉体に及ぼす影響が大きいようだ。

 バスクさんが後60年近く生きる事になるのなら、20代後半の母親の再婚相手でも大丈夫だろう。

 ただし、5歳の子供がどう思うか分からないけど……。

 この世界では、父親がお爺ちゃんくらいの年齢でも普通なのかも知れないなぁ。
 意外な情報を聞き色々考えてしまう。

 連れ合いが冒険者じゃなければ、先に旅立たれてしまう事になるだろう。
 普通の人間が長命なエルフとの結婚を躊躇ためらうのは、生きる時間が違うからだ。

 同じLvの冒険者同士なら問題ないけど、相手が一般人であれば年齢は気にするだろうなぁ~。
 
 バスクさんと若い母親は、意外と釣り合っているのかも知れない。
 長生きするのなら相手は若い方が良いかもね。

 これは店のオーナーとして、一肌脱ぐべきかしら?
 どうしたら自然に顔見知りの2人を良い仲にする事が出来るだろう……。

 私は恋愛に関して余りアドバイス出来る程、経験豊富じゃないのよね~。
 リリーさんを落とした、ダンクさんに話を聞いてみようかな?

 兄達は幼馴染から自然に恋人になったパターンだから、聞いても無駄だろう。
 なるべく一緒に顔を合わせる機会を作り、本人にアプローチを頑張ってもらうしかないか。

 そう言えば聞いていなかったけど『製麺店』の従業員達に、結婚歴はあるのかしら?
 50代後半から60代前半の人達なので、もしかしたら以前は結婚していたかも知れない。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される

鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。 レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。 社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。 そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。 レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。 R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。 ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。

最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。 幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。 白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました

桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて… 小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。 この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。 そして小さな治療院で働く普通の女性だ。 ただ普通ではなかったのは「性欲」 前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは… その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。 こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。 もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。 特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

姫プレイがやりたくてトップランカー辞めました!

椿原 守
BL
上月千尋(コウヅキチヒロ)は人気VRMMOのランキング上位チームに所属していた戦士だった。 ある日、性別や名前を変更できる課金アイテムが追加された。(※ただし使用は1回切り) ゲームアップデートが無ければ、先行攻略組こと通称ガチ勢はやることが少ない。 ここ最近、マンネリを覚えていたチヒロはこれを機に男キャラから女キャラへ転身を決意。 ちょうど良い機会だからと、ずっとやってみたかった姫プレイ(ネカマプレイ)を始めてみることにした。 あれ? 楽勝ウハウハの貢がれプレイを期待してたのに、なんか思うように上手くいかないんですけど!? ※ムーンライトノベルズにも掲載中です。

愛を知らない僕は死んじゃう前に愛を知りたい

しおりんごん
BL
「そうか、ぼくは18さいでしんじゃうんだ。」 僕、ルティアーヌ・モーリスは いわゆる異世界転生をした元日本人だった   前世の記憶をたどり、、、思い出したことは、、、 ここはBL小説の世界だった そして僕は、誰からも愛されていない 悪役令息 学園の卒業パーティーで主人公を暗殺しようとして失敗した後 自分の中の魔力が暴走して 耐えきれなくなり、、、 誰とも関わりを持たなかった彼は 誰にも知られずに森の中で一人で 死んでしまう。 誰も話してくれない 誰も助けてくれない 誰も愛してくれない 、、、、、、、、、。 まぁ、いいか、、、前世と同じだ 「でも、、、ほんの少しでいいから、、、        、、、愛されてみたい。」 ※虐待・暴力表現があります (第一章 第二章の所々) ※主人公がかなりネガティブで病んでいます(第一章 第二章の所々) ※それでも超超超溺愛のストーリーです ※固定カプは後々決まると思いますが 今現在は主人公総受けの状況です ※虐待・暴力表現など、いろいろなきついシーンがある話には※をつけておきます ※第三章あたりからコメディ要素強めです ※所々シリアス展開があります

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。