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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第299話 迷宮都市 商業ギルドでリッチのマントを卸す 1 

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 2人&2匹と一緒にアパートの駐車場まで移転して自宅に入る。

 カキフライを揚げながら、大きな皿にポテトサラダ・千切りキャベツ・ナポリタン(アイテムBOXに収納済みの物)を見栄みばえ良く盛っていく。

 カキフライの油切れを待っている間に、朝の残りの豚汁を温め直して兄達用の丼ぶりにご飯をよそった。
 最初は普通のお茶椀で出していたけど、お代わりを何回もするので面倒になって以降は丼ぶりに変更したのだ。

「頂きます」 

 3人同時に手を合わせ、食事前の挨拶を言って夕食を食べ始めた。
 カキフライは季節物だから、時期になると無性に食べたくなるんだよね~。

 カキの土手鍋も出汁が一杯出て美味しいんだけど……。
 生ガキもカキのグラタンもカキのオイル煮も食べたい!

 海のミルクと言われているくらい栄養豊富で、女性の体には良い食べ物だ。
 熱々のカキフライを一口かじると、プリプリでジュワっとカキの旨味が口の中に広がる。

 やっぱりカキフライは最高に美味しい~!

 お店の値段は高いけど、家で揚げれば1人数百円で食べられる。
 節約出来る所はしないとね。
 揚げ油はフィルターに通せば10回は使用出来るし。

 この間サヨさんが天麩羅てんぷらを揚げたので、油を新しくしたばかり。
 酸化が進まないようにアイテムBOXに収納しておいたのだ。

 そうだ明日の予定を旭に伝えておかなくちゃ。

「旭。明日は炊き出し前に、商業ギルドに行ってリッチのマントを卸すから1時間くらい早起きしてね」

「了解! どれくらい買い取ってもらえるかな~?」

「アイテムBOXに何枚あるの?」

「う~ん、1万枚以上はあると思う」

 やっぱり!
 11年分溜め込んでたよ!

流石さすがに全部は無理だと思う。100枚くらいなら、定期的に買い取ってくれそうだけどね」

「100枚でも金貨1,000枚(10億円)以上でしょ? ダンクさんに感謝しないと」

「来週、お礼代わりにお土産を渡しておくよ!」

 何の土産・・かは内緒にしておこう。
 同性でも知られたくない事だってある。

 しかも現在若い2人には無用な心配だ。
 日本にいた時は、どうだったか知らないけどね。
 50歳だった兄には必要だったかも?
 45歳で亡くなった旭は、ぎりぎり大丈夫な年齢だろうか……。

 まぁダンクさんだって恥ずかしい思いをするだろうし、迷宮ウナギの事は秘密だ。
 まだ40歳なのになぁ、大変だよね~。
  
 食事を終えて2人は自分達の部屋に帰っていった。
 
 翌日朝6時。
 旭が時間ぴったりに部屋にきた。

 珍しく新調したばかりの服を着ている。
 きっと兄が商業ギルドに行くと知って助言したんだろうな~。

 旭は、そういう事にはうといから……。
 着ている服から受ける第一印象は、かなり重要になってくる。
 しかも行先は商業ギルドだ。

 そこは海千山千の商人達の巣窟そうくつと言っても過言ではない。
 古着なんか着て入り、足元を見られる訳にはいかないのだ。 

 冒険者ギルドも商業ギルドも基本的に24時間営業。
 朝の6時に行っても問題ないから、教会の炊き出しに間に合うように今から出発しよう。


 商業ギルドの受付嬢に「リッチのマントを卸しにきました」と伝えると、なんだかあわてて席を外してしまった。

 ???

 しばらく待っていると如何いかにも寝起きですといったカマラさんが、髪がボサボサの状態でやってきた。
 私達が受付カウンターの前で待っている事を知り、カマラさんが受付嬢に注意をしている。

 いつもは直ぐに応接室に案内されるから忘れていたんだろうな。
 受付嬢から待たせた事を謝罪され応接室に通される。

 数分後ノックの音がした後で、カマラさんが部屋に入ってきた。
 今度は髪がきちんと整えられていた。

 わざわざカマラさんを呼んでくれたのは、私達の担当にカマラさんが付いているという事だろうか?
 今まで『肉うどん店』と『製麺店』の契約しかしていないのに何故なぜかしら?
 
 商人なら担当者が付くのは分かるんだけど、私達はただの冒険者だ。
 それとも商業ギルドでは、1人1人担当者が付く決まりでもあるのかな。

 朝6時に行ったので、まだ寝ている所を起こしてしまったらしい。
 職員は商業ギルドの建物内に住んでいるのか……。

「お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありませんでした。本日はリッチのマントを卸して下さるそうで……。念のためにおうかがいしますが、それは浄化済みの物で間違いありませんでしょうか?」

「はい、全て浄化済みの物になります。魔道具で調べてもらっても問題ありませんよ」

「承知致しました。それで、卸して頂けるマントは何枚ほどありますか?」

「沢山あるんですが、逆に何枚なら買い取ってもらえるんでしょうか?」
 
「はいっ? よく理解出来ないんですけど、お持ち頂いたのは浄化済み・・・・のリッチのマントですよね? そんなに数があるとは思えませんが……」

 カマラさんが、言っている意味が分からないと首をかしげてみせる。 

 見てもらった方が早いと思ったので、私は床に大きな布を広げて旭と一緒に200枚程出した。

 おっと、マントが山盛りになっちゃった。
 床一面にバサバサと無造作に積まれた色鮮やかなマントの量に、ちょっと出し過ぎたかしらと思ってカマラさんを見ると……。

 大量のマントを前に、カマラさんはあごが外れるんじゃないかと思うくらい、口を大きく開けて絶句ぜっくしていた。

 あれ?
 もしかして、また兄に怒られそうな感じかしら?
  
 旭と一緒にきた時点で、金もうけに目がくらんで沢山出したのはマズかったか……。

 旭と顔を見合わせアイコンタクトを取る。
 うん兄には、お互い内緒にしようね!
 怒られる事は2人で回避しよう!

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