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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第297話 迷宮都市 編み物教室&製麺店に娯楽の提供

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 そんな事を思いながら『肉うどん店』に到着。
 店内に入ると人数が増えていて驚いてしまう。
 
 30ある客席がほぼ埋まっていたからだ。
 サヨさんが知り合いに声を掛けてもらうと言っていたけど、ここまで大人数になるとは思わなかった。

 そして店内の年齢層が一気に上がる。
 皆、60代後半から70代前半の人達ばかりだった。

 母親達に挨拶をしてサヨさんの方へ向かう。

「サヨさん、こんにちは。人数がいきなり増えてビックリしたんですけど、皆さんお知り合いですか?」

「こんにちは、サラさん。皆さんが声を掛けてくれたらこんなに集まって下さったのよ。ボランティア・・・・・・だと伝えてあるから心配はしなくて大丈夫。『ポンチョ』も順調に出来上がっていますからね」
 
 それは人数が大幅に増えた所為せいですよね?
 10人だったすけが20人以上になってるんですから……。 

 まぁでも人数が増えるのは大変ありがたいので感謝だ。

「ありがとうございます。これで1ケ月後には、子供達全員の防寒着がそろいそうです」

「ええ、主人の店に注文してもらった『耳当て』と『スヌード』も問題ないみたいですよ」 

 今回私が準備した防寒着は、『耳当て』・『スヌード』・『腹巻』・『ポンチョ』の4つだ。
 当初予定していた毛糸のパンツは腹巻に、セーターはポンチョに変更になってしまったけれど、これで今年の冬は温かく過ごせるだろう。

 来年は今年予定していた手袋と、コカトリスの羽根を使用した羽毛布団に靴下をプレゼントする心算つもりだ。

 出来れば毛布もあげたいけど、羊系の魔物はこの先出てくるかしら?
 地下14階のフォレストウサギの皮で毛布にしようかな?

 体長3mもあるから皮1枚で子供用の毛布が2枚は取れる。
 なにより数が多いから、予定枚数はすぐにでも集まるだろう。

 母親達は『腹巻』を編み終わり、今は自分の子供用に教えてもらいながら『ポンチョ』を編んでいるそうだ。
 自分の子供に着せるなら、多少編み目が飛んでも良いしね。

 私は先週集計した子供達のサイズを書いた羊皮紙をサヨさんに渡すと、『製麺店』の従業員にセーターを編むためサイズを測りに行った。

 『製麺店』の中に入ると、店は既に営業を終了していた。
 135食分の『うどん』は完売したのだろう。
 迷宮都市の住人に主食として受け入れられているらしい。
 
 これからは寒くなるので、スープに入れて食べる家庭が増えるかも知れないな。

「こんにちは~」

「あぁ、オーナーいらっしゃい。昨日は迷宮ウナギをご馳走様ごちそうさまでした。ちょっとばかり効果・・があり過ぎて大変でしたけど……」

 そう言ってバスクさんは笑っている。
 60代の人にも効果はあったらしい!

 旭は昨日もバクバク食べていたけど、若いとそもそも効果はないのかな?
 
 昨日帰り際にバスクさんへ製麺店が開店してから半年たったので、今月から給料を銀貨10枚(10万円)にしますと伝え、差額の銀貨50枚(5×10人)を渡しておいたのだ。

 そのお金を持って、さては夜のお店に繰り出したか?
 そこら辺はプライベートな事なので、あえて詳しく聞かないけど。

 異世界の娼館は、一体幾らくらいするものなんだろう。
 お店によってレベルが違うかも知れないから一概いちがいには言えないか……。
 
 今日は従業員全員にセーターを編むので体のサイズを測りにきたと言うと、バスクさんはとても喜んで皆を呼んでくれた。

 セーターに必要な各サイズをひもを使って10人分測る。
 半年間麺打ちを続けたお陰か、足の不自由な5名の腕周りが太くなっている気がする。

 出会った頃とは違いたくましくなってきた体を見ると、今はお腹一杯食べる事が出来ているんだと分かった。

 一応好みの色も聞いておこう。
 紺・緑・茶色が人気だ。
 
 汚れが目立つ白色と、何故なぜか黒色は選ぶ人がいなかった。
 そう言えば、黒色の服を着ている人は少ない。

 兄はよく好んで黒系統の服を着ているけど、旭は逆に黒は着ないなぁ~。
 茶色や緑色が多いイメージだ。

 『製麺店』も麺が完売したら営業は終了なので、従業員達もプライベートな時間を持てて嬉しいだろうな。

 でも、午後から一体何をしているんだろうね~。
 皆、いい年齢だからのんびり自室でくつろいでいるのかな?
 
 この世界には娯楽が少ないし暇を持て余しているかも知れない。
 高齢者でも楽しめる物はなかったかしら?
 
 私はアイテムBOXの中を探して、楽しめるような物がないか調べた。
 ここは異世界定番のリバーシを出してあげよう。

 よく小説では販売し大儲けしている事が多いけど、私達は既に稼いでいるから売ったりはしない。
 ただの福利厚生として娯楽を提供するだけだ。

 本当は将棋や囲碁の方が、年齢的に面白いと思うけど残念ながら私はルールを知らなかった。
 今度、兄へ教えてくれるように頼んでみるか。
 兄は子供の頃から、祖父や父と将棋や囲碁を楽しんでいたからね。
 旭もそれに付き合って遊んでいた気がする。

 マージャンは……、賭け事をしそうなので却下だ!
 冒険者達は賭け事が大好きだという事を桃で思い知ったばかりだ。

 私はバスクさんにリバーシのやり方を説明してから一度対戦する。
 まっ、最初だから私の圧勝よ~。

 兄には一度も勝てた試しがないけどね!
 旭とは勝ったり負けたりと、五分五分の勝負だ。

 バスクさんは私に負けると、相手を他の従業員に変えて再び対戦を開始する。
 従業員全員が遊べるように、リバーシを追加で4個出して渡してあげた。

 それぞれがテーブルに着いて、皆が真剣な表情でゲームを始める。
 非常に簡単なルールなので、直ぐに角を取った方が勝てると分かるだろう。

 まぁ強い人は角なんか取らずに勝てるんだけどね。 
  
 皆が夢中になっているので、私はそろそろ編み物教室に戻る事にしよう。
 
 あっ、セーターを編むのは私じゃないって伝え忘れたよ。
 1ケ月で10名分のセーターを編む時間は無いからね。

 老婦人達が編んでくれる事になると思います。
 誰が編んでもセーターには変わりないので大丈夫だろう。

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