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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第289話 迷宮都市 地下14階 迷宮ウナギの蒲焼

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 3回目の攻略開始。
 2人はフォレストの背に乗り、Lv上げマラソンに行った。

 私はそろそろ出現する迷宮タイガーを狩りに、トレントの森へシルバーに乗っていく。

 おっ、ちゃんと2匹いるよ。
 脳を石化して収納。
 
 兄はフォレストと一緒に行動しているので、どうやら迷宮タイガーを狩るのは止めにしたらしい。
 可愛がっている魔物と、同じ種類を狩る事が出来なかった私を笑っていたのにね。

 私は3匹目のテイムだから少し耐性がついた。
 まぁ迷宮タイガーの換金額が高いのと、出現数が極端きょくたんに少ない事もあるけど……。

 1日6匹しかダンジョンにあらわれないなら全部狩るでしょ!
 その後は出てきた魔物を倒しながら、薬草採取をのんびりとした。

 3時間後、再び安全地帯のテントに戻る。
 自宅でトイレ休憩を済ませ夕食作り開始。

 今日は楽しみにしていた迷宮ウナギの蒲焼かばやきだ!
 サヨさんが作ってくれた物は美味しかったので、2パーティーにもお裾分すそわけする予定でいる。

 あっ、でも男性はあまり食べ過ぎない方がいいのかな?

 アマンダさんに手を出す人はいないと思うけど……。
 同じパーティーメンバーには、恋人はいないみたいなんだよね。

 クランリーダーで魔法士の彼女には、男性陣が尻込みしそうだ。
 リリーさんにはダンクさんがついてるから大丈夫か。

 私はきっと幼く見えているので30過ぎの男性には対象外だろう。

 年齢を聞かれた事はないけど、冒険者登録出来る10歳から計算すると15~16歳くらいに見られてるんじゃないかしら?
 
 数ケ月後には20歳になる事を知ったら皆が驚くかも?
 兄達2人に効果が無いのは実証済みなので問題ない。

 『バーベキュー台』をマジックバッグから取り出して、迷宮ウナギを適当な大きさに切っておく。
 これは本当ならご飯と一緒に食べたかったわ。

 ダンジョンでお酒は飲めないけど『肝焼き』も好きなので、大きな肝を小さく切り串に刺す。
 鰻だけでは栄養が足りないので、各種野菜も切って皿に乗せた。 

 まずは弱火でじっくり火を通していき、スーパーで購入しておいた『鰻のタレ』にくぐらせて再び焼いていく。

 この日のために、ホームセンターでお高い備長炭びんちょうたんも購入してきたのだ。
 ホーム内は24時間営業しているし、マッピングで移動すればお店まで一瞬で行けるからね。

 それを数回繰り返して『鰻のタレ』を収納。
 この『鰻のタレ』は今後もずっと継ぎ足し使用していく心算つもり
 いつか老舗しにせの味に近付くだろう。

 『鰻のタレ』が焼ける暴力的な匂いに、2パーティーが集まってきた。
 うん、良い匂いだよね~。

「サラちゃん、今日は何を焼いているんだい?」

 アマンダさんの目は鰻に集中している。

「迷宮ウナギです。皆さんの分もありますから、心配しなくて大丈夫ですよ!」

「迷宮ウナギ!? 今夜はご馳走ちそうだね!」

 アマンダさんの目がキラーンと光った。
 上級冒険者でも滅多に口に入らない食材らしい。

 毎日、旭が全滅させてアイテムBOXに一杯入っていると思うけどね。

 焼きあがった『鰻の蒲焼』と『肝焼き』を2パーティーへ皿に盛り渡してあげると、昨日肉の争奪戦そうだつせんに負けたダンクさんが一番にはしをつけて食べ始める。

「何だこれっ! 俺の知ってる迷宮ウナギの食べ方と味じゃない!」

「どうやって料理するんですか?」

「スープの中に入れて食べるんだよ。焼いて食べたりはしない。それにしてもすごく旨いな。このたれも秘伝・・かよ~!」

「ええ、当然秘伝・・ですよ~」

 鰻のタレは渡せないけど、白焼きで食べても充分美味しいし『焼肉のタレ』でもイケるんじゃないかな?
 
 アマンダさんは、『肝焼き』を食べて何故なぜ酒がないんだと叫んでいた。
 お酒がないのはダンジョン攻略中だからですよね?

 いくら安全地帯で休憩出来るとはいえ、翌日にお酒を残したまま攻略に行ったら命の危険につながるので、冒険者達はダンジョン内で絶対にお酒は飲まないのだ。

 1ケ月の禁酒になるので、地上に帰還した後は大抵パーティーメンバーで宴会えんかいするらしい。

 深層を攻略している冒険者は半年以上の禁酒となるので、アル中の人は意外と少ないかも?
 冒険者なら強制的にお酒が抜ける環境にある。 
 
 兄達は毎晩自宅で1~2杯晩酌ばんしゃくをしているみたいだけど、お酒の量は減らしているみたい。
 その代わり毎週金曜日は飲みに行ってるけどね~。
 2人ともお酒は飲む方だ。

 もしかして、酔った勢いで2人の関係は始まったのかも?
 男女の仲でもよくあるらしいし……。

 朝起きたら、お互い裸のまま同じベッドで眠ってたのかしらね~。
 その時の2人の様子をリアルタイムで見られたら面白かったのになぁ。

 旭が半泣きしてそうね。
 兄は意外と冷静にパジャマを着てそうだ。
 無言でなかった事にと目で語っているかも知れない。

 今日も旭が『鰻の蒲焼』をバクバク食べている。
 毎日全滅させてくれているので文句は言わないわ。

 1匹体長5mもあるから、いくら食べても大丈夫よ!
 兄は『肝焼き』を食べながら、日本酒があればなぁ~とつぶやいていた。

 私はその間に野菜も焼いて食べる。
 自宅に戻ったら、鰻を細かく切ってお茶漬けにして食べよう。

 あ~もう、迷宮ウナギが美味し過ぎる!!
 これが食べ放題なんて、地下14階は当たりだわ。

 兄の大好きなマンゴーもあるし、攻略するのが3ケ月だけじゃ勿体もったいないかも……。

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