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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第277話 迷宮都市 テイム魔法について

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 食後にコーヒーをれて、デザートにショートケーキを出すとサヨさんの目が輝いた。 

 本当に甘い物がお好きなんですね。
 異世界じゃ絶対に食べられないだろう。 

 兄には抹茶ケーキ、旭にはモンブランを出してあげる。
 私はチョコレートケーキにした。

 実はこのケーキ、以前兄に教えてもらったホテルのケーキバイキングの物。

 考えたらその場で食べなくても、全部アイテムBOXに収納すればいいんじゃない? と思って収納してみたのだ。

 これ多分ホーム設定の仕様の穴だと思う。
 結果、いくらでも収納出来た!

 2,000円で90分食べ放題だったから90分時間一杯、注文と収納を繰り返し大量にケーキをゲットする。
 ケーキ屋さんのケーキより、ホテルのパティシエが作るケーキの方が美味しいんだよね~。
 
 『手紙の人』が気付いて修正される前にと思って、そりゃもう必死に注文しましたよ!
 一度に3個までしか注文出来ないから、延々と電子メニューをタップし続けたのだ。

 現在かなりアイテムBOXには各種ケーキが収納されている。
 もう笑いが止まらない状態ですよ。 

 まぁきっと今回だけかもしれないけどね。

 兄と蟹懐石を食べに行った時、デザートまで一遍いっぺんに出てきた事があって文句を言ったのだ。
 その後、電子メニューに《お任せ》と《お好みで》と《タイミング》が表示されるようになった。

 今思えば、ポイントカードが使えるようになったのも文句を言った後だったし。
 その割に、コーヒーチケットはいまだに使えないままだけど……。

 いつか要望が通るかも知れないと思い、コーヒーチケットは捨てずに大切にアイテムBOXに収納してある。

 『手紙の人』、私達を見ているならどうかコーヒーチケットを使えるようにして下さいね!

 さて、テイム魔法の事を聞いておかなければ。
 サヨさんが、ケーキを食べ終わるの待って話を切り出す。

「サヨさん。今日、冒険者ギルドに行って2匹の従魔じゅうま登録をしてきたんです。そうしたら1人で2匹テイムしている事に驚かれてしまって……。この世界の人は1匹しかテイム出来ないんですか?」

「まぁ、2匹もテイムしているの? それは驚かれるでしょうね。1匹テイムするのに、かなりのMPが必要だと聞いていますから……」

 ああ、それでかっ!
 この世界のHP/MPの基本値を忘れていたわ。

 年齢が基準となるので、10歳で冒険者登録をしてLvを上げてしまうと基本値が10になってしまう。
 Lv20だとMPは10×21=210しかない。

 私の場合48歳でLvが上がったので、Lv20だとMPは48×21=1,008だ。
 テイムに必要な魔物Lvにもよるだろうけど、最低100は必要だと思っていい。

 Lv20の人が1匹テイムすると210-100=110しかMPは残らないから、2匹目をテイムするのは難しいんだろう。
 何かあった時のためにMPは温存しておきたいからだ。

 冒険者ギルドで驚かれたのは私が2匹(高レベルの魔物)をテイムしても、冒険者活動に支障が出ないくらい残存MPがあると思われた所為せいだ。

 という事は、私かなりLvが高い冒険者だと思われていそう……。
 まぁ実際にLvは35あるんだけどね。

 Lv30と見られているとすれば10×31=310。
 2匹のテイム消費分200と考えて引くと310-200=110か。

 19歳で地下14階を攻略している3人パーティーのC級冒険者。
 しかも2匹テイムしているとなれば、驚かれるのも無理はない。

 もう目立ちまくりよね!

 これ以上有名になるのは勘弁してほしいところだけど、2匹の従魔じゅうま登録をした時点でアウトだろうなぁ。

 自分達の規格外のMP量を忘れていたのは、痛恨つうこんのミスだった。

「私達、『手紙の人』からかなりの保障を付けてもらってるんです。この世界の人よりMPも多いので、2匹テイムしても問題ないんですよ」

「そうなの? 本当にうちの孫達はすごいわね。所でテイムしている2匹の従魔じゅうまは何かしら?」

ゴールデン・・・・・ウルフと迷宮タイガーです」  

ゴールデン・・・・・ウルフですって!?」

「ええ。シルバーウルフから進化してくれました」

「テイムされた従魔じゅうまが進化するなんて、聞いた事もありませんよ!?」

「そうなんですか?」

 まずい、またやらかしてしまった。
 ギルドマスターが従魔じゅうま登録用紙を見て、目を見張っていたのはそれが理由かっ!

 ゔ~ん。
 こりゃもう取返しがつかないわ。

 こうなったら迷宮都市最強パーティーを目指そう。
 それで全て解決だ!!

 ……多分。

 あぁ、昨日の内にもっとよく聞いておくんだった。
 後悔しても今更遅いけど、兄の私を見る目が鋭くなってるよ……。

 サヨさんが帰ったら確実にお説教コースだ。
 隣の旭は可哀想かわいそうな子を見るような目で私を見ている。

 サヨさん、ずっと一緒にいて~。
 
 私の願いもむなしく、サヨさんは夕食を作りに家に帰る事になった。
 その際、調味料をお土産として渡すととても感激して頂けた。

 サヨさんを家に送り届た後、兄から懇々こんこんとお説教を受けたのは言うまでもない。 

 正座しすぎて足が痛いです……。
 
 気が付かなかった兄も同罪なのに~。
 いえ反論はしませんよ?
 これ以上、お説教は受けたくないので……。

 サヨさんを送ってから2時間後。
 私達は再び夕食をご馳走ちそうになりに、『華蘭からん』へ向かったのだった。

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