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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第258話 地下14階 迷宮タイガーのテイム 3
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「沙良、今MPはどれだけあるんだ?」
兄が長考の末、口を開いた。
どうやら今回は、最初から駄目だという展開にはならないらしい。
迷宮ダイガーに騎乗してみたいのかな?
「MPなら1,180あるよ」
そして私はLv29という事になっているので、ステータスを見る訳にはいかず素早く計算する。
Lv29のMPが1,440で、シルバーとハニーのテイムに130×2必要。
マイナス260だから残りは1,180だ。
お母さん、子供の頃に算盤を習わせてくれてありがとう。
暗算が今、非常に役立ちました。
兄は算盤を習っていないので、暗算は得意じゃないのだ。
僅か3秒足らずで答えを出したので、不審には思われまい。
実際はLv35でMPが1,728あるので、ステータス表記は1,468だけどね。
「そうか、MPは1,000は残しておきたいから1匹ならテイムしていいぞ」
「本当!? ありがとう、お兄ちゃん! じゃあ今から迷宮タイガーの所にいこう!」
兄からテイムのOKを貰ったのは初めてだ。
マッピングで迷宮タイガーが2匹出現しているのを確かめて、私はご機嫌で駆け出す。
「こらっ、嬉しいからって俺達を置いて走り出すんじゃない!!」
後ろの方で兄が何か言っていたけど、既にかなり離れているので聞こえないふりだ。
迷宮タイガーはトレントの森奥深くにいる事が多い。
先程トレントを狩って中央まで道を作ったので、中央まではトレントから攻撃を受ける事なく走り抜ける。
道が途切れたら迷宮タイガーまで一直線になるように、トレントを瞬殺し収納していく。
マッピングを使用すると、本当に効率良く攻略が出来るので助かるわ~。
迷宮タイガーまで後数メートルという所で立ち止まった。
2匹いるけど多分番なんじゃないかと思う。
私が魅了魔法でテイム出来るのは雄だけだから、雌が襲ってこないよう先にドレインで昏倒させておこう。
2匹が横倒しになって倒れた後で、久し振りに魅了魔法をかけてみる。
1匹が起き上がってこっちに近付いてきた。
この子が雄の方なのかな?
雌の方は脳を石化し収納しておいた。
「貴方の名前はフォレストよ。これからよろしくね!」
名付けを済ませてステータスを確認。
今回はトレントの森にいたので森から名前を取った。
現在テイム中 迷宮タイガー(雄)1匹
【フォレスト】 消費MP140
うん、ちゃんとテイム出来たようだ。
消費MPが140となっているのでLvが高い魔物なんだろう。
フォレストは私の傍までやってくると、体を擦り付けてきた。
虎は猫科なのでマーキングでもしているのだろうか?
暫くフォレストと戯れていると、遅れて兄達がやってくる。
「もうテイムしたのか?」
「お兄ちゃんの気が変わらない内にと思って、先にテイムしちゃいました。名前はフォレストだよ!」
兄が呆れた表情で見てくるけど、これでやっとシルバーの番候補が見付かった。
「よろしくな、フォレスト。俺は沙良の兄の賢也だ」
「よろしくね、フォレスト。俺は沙良ちゃんの仲間の旭だよ」
2人が自己紹介すると、フォレストは人懐っこい性格らしく傍まで行って体を擦り付ける。
兄の表情が心なしかデレデレしているのは、猫が好きだからかな?
フォレストの体を撫でて可愛がっているようだ。
これから言葉通り猫っ可愛がりしそうね。
体長3mもある大きな虎だけど、テイムすると途端に大人しくなり主人の言葉を理解出来るようになる。
このテイム魔法も謎だらけ。
テイムに必要なMP消費は、魔物毎に違うんだけどきっと高Lvの魔物ほど高くなっていくんだろう。
そう考えると今ある私のMPじゃ、ドラゴンをテイムするのは無理かもね。
魔物の中でもかなりLvが高いと思うから、MP消費は1,000以上かも知れない。
早くシルバーがドラゴンに進化してくれないかなぁ~。
竜騎士みたいに、空を自由に駆け巡りたい!
旭は犬派なので、どちらかと言うとシルバーをよく撫でている所を見かける。
シルバーは私の仲間だと認識しているので、嫌がりはしないけど仕方なく触らせてあげている感じだ。
残念な事に全く懐いてはいない。
多分、背中には乗せてもらえないだろう。
この子は騎獣にする予定なので、一旦ホームに連れていこう。
シルバーにも紹介してあげないとね。
「お兄ちゃん。フォレストをホームに置いてくるから旭とレベル上げしてて」
「分かった。じゃあ2時間後に安全地帯に集合だな」
「了解。じゃ行ってきます」
私はそう言ってホームの自宅に戻ってきた。
シルバーに紹介するためにアパートの駐車場でシルバーの名前を呼ぶと、数分でやってくる。
ホームは半径35km移動可能になっているので、シルバーはいつも何処にいるか分からないけど、名前を呼ぶとちゃんと私の下まできてくれるとても賢い子なのだ。
「シルバー、お仲間のフォレストだよ」
「フォレスト、先輩のシルバーだよ」
2匹のテイム仲間は種類が違うけど、険悪な雰囲気になる事もなく仲良く寄り添って何やら会話をしているみたいだ。
はっ!
しまった!
シルバーは、まだ雄のままじゃん!
折角、番候補を見付けたのに元が雄だとバレてしまった。
番にして可愛い子供を増やす計画が台無しだよ~。
これからシルバーが雌になっても、フォレストは一緒になってくれないかも知れない……。
やっぱり無理だよね?
ううっ……子狼に囲まれてもふもふする夢が、また延びてしまった。
シルバー待っててね!
私が絶対、立派なお婿さんを見付けるから早く雌になるんだよ!
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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兄が長考の末、口を開いた。
どうやら今回は、最初から駄目だという展開にはならないらしい。
迷宮ダイガーに騎乗してみたいのかな?
「MPなら1,180あるよ」
そして私はLv29という事になっているので、ステータスを見る訳にはいかず素早く計算する。
Lv29のMPが1,440で、シルバーとハニーのテイムに130×2必要。
マイナス260だから残りは1,180だ。
お母さん、子供の頃に算盤を習わせてくれてありがとう。
暗算が今、非常に役立ちました。
兄は算盤を習っていないので、暗算は得意じゃないのだ。
僅か3秒足らずで答えを出したので、不審には思われまい。
実際はLv35でMPが1,728あるので、ステータス表記は1,468だけどね。
「そうか、MPは1,000は残しておきたいから1匹ならテイムしていいぞ」
「本当!? ありがとう、お兄ちゃん! じゃあ今から迷宮タイガーの所にいこう!」
兄からテイムのOKを貰ったのは初めてだ。
マッピングで迷宮タイガーが2匹出現しているのを確かめて、私はご機嫌で駆け出す。
「こらっ、嬉しいからって俺達を置いて走り出すんじゃない!!」
後ろの方で兄が何か言っていたけど、既にかなり離れているので聞こえないふりだ。
迷宮タイガーはトレントの森奥深くにいる事が多い。
先程トレントを狩って中央まで道を作ったので、中央まではトレントから攻撃を受ける事なく走り抜ける。
道が途切れたら迷宮タイガーまで一直線になるように、トレントを瞬殺し収納していく。
マッピングを使用すると、本当に効率良く攻略が出来るので助かるわ~。
迷宮タイガーまで後数メートルという所で立ち止まった。
2匹いるけど多分番なんじゃないかと思う。
私が魅了魔法でテイム出来るのは雄だけだから、雌が襲ってこないよう先にドレインで昏倒させておこう。
2匹が横倒しになって倒れた後で、久し振りに魅了魔法をかけてみる。
1匹が起き上がってこっちに近付いてきた。
この子が雄の方なのかな?
雌の方は脳を石化し収納しておいた。
「貴方の名前はフォレストよ。これからよろしくね!」
名付けを済ませてステータスを確認。
今回はトレントの森にいたので森から名前を取った。
現在テイム中 迷宮タイガー(雄)1匹
【フォレスト】 消費MP140
うん、ちゃんとテイム出来たようだ。
消費MPが140となっているのでLvが高い魔物なんだろう。
フォレストは私の傍までやってくると、体を擦り付けてきた。
虎は猫科なのでマーキングでもしているのだろうか?
暫くフォレストと戯れていると、遅れて兄達がやってくる。
「もうテイムしたのか?」
「お兄ちゃんの気が変わらない内にと思って、先にテイムしちゃいました。名前はフォレストだよ!」
兄が呆れた表情で見てくるけど、これでやっとシルバーの番候補が見付かった。
「よろしくな、フォレスト。俺は沙良の兄の賢也だ」
「よろしくね、フォレスト。俺は沙良ちゃんの仲間の旭だよ」
2人が自己紹介すると、フォレストは人懐っこい性格らしく傍まで行って体を擦り付ける。
兄の表情が心なしかデレデレしているのは、猫が好きだからかな?
フォレストの体を撫でて可愛がっているようだ。
これから言葉通り猫っ可愛がりしそうね。
体長3mもある大きな虎だけど、テイムすると途端に大人しくなり主人の言葉を理解出来るようになる。
このテイム魔法も謎だらけ。
テイムに必要なMP消費は、魔物毎に違うんだけどきっと高Lvの魔物ほど高くなっていくんだろう。
そう考えると今ある私のMPじゃ、ドラゴンをテイムするのは無理かもね。
魔物の中でもかなりLvが高いと思うから、MP消費は1,000以上かも知れない。
早くシルバーがドラゴンに進化してくれないかなぁ~。
竜騎士みたいに、空を自由に駆け巡りたい!
旭は犬派なので、どちらかと言うとシルバーをよく撫でている所を見かける。
シルバーは私の仲間だと認識しているので、嫌がりはしないけど仕方なく触らせてあげている感じだ。
残念な事に全く懐いてはいない。
多分、背中には乗せてもらえないだろう。
この子は騎獣にする予定なので、一旦ホームに連れていこう。
シルバーにも紹介してあげないとね。
「お兄ちゃん。フォレストをホームに置いてくるから旭とレベル上げしてて」
「分かった。じゃあ2時間後に安全地帯に集合だな」
「了解。じゃ行ってきます」
私はそう言ってホームの自宅に戻ってきた。
シルバーに紹介するためにアパートの駐車場でシルバーの名前を呼ぶと、数分でやってくる。
ホームは半径35km移動可能になっているので、シルバーはいつも何処にいるか分からないけど、名前を呼ぶとちゃんと私の下まできてくれるとても賢い子なのだ。
「シルバー、お仲間のフォレストだよ」
「フォレスト、先輩のシルバーだよ」
2匹のテイム仲間は種類が違うけど、険悪な雰囲気になる事もなく仲良く寄り添って何やら会話をしているみたいだ。
はっ!
しまった!
シルバーは、まだ雄のままじゃん!
折角、番候補を見付けたのに元が雄だとバレてしまった。
番にして可愛い子供を増やす計画が台無しだよ~。
これからシルバーが雌になっても、フォレストは一緒になってくれないかも知れない……。
やっぱり無理だよね?
ううっ……子狼に囲まれてもふもふする夢が、また延びてしまった。
シルバー待っててね!
私が絶対、立派なお婿さんを見付けるから早く雌になるんだよ!
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。
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