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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第228話 椎名 賢也 47 ダンジョン 地下8階 ホーリーの効果 2

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 マッピングを使用して周囲の魔物分布を見たのだろう。
 沙良が嫌な顔をして言った。

「お兄ちゃん、まかせた!!」
 
まかされた!!」

 俺は最初に索敵した、ゾンビ姿の魔物にLv2(消費MP20)のホーリーを掛けた。
 ゲームのような血塗れな姿ではないが、緑色の肌をした動く死体だ。

 一瞬魔物の姿が光ったと思ったら、ゾンビは跡形も無く消え去り床には魔石だけが落ちている。

 これは魔石取りの手間が省けるな。

 やはり光魔法は、アンデッドにはダメージがデカいらしい。
 と言うか、き過ぎのような気がするが魔物も天国に向かうのだろうか?
 
 続いて出てきたグールは、肌の色が紫色をしている動く死体だ。
 これもホーリーLv2で魔石を残して消え去る。

 この2種類の魔物はにおいが強烈だったが、ホーリーを掛けた後は周囲から悪臭も消え去った。
 沙良はマッピングを見て、アンデッドとグールが近付いてくると分かると少し離れた場所に移動している。

 確かにこのにおいは慣れていないとキツイだろう。
 俺は昔、遺体の病理解剖を散々したお陰で多少耐性がある。

 しかしこの階層は換金出来るのが、リッチの杖とリビングアーマの鎧を除けば魔石のみだ。
 沙良にオリハルコンゴーレムを見付けて貰わないと割に合わない。

 その後に出現したスケルトン体長2mは、名前の通り全身が骨で出来ていた。
 筋肉も無いのに、一体どうやって動いているのか非常に気になる生物だ。

 沙良が興味津々の様子で見ている。
 またおかしな事を考えてるんじゃないよな?

「骨合わせ……」

 呟く声が聞こえたが無視した。

 止めてくれ、貝合わせと勘違いするんじゃない!
 ホーリーを掛けると魔石のみを残して消える魔物で良かった……。

 実体の骨が残ったら、妹は絶対アイテムBOXに収納して遊びそうだ。
 そして俺が付き合わされる未来しか思い浮かばない。

 しかし、人体の仕組みに詳しい俺にはどうやったって勝てないぞ?

 ゴースト体長2mは実体が無い。
 半透明に見えるよく分からない魔物だ。
 両方ともLv2のホーリーで魔石を残して消えた。

 リビングアーマは体長3m。
 金属製の動く鎧だ。

 これならサンダーアローで感電死するんじゃないかと思ったが、中身が無いので分からない。
 沙良は試す事もせず俺の後ろで待機していた。

 まぁホーリーのLv上げをするのに、地下8階は俺にとって最適だから良いか。

 ホーリーLv2を掛けると崩れ落ちる。
 中身? の魔物が昇天したんだろう。

 この金属鎧と魔石で金貨5枚(500万円)。
 沙良は魔石以外の獲物を前に、また何かを考え込んでいた。

 非常に嫌な予感がする。

「お兄ちゃん。リビングアーマを部屋に飾ったら、夜動き出したりするかな?」

 やっぱりか!

 どうしてそんな発想をするんだ妹よ。

「沙良。今その魔物はホーリーで消えて亡く・・なった。今あるのはただの金属鎧だ。動き出したりはしない」

「また幽霊が中に入ってくれるかも知れないでしょ?」

 幽霊じゃなくて魔物だぞ?

「家に飾りたいなら自分の部屋だけにしてくれ。俺は要らん。そもそも500万円もする金属鎧を、どの部屋に置くつもりだ? そして無いとは思うが万が一動きだしたら、お前はどう対処する心算つもりだった」

「それは、隣の部屋で寝ているお兄ちゃんを起こして……」

「沙良、夜中に寝ている俺をそんなくだらない理由で起こすのか?」

 少し声を低くして問い詰める。
 妹は何に興味を持つか本当に予想出来ない。

 今後同じような迷惑を掛けられないために、しっかり言い含めておく必要がある。

「えぇっと……、起こしたら駄目だと思います」

 首をかしげていくら可愛らしく言っても、俺には効果ないからな。

 目が思いっきり泳いでいるぞ?

 まったく、旭がいないと俺1人でこの馬鹿娘に対処しなきゃならないじゃないか。

「そもそもの問題だが、リビングアーマは体長3mある。お前の部屋の天井はそんなに高くないだろう。精々あっても2.5mだ。どうやって飾るんだ?」

 沙良が俺の話を聞いて唖然あぜんとした顔をする。
 気付いてなかったな?

「体操座りとか、どうかな?」

 リビングアーマを体操座りの状態で飾るのか!?
 シュールすぎる……。

「どうしても飾りたければ、誰も居ない部屋に鍵を掛けておくんだ。そうしたら、幽霊? が中に入っても部屋からは出られないだろう」

「了解しました!」

 返事だけはいいんだよ……。

 次のリッチは、スケルトンがマントを羽織って杖を持った体長2mの魔物だった。
 ホーリーLv2でスケルトンが消えると、マントと杖と魔石が残る。

 マントは買取対象になっていないが、沙良はアイテムBOXに収納していた。

 最後は待望のオリハルコンゴーレム体長3mだ。
 見た瞬間、沙良がサンダーアローを楽しそうに撃って倒す。
 これ1体で金貨200枚(2億円)だ。

 何故なぜ、ふふふっと笑いながら悪人面になっているのか……。
 嬉しいのは分かるが、その顔は子供達に見せるなよ。

 泣くぞ?

 今にもテンプレの言葉を言い出しそうだ。

越後屋えちごや、お主も悪だのう」

 そして予想通りの言葉を吐く。
 時代劇の見過ぎだ!

 そして俺が越後屋えちごやかいっ!

 俺は沙良には付き合わず、とっとと安全地帯を目指したのだった。 
 後ろから「え~! ノリ悪~い!」と聞こえるが無視だ。

 本当に幾つになっても、妹のお守りは疲れるよ。

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