136 / 755
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第226話 椎名 賢也 45 ダンジョン 地下7階 悪意の行先 2
しおりを挟む
「いや、入り口に置いたら車の出し入れがし難くなるだろう。邪魔になるから置いていけ」
「え~! だって可愛いでしょ?」
この凶悪な顔をした魔物の、一体どこをどう見たら可愛いなんて思えるんだ。
お前の美的感覚はどうなっている。
「可愛いとは思えないが……。魔石のないガーゴイルに需要はない」
「じゃあ、子供達の家の入口に飾るのはどうかな? ほら番犬代わりになりそう」
子供達も、こんな魔物を家の前に置かれたら困るだろう。
それより町の住人が腰を抜かしそうだ。
「5体しかないから、全部の家には置けないぞ?」
数の指摘をしてやると沙良は少し考えて言った。
「ミリオネの子供達の家なら5軒だし、ちょうどいいね!」
全然よくはないだろう。
ガーゴイルの置物をもらっても、子供達は喜ばないと思うぞ?
むしろ有難迷惑だ。
納得している様子の沙良に何も言う事はせず、収納した魔物を忘れてくれる事を切に願う。
その後再びミリオネの町を訪れた時に、沙良はすっかりガーゴイルの事を忘れてしまっていたので俺は口を閉ざした。
もう一生思い出さないでくれたらいい。
安全地帯に戻ると、例の6人組は疲労困憊した様子でテント前で休憩していた。
まさかダンジョン内で駆けずり回る羽目になるとは、思っていなかったんだろう。
しかも魔物の討伐をしながらだ。
相当疲れているらしい。
俺達が安全地帯に戻ってくるのを確認していたが、他の冒険者がいる手前か行動には起こさなかった。
テントに入りホームの自宅で食事をする。
今日のお弁当は、チーズ入りミニハンバーグ・少量のナポリタン・海藻サラダ・ひじき煮だった。
インスタントのコーンスープと一緒に大盛ご飯を完食する。
俺はハンバーグにチーズが入っている物が好きだ。
なんかこうガツンとして食べた感じがするだろう?
沙良はさっぱりと食べたいのか、大根おろしを付けて青じそドレッシングで食べる方が好きみたいだけどな。
それでも、お弁当は俺の好みに合わせてくれている。
本当によいお嫁さんになりそうだ。
だが俺の目の黒い内は、認めた相手じゃないと結婚は許可しないぞ。
俺達には秘密が山程あるんだからな。
食事を終えてテントから出ると、後を追いかけるのを諦めたのか例の6人組はテント内に引っ込んでしまった。
なんだ体力の限界か?
情けないな。
翌日。
安全地帯から出ると、6人組のテントは消えていた。
ダンジョン内で襲う事は無理だと悟ったらしい。
普通ならこの時点で、相手に敵わないと気付きそうなものだが……。
欲望が下半身に直結しているやつらには無理だろうな。
タイミングとしては、冒険者ギルドからの帰り道が一番可能性がありそうだ。
その後5日間の攻略を終えて冒険者ギルドに換金に行った。
そして俺は再び腹を壊す事になる。
沙良が本当に大丈夫か心配して尋ねてきたが、大丈夫だと言って解体場に急いだ。
解体場の親父の隣にいるのが宝石店の店主だろう。
「冒険者ギルドまで足を運んでもらって済まない。妹の20歳の誕生日に、ペンダントをプレゼントしてやりたいと思っているんだ。ペンダントトップに付ける宝石は俺が加工するので、チェーンと宝石を嵌める台座部分を依頼したい」
あまり時間がないので店の店主に用件のみを簡潔に告げると、出来上がった宝石の状態を見て作成してくれると言う。
一応現時点で一番出来の良いエメラルドカットを施した宝石を見せると、店主が感心したように頷く。
これ程の出来なら修正する必要もないと言われ密かに喜んだ。
まぁ見本にしたカット技術は地球の物だから、俺の実力とは言い難いが……。
ペンダントと合わせてイヤリングも一緒にプレゼントしてはどうかと提案されて、御揃いの方がいいだろうと作成を依頼する。
まだ数年先の事だが宝石の数は5個ある。
5セットもあれば、宝飾品に沙良も困らないだろう。
商談を済ませて、冒険者ギルドの受付近くで待っている沙良のもとに戻る。
ギルドを出ると案の定、6人組の冒険者達が後をつけてきた。
これはもう目的を遂げるまで諦めないだろう。
沙良を危険な目に遭わせる訳にはいかない。
仕方なく俺は全員不能にしてやった。
明日、目覚めた時に自分達の行いを反省するんだな。
沙良のホームで自宅に帰り、後何回繰り返す事になるのか溜息を吐いた。
本当に人の悪意に終わりはない。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
「え~! だって可愛いでしょ?」
この凶悪な顔をした魔物の、一体どこをどう見たら可愛いなんて思えるんだ。
お前の美的感覚はどうなっている。
「可愛いとは思えないが……。魔石のないガーゴイルに需要はない」
「じゃあ、子供達の家の入口に飾るのはどうかな? ほら番犬代わりになりそう」
子供達も、こんな魔物を家の前に置かれたら困るだろう。
それより町の住人が腰を抜かしそうだ。
「5体しかないから、全部の家には置けないぞ?」
数の指摘をしてやると沙良は少し考えて言った。
「ミリオネの子供達の家なら5軒だし、ちょうどいいね!」
全然よくはないだろう。
ガーゴイルの置物をもらっても、子供達は喜ばないと思うぞ?
むしろ有難迷惑だ。
納得している様子の沙良に何も言う事はせず、収納した魔物を忘れてくれる事を切に願う。
その後再びミリオネの町を訪れた時に、沙良はすっかりガーゴイルの事を忘れてしまっていたので俺は口を閉ざした。
もう一生思い出さないでくれたらいい。
安全地帯に戻ると、例の6人組は疲労困憊した様子でテント前で休憩していた。
まさかダンジョン内で駆けずり回る羽目になるとは、思っていなかったんだろう。
しかも魔物の討伐をしながらだ。
相当疲れているらしい。
俺達が安全地帯に戻ってくるのを確認していたが、他の冒険者がいる手前か行動には起こさなかった。
テントに入りホームの自宅で食事をする。
今日のお弁当は、チーズ入りミニハンバーグ・少量のナポリタン・海藻サラダ・ひじき煮だった。
インスタントのコーンスープと一緒に大盛ご飯を完食する。
俺はハンバーグにチーズが入っている物が好きだ。
なんかこうガツンとして食べた感じがするだろう?
沙良はさっぱりと食べたいのか、大根おろしを付けて青じそドレッシングで食べる方が好きみたいだけどな。
それでも、お弁当は俺の好みに合わせてくれている。
本当によいお嫁さんになりそうだ。
だが俺の目の黒い内は、認めた相手じゃないと結婚は許可しないぞ。
俺達には秘密が山程あるんだからな。
食事を終えてテントから出ると、後を追いかけるのを諦めたのか例の6人組はテント内に引っ込んでしまった。
なんだ体力の限界か?
情けないな。
翌日。
安全地帯から出ると、6人組のテントは消えていた。
ダンジョン内で襲う事は無理だと悟ったらしい。
普通ならこの時点で、相手に敵わないと気付きそうなものだが……。
欲望が下半身に直結しているやつらには無理だろうな。
タイミングとしては、冒険者ギルドからの帰り道が一番可能性がありそうだ。
その後5日間の攻略を終えて冒険者ギルドに換金に行った。
そして俺は再び腹を壊す事になる。
沙良が本当に大丈夫か心配して尋ねてきたが、大丈夫だと言って解体場に急いだ。
解体場の親父の隣にいるのが宝石店の店主だろう。
「冒険者ギルドまで足を運んでもらって済まない。妹の20歳の誕生日に、ペンダントをプレゼントしてやりたいと思っているんだ。ペンダントトップに付ける宝石は俺が加工するので、チェーンと宝石を嵌める台座部分を依頼したい」
あまり時間がないので店の店主に用件のみを簡潔に告げると、出来上がった宝石の状態を見て作成してくれると言う。
一応現時点で一番出来の良いエメラルドカットを施した宝石を見せると、店主が感心したように頷く。
これ程の出来なら修正する必要もないと言われ密かに喜んだ。
まぁ見本にしたカット技術は地球の物だから、俺の実力とは言い難いが……。
ペンダントと合わせてイヤリングも一緒にプレゼントしてはどうかと提案されて、御揃いの方がいいだろうと作成を依頼する。
まだ数年先の事だが宝石の数は5個ある。
5セットもあれば、宝飾品に沙良も困らないだろう。
商談を済ませて、冒険者ギルドの受付近くで待っている沙良のもとに戻る。
ギルドを出ると案の定、6人組の冒険者達が後をつけてきた。
これはもう目的を遂げるまで諦めないだろう。
沙良を危険な目に遭わせる訳にはいかない。
仕方なく俺は全員不能にしてやった。
明日、目覚めた時に自分達の行いを反省するんだな。
沙良のホームで自宅に帰り、後何回繰り返す事になるのか溜息を吐いた。
本当に人の悪意に終わりはない。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
476
お気に入りに追加
6,082
あなたにおすすめの小説
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
そんなに幼馴染の事が好きなら、婚約者なんていなくてもいいのですね?
新野乃花(大舟)
恋愛
レベック第一王子と婚約関係にあった、貴族令嬢シノン。その関係を手配したのはレベックの父であるユーゲント国王であり、二人の関係を心から嬉しく思っていた。しかしある日、レベックは幼馴染であるユミリアに浮気をし、シノンの事を婚約破棄の上で追放してしまう。事後報告する形であれば国王も怒りはしないだろうと甘く考えていたレベックであったものの、婚約破棄の事を知った国王は激しく憤りを見せ始め…。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。