自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生（？）しましたが、自由に生きることにしました

第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第215話 椎名 賢也 34 ダンジョン 地下4階 狩り放題

　案の定、もうお腹一杯で夕食は要らないと沙良が言い出した。
　そりゃデザートを5品も食べれば、お腹一杯にもなるだろう。

　しかもその前にポップコーン2人分をほぼ1人で食べてたからな。

　俺1人分の食事を作って貰うのも悪いので、夕食は適当に済ませるよと答えておく。
　夜食用に沙良から貰っていたレトルトとカップ麺の内、今晩はカップ麺を選択した。

　はなから自分で料理する心算つもりはないので、お湯を注いで3分で食べる事の出来るインスタントしか選択肢は無かったとも言える。

　しかしこのカップ麺は、夜勤担当の医局でも非常にお世話になった。
　各メーカーが様々な味を出しているので、種類が豊富にあるのも良い。

　まっ、最終的には王道のカップ〇ードル（醤油味）が一番慣れている所為せいもあって食べる機会も多かった。
　最近はコンビニに行くと有名ラーメン店とのコラボ商品もあり、値段もそこそこするが遠方で直接食べに行けない客には嬉しい事だろう。

　生麺タイプの物は、一度湯を捨てる手間があって忙しい医局で俺は余り食べなかったが……。
　この世界なら時間に余裕があるので、一度全商品を試してみるのも良いかも知れないな。

　あぁ、お小遣いでは買えないじゃないか！？

　喫茶店でコーヒーを注文する金も無いのに、コンビニ商品のお高いカップ麺は贅沢だ。
　異世界で、こんなに節約する事になるとは思いもしなかった。

　いくらダンジョンで年収億を稼いでいても、日本円は増えないからなぁ～。

　沙良の少ない・・・貯金からお小遣いを貰っている身として、未いまだに値上げ交渉が出来ずにいるんだ。

　『手紙の人』、俺達の様子を見ているなら日本円を稼ぐ方法を考えてほしい。
　俺の欲しい物はホーム内にある物だけなんだよ。
　
　例えば卵型以外の高額商品とか……。
　3,000円じゃ買えない。

　商品は幾らでもあると言うのに、手元にお金が無いのは辛つらい。
　まるでお預けをされている気分だ。

　勿論もちろん、美味しいワインを出す店にも行きたいし、偶たまにはご馳走ちそうだって食べたい。
　
　外科医時代によく通っていた鉄板焼きの店や、懐石料理を食べさせてくれる雰囲気ふんいきの良い店もここ数年行ってないなぁ。

　夕食に〇いきつねと〇キンラーメンの2個を食べながら、俺は『手紙の人』にお願いしておいた。
　研修医時代を思い出す夕食に、また旭と一緒に半分眠りながら食べた事を思い出す。

　あの頃は睡眠不足が続いて意識を失うように眠ったものだ。
　夜勤担当の時は本当に辛つらかった。

　いつも穏やかな性格で呑気のんきな旭でさえ、目が血走ってたからな……。

　そう考えると日本と異世界で全く違う人生を歩む事になったのは、悪い事じゃないかも知れない。
　今は眠る時間はたっぷりとあるし、時間外で緊急の患者対応に追われる事もない。

　完全週休2日なんて日本じゃ考えられなかった。
　ダンジョンの攻略時間も夜9時～翌朝5時と決まっているし。

　19歳――。
　日本での俺は、毎日医大で勉強漬けの日々だった。
　旭が単位を落とさないよう、必死で尻を叩いて勉強させていたな。

　……うん？
　やっぱり家庭教師代、貰っとくべきだった！
　俺のプライベートが無かったのは、全部お前の所為せいだぞ！

　なのに、あっさりこの世を去りやがって……。
　
　その日、旭が笑いながら「ごめんね～、『ＦＯＸＥＹ』の涼子りょうこちゃん紹介出来なくて。きっと賢也の好みのタイプだと思ったんだけど、ほらＤカップの！」と俺に謝る夢を見た。

　一体誰なんだ！？

　Ｄカップの『ＦＯＸＥＹ』の涼子りょうこちゃんとやらは……。
　夢なのに滅茶苦茶めちゃくちゃ、気になるじゃないか！
　

　翌日、月曜日の夜9時。
　今回は各階層の魔物を全滅させる事なく、下に降りる階段まで最短距離で進む。
　
　地下4階の安全地帯でテントを設置して、ホームの自宅でトイレ＆休憩を済ませた後に攻略開始。
　マジックバッグ15㎥を購入したので、ダンジョンスネークは狩り放題だ。

　5日間の攻略で、どれだけ狩れるか非常に楽しみである。
　コカトリスの卵も高価買取対象なので、沙良が積極的に見付けるだろう。

　現在俺達が持っているマジックバッグ（8個）を、全て使用する勢いで魔物を全滅させていく。
　金貨の音がチャリンチャリンと聞こえてきそうな程だ。
　
　地下4階は夜間に誰も攻略していないので魔物の奪い合いは発生しない。
　全て俺達の獲物となってくれる。

　5日後の冒険者ギルドでの換金は、なんと1,930万円になった。
　内訳は、ダンジョンスネークが38匹・コカトリスが80匹・コカトリスの卵が10個と地下1階～地下4階までに狩った魔物だ。

　地下4階でこれなら、現在地下8階を攻略している冒険者の稼ぎは幾らになるのだろうか？
　
　地下8階の最終攻略組は女性6人組が3パーティー、男性6人組が2パーティーの5パーティーらしい。
　女性の比率が高いので、地下8階で沙良が嫌な思いをする事はなさそうで安心する。

　流石さすがに地下8階を攻略する時は、今までのように無視する訳にはいかないからな。

　地下4階の冒険者とは接触する事も無く、順調に3ケ月が経過した。
　ここの魔物ではＬｖが上がらなくなったので、地下5階に拠点を移す事にする。
　
　早く沙良にＬｖ30まで上げてもらわないと！

　俺は自宅マンションを取り戻したくて仕方ない。
　自由に使えるお金も欲しいし、何よりＰＣの中身がとても気になっているのだ……。

　沙良に召喚されて5年以上経っているから、今更遅いかも知れないが希望は捨てられない。
　どうかパスワード解除をされずに、ＤＡＴＡがそのまま残っている事を願っているよ。

　茜あかねに見付かったら問答無用で消去されそうだ。
　双子達には俺の性癖がバレても問題ない。
　多少は恥ずかしいが、まぁ会う事も無いだろうからな！

　俺がＰＣに詳しかったらアクセスが10日以上無い場合、ＰＣ内の特定のＤＡＴＡを自動で消去するプログラムとか入れられたんだが……。

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