62 / 709
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第195話 椎名 賢也 14 ダンジョン 地下1階 初攻略 2
しおりを挟む
冒険者ギルドの前には10台くらい馬車が並んでいる。
料金は1人銅貨2枚(2,000円)。
ダンジョンまで1時間くらいかかるらしいので、料金としてはそう高くない。
1時間毎に運行しているので乗れない事はないだろう。
5台目の馬車に乗ると、4人組の男性冒険者と一緒になった。
ニヤニヤと笑いながら沙良を見る目つきが、どうにも不快な気分にさせられる。
沙良は怖くなったのか、俺の背に隠れて男性達からの視線を遠ざけようとした。
その気持ちを汲んで、俺が冒険者達の矢面に立つ。
狭い馬車の中で、何かを仕掛ける事は無いと思うが注意するに越した事は無い。
それから1時間あまり。
男性冒険者からの不快な視線は止む事が無かった。
一体どういう心算なんだ?
馬車を降りると、沙良が男性冒険者に気を付けてと注意を促してきた。
言われなくても4人組の顔は覚えたから大丈夫だ。
4人なら魔法で行動不能に出来る。
沙良はダンション内で鉢合わせする事が無いように、マッピングを使用して回避するようだ。
4人組の冒険者達がダンジョンに入っていくのを暫く待ってから、俺達も入場料の銀貨1枚(1万円)をそれぞれが払って中に入る。
最初にケチがついてしまったが、初のダンジョンだ。
気持ちを切り替えて楽しもう!
ダンション内に入ると思ったよりも明るい。
壁が少し光っているようだ。
どんな不思議素材で出来ているんだろう。
魔道具屋にダンジョン内で使用するような、照明は売っていなかったのでこのまま探索を続ける。
ダンジョン内は迷路状になっていた。
なるほど地図が売れる訳だ。
不意に沙良から魔物が居ると声を掛けられた。
「前方3mにファイヤースライム3匹。ファイヤーボールを撃ってくるから注意!」
沙良のお陰で、盾で防御する態勢を取り近付いていく。
2匹のファイヤースライムの攻撃は盾で防いだが、残り1匹のファイヤーボールが沙良の右手首を掠めてしまった!
急いで2匹のファイヤースライムをライトボールで倒し、沙良の怪我の状態を見た。
服は燃えてしまったが、火傷跡のない綺麗な皮膚を見てホッと安堵する。
これは、ファイヤースライムの魔法Lvが低いからか、高いMPで魔法抵抗値があるかのどちらかだろう。
よく分からない魔法について考えていると、沙良が突然大きな声を上げる。
「私、火魔法を覚えられたよ! お兄ちゃんも確認してみて!」
「本当か!?」
言われて俺は直ぐにステータスを見たが、沙良の言った通り覚えているような事は無い。
「俺は無理だった」
「もしかして、体に受ける必要があるのかも。次は盾で防がずに受けて検証しよう」
「ああ、そうしてみよう」
もし魔法を体に一度受けて覚える事が出来るなら、攻撃手段が増える。
運良く5m程歩いた所でウォータースライム3匹を見付けた。
一度体に受けて倒した後ステータスを確認すると、俺も水魔法のウォーターボールを覚えていた。
2人共テンションが上がり、他の2種類の属性スライムの攻撃も受けて4属性の魔法を覚える事にする。
これで火・水・土・風と基本的な魔法が使用可能になった。
後、考えられる属性は雷と氷魔法くらいだろうか?
ダンジョン内では他の冒険者達を徹底的に避け、効率良く魔物を狩っていく。
初見の魔物で、やっかいなのは吸血コウモリだけだろう。
飛んでいるためウィンドボールで頸動脈を撃ち抜き、地面に落としてから沙良に槍で刺させる。
ダンジョンネズミは50cmくらいの大きさで、眉間にライトボール1発で死亡した。
これ本体も必要って事は肉を食べるのか?
どう考えても角ウサギの肉の方が美味そうだけどなぁ~。
ファングボアは未だ見付かっていない。
ミリオネの森に居たボアの上位種ならば、突進して来る前に魔法で倒せば問題ないだろう。
地下1階は、リザードマンとファングボアの換金率が高いから積極的に狩っていきたい所だ。
2時間後。
リザードマンを見付ける事が出来たが、冒険者達が走って近付いてきたので諦める。
リザードマンは2mくらいの背があり槍を持っていた。
死んだ冒険者の持ち物だろうか?
冒険者達の討伐の様子を見ていると、誰も魔法を使用しない。
普通に盾で防御しながら槍や剣で攻撃し倒していた。
あ~、あれだけ皮に傷が付いたら、買取価格は最低の物になるだろうな。
トカゲの革は一体何に使用するんだ?
ヘビ革やワニ革は財布や鞄や靴に使用出来るが、同じ爬虫類系だから用途も同じなのか……。
そして必要なのは皮だけなのか?
肉も食べるとしたら、異世界の飲食店では何の肉が出てくるのか分からんな~。
俺達はこの世界で食事をする事がなくて良かったのかも知れん。
どうせ味付けも塩のみだ。
今後も店を利用する事は無いだろう。
更に1時間後。
もう一度リザードマンを見付けるも、またしても冒険者達が勢い良く走ってくるので譲る形となってしまった。
何だ?
早い者勝ちなのか?
既に交戦中の所を割り込むのはルール違反だろうけど、今回は確実に俺達が先に見つけていた筈だ。
マナーが悪いにも程がある。
少し広くなった安全地帯に行くと、50人程の冒険者達がテントを張って休んでいた。
簡易トイレが設置してあるが、沙良はどうやらここに入るのはかなりの抵抗があるらしく、攻略は一旦終了する事にした。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
料金は1人銅貨2枚(2,000円)。
ダンジョンまで1時間くらいかかるらしいので、料金としてはそう高くない。
1時間毎に運行しているので乗れない事はないだろう。
5台目の馬車に乗ると、4人組の男性冒険者と一緒になった。
ニヤニヤと笑いながら沙良を見る目つきが、どうにも不快な気分にさせられる。
沙良は怖くなったのか、俺の背に隠れて男性達からの視線を遠ざけようとした。
その気持ちを汲んで、俺が冒険者達の矢面に立つ。
狭い馬車の中で、何かを仕掛ける事は無いと思うが注意するに越した事は無い。
それから1時間あまり。
男性冒険者からの不快な視線は止む事が無かった。
一体どういう心算なんだ?
馬車を降りると、沙良が男性冒険者に気を付けてと注意を促してきた。
言われなくても4人組の顔は覚えたから大丈夫だ。
4人なら魔法で行動不能に出来る。
沙良はダンション内で鉢合わせする事が無いように、マッピングを使用して回避するようだ。
4人組の冒険者達がダンジョンに入っていくのを暫く待ってから、俺達も入場料の銀貨1枚(1万円)をそれぞれが払って中に入る。
最初にケチがついてしまったが、初のダンジョンだ。
気持ちを切り替えて楽しもう!
ダンション内に入ると思ったよりも明るい。
壁が少し光っているようだ。
どんな不思議素材で出来ているんだろう。
魔道具屋にダンジョン内で使用するような、照明は売っていなかったのでこのまま探索を続ける。
ダンジョン内は迷路状になっていた。
なるほど地図が売れる訳だ。
不意に沙良から魔物が居ると声を掛けられた。
「前方3mにファイヤースライム3匹。ファイヤーボールを撃ってくるから注意!」
沙良のお陰で、盾で防御する態勢を取り近付いていく。
2匹のファイヤースライムの攻撃は盾で防いだが、残り1匹のファイヤーボールが沙良の右手首を掠めてしまった!
急いで2匹のファイヤースライムをライトボールで倒し、沙良の怪我の状態を見た。
服は燃えてしまったが、火傷跡のない綺麗な皮膚を見てホッと安堵する。
これは、ファイヤースライムの魔法Lvが低いからか、高いMPで魔法抵抗値があるかのどちらかだろう。
よく分からない魔法について考えていると、沙良が突然大きな声を上げる。
「私、火魔法を覚えられたよ! お兄ちゃんも確認してみて!」
「本当か!?」
言われて俺は直ぐにステータスを見たが、沙良の言った通り覚えているような事は無い。
「俺は無理だった」
「もしかして、体に受ける必要があるのかも。次は盾で防がずに受けて検証しよう」
「ああ、そうしてみよう」
もし魔法を体に一度受けて覚える事が出来るなら、攻撃手段が増える。
運良く5m程歩いた所でウォータースライム3匹を見付けた。
一度体に受けて倒した後ステータスを確認すると、俺も水魔法のウォーターボールを覚えていた。
2人共テンションが上がり、他の2種類の属性スライムの攻撃も受けて4属性の魔法を覚える事にする。
これで火・水・土・風と基本的な魔法が使用可能になった。
後、考えられる属性は雷と氷魔法くらいだろうか?
ダンジョン内では他の冒険者達を徹底的に避け、効率良く魔物を狩っていく。
初見の魔物で、やっかいなのは吸血コウモリだけだろう。
飛んでいるためウィンドボールで頸動脈を撃ち抜き、地面に落としてから沙良に槍で刺させる。
ダンジョンネズミは50cmくらいの大きさで、眉間にライトボール1発で死亡した。
これ本体も必要って事は肉を食べるのか?
どう考えても角ウサギの肉の方が美味そうだけどなぁ~。
ファングボアは未だ見付かっていない。
ミリオネの森に居たボアの上位種ならば、突進して来る前に魔法で倒せば問題ないだろう。
地下1階は、リザードマンとファングボアの換金率が高いから積極的に狩っていきたい所だ。
2時間後。
リザードマンを見付ける事が出来たが、冒険者達が走って近付いてきたので諦める。
リザードマンは2mくらいの背があり槍を持っていた。
死んだ冒険者の持ち物だろうか?
冒険者達の討伐の様子を見ていると、誰も魔法を使用しない。
普通に盾で防御しながら槍や剣で攻撃し倒していた。
あ~、あれだけ皮に傷が付いたら、買取価格は最低の物になるだろうな。
トカゲの革は一体何に使用するんだ?
ヘビ革やワニ革は財布や鞄や靴に使用出来るが、同じ爬虫類系だから用途も同じなのか……。
そして必要なのは皮だけなのか?
肉も食べるとしたら、異世界の飲食店では何の肉が出てくるのか分からんな~。
俺達はこの世界で食事をする事がなくて良かったのかも知れん。
どうせ味付けも塩のみだ。
今後も店を利用する事は無いだろう。
更に1時間後。
もう一度リザードマンを見付けるも、またしても冒険者達が勢い良く走ってくるので譲る形となってしまった。
何だ?
早い者勝ちなのか?
既に交戦中の所を割り込むのはルール違反だろうけど、今回は確実に俺達が先に見つけていた筈だ。
マナーが悪いにも程がある。
少し広くなった安全地帯に行くと、50人程の冒険者達がテントを張って休んでいた。
簡易トイレが設置してあるが、沙良はどうやらここに入るのはかなりの抵抗があるらしく、攻略は一旦終了する事にした。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
502
お気に入りに追加
6,155
あなたにおすすめの小説

家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。