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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第193話 椎名 賢也 12 C級冒険者 2

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 常に沙良と行動を共にしている俺が、単独行動なんて出来る訳がない。
 病気も怖いし通うのは無理だろう。
 ヒールが怪我しか治せないのは問題だ。
 今の所、風邪ひとつ引かずお互い元気でいるが……。
 もし病気になった場合、治療手段はあるんだろうか?

 病気に対する知識はあるが、それはくまで日本での事だ。
 異世界特有の病気がないとも言い切れない。
 ホーム内の病院を拠点にする件を、考えておかなければいけないと強く思った。
 現状は薬局で購入出来る薬で、なんとかしのぐしかないな。

 俺は3,000円のお小遣いを極力使わず、本屋へよく通うようになる。
 店内は無人で、しかも隣接された喫茶店がある場所だ。
 自宅でコーヒーを入れた魔法瓶を持参し、喫茶店の中で読書をすれば実質無料で読める。
 コンビニで立ち読みするより長時間いられるから、すっかり定番になってしまった。
 自分でも、ものすごく貧乏くさいと思うが、お小遣いが増える訳ではないので仕方ない。

 マンションを拠点に登録したら、預金が使えるので沙良へ借金を申し込もうか真剣に悩んでいる最中だ。
 16歳になり、お酒も解禁した。
 身長が180cmを超えたから沙良が許してくれたのだ。
 妹は酒のつまみになるような1品料理を作ってくれる。
 ビールや日本酒以外にもワインが飲みたいな。

 行きつけの店はホームLvが足らず移動範囲外にある。
 ダンジョンを攻略すればLvが上がるので、いつか入れるだろう。
 その店は、お小遣い3,000円では到底足りない。
 他に行きたい店も何軒かあるが、外科医時代に通っていた店は1万円以上する店ばかりだ。
 たまには贅沢もしてみたい。
 貯金は確か4億円以上あったと思う。

 仕事が忙しく、外食以外に使い道がなかったので自然と貯まっていた。
 そう言えば、預金していた金に利息は付くのだろうか?
 資産運用に回していたから、かなりの利息になるはずなんだが……。
 後、ジムにも通いたい。
 正直、冒険者活動は魔法を使用しているため、体がなまってるんだよな~。
 森の中を歩き回っても、高いHPのお陰か疲れを感じないし。

 そんな、のんびりとした3年間を送り俺達はC級冒険者になった。
 4年半を過ごしたミリオネの町を出て、ついにダンジョンへと向かう。
 町を出る時は、支援をした子供達全員が泣きながら見送ってくれた。
 ボロをまとせてうつろな目をしていた、彼らの姿はどこにもない。

 皆が清潔な服を着て健康的な体格になり、町の子供達と変わらない生活を送っているからだ。
 10歳になれば、全員が冒険者登録をして稼げるようになった。
 冒険者になった子供達は、積極的に馬糞掃除や肉の配達を受け1ヶ月程度でE級になる。
 E級になればマジックバッグを必要としないゴブリンを狩り、鉄貨5枚(500円)の魔石を持ち帰り換金する。

 収入が安定し、C級冒険者になる頃には家を出て独り立ちすることも可能だ。
 実際この4年半の間、C級冒険者になった子供は宿で暮らしている。
 そして家の子供達に支援をしていた。
 もう、お腹を空かせ寒さに震える事もない。

 沙良の方を見ると泣きながら手を振り返していた。
 何度も子供達の様子を確認しに家へいき、食事を作ってやったんだ。
 子供達の成長が嬉しいんだろうな。
 ほとんどの子供達に身長を抜かされ落ち込んでいたのも、これで少しは気が晴れるだろう。

 俺と沙良は18歳と16歳になった。

 リーシャ・ハンフリー 16歳
 レベル 10
 HP 528
 MP 528
 魔法 時空魔法(ホームLv10・アイテムBOX・マッピングLv10・召喚)
 
 椎名しいな 賢也けんや 18歳
 レベル 10
 HP 550
 MP 550
 魔法 光魔法(ヒールLv5・ホーリーLv3・ライトボールLv5)

 2人共Lvは10になり、沙良はホームを中心に半径10km移動可能となった。
 残念ながら新しい魔法は覚えられず、MPは使い道がない。
 俺の方は、ヒールLv5・ホーリーLv3・ライトボールLv5と順調に上がる。

 ミリオネの町から馬車で半日。
 ダンジョンのある、リースナーの町へ辿たどり着く。
 明日からは初めてのダンジョン攻略だ。
 今から楽しみでならない。

 ダンジョンの最終深部に何が待ち受けているのか、その時の俺は知るよしもなかったんだ。
 まさかあんな出会いが待っているなんて、人生本当に何が起こるか分からない……。
 事実は小説より奇なりとは、よく言ったものだ。

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