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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第189話 椎名 賢也 8 子供達への支援 2
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3ヶ月後。
一軒家(中古)を購入した。
事前に必要な生活用品や10人分の子供布団は揃えている。
沙良は10歳以下の冒険者登録出来ない子供を10人集めて家を与えた。
ただ家を与えるだけでなく、いくつかの細かい【約束】を守る事を条件にしたようだ。
ひとつひとつは普段俺達が何気なく行っているが、この世界の子供達には意味が分からないものもあるだろう。
土足厳禁にしたのは、俺も日本人としてよく理解出来る。
靴のまま家に入るなんて、病原菌を持ち込んでいるのと同じだからな。
特に、この世界は移動手段が馬車だから道には馬糞が落ちている。
F級で唯一鉄貨3枚(300円)の仕事のため、依頼を受ける子供達がおり、それほど不衛生ではない状態だったが、やはり気になる。
洗濯をする方法を教えたが、洗い替え用の服と下着がなく慌てて買いに走った。
だが沙良よ、一体そのお金はどこから出てるんだ?
一緒に冒険者をしているから、お互いの収入は分かっている。
そもそも冒険者登録に必要な、銀貨1枚(1万円)を12歳の少女が稼げる訳がない。
用意周到な妹の事だ。
異世界のお金が必要になると考え、公爵邸から逃げ出す時に追い出した後妻の部屋から盗んできたんだろう。
虐待されていたらしいから多少の腹いせもあったんだろうが……。
今回は目を瞑ってやろう。
俺は沙良のLvを上げるため、角ウサギを安全に狩る方法を考えた。
盾で角ウサギを殴りつけ、地面に押し付けた状態で槍で突き刺させるのはどうだ?
完全なパワーレベリングだが、沙良が早くLvを上げないとマンションにいけないからな。
その効果もあって沙良のLvが上がると体力も力も強くなり、今までは午前中しか狩りが出来なかったが午後も狩りにいくようになった。
沙良は家を購入する前に角ウサギが10匹入るマジックバッグを2つ購入して、収入を増やしたいらしい。
現在1日の収入は32,000円。
マジックバッグ2つの値段は金貨1枚(100万円)。
中古とは言え家の値段と同じとは……。
マジックバッグは結構いい値段がする。
当然、時間停止の機能は付いていない。
これは沙良のアイテムBOXを知られると、非常に拙い事態になりそうだ。
ダミーの意味でもマジックバッグは必要なので了解した。
1.5ヶ月後。
マジックバッグを2つ購入。
1日の収入は銀貨8枚(8万円)となり、月収は2人合わせて200万円。
0.5ヶ月後。
2軒目の家を購入し、更に2ヶ月後には3軒の家を購入。
予定より早く全ての子供達に家を与えられたようだ。
沙良は満足そうに笑っていた。
家に住む子供達は、妹との【約束】をよく守り毎日忙しそうにしている。
洗濯も天気の良い日にちゃんとして、庭には洗濯物が干されている様子が見えた。
町の人達も子供達の家を訪ね、毎日1食料理を作っているらしい。
大人の冒険者達は露店で購入した物を差し入れに持っていく。
沙良が家を与えた事で、確実に支援の輪は広がっていた。
路上生活していた頃には受けられなかったものだ。
何故なら人は自分とあまりにも違い過ぎる環境にいる人達に、手を差し伸べるのを躊躇うからだ。
自分達も生活するだけで精一杯なのに、もし手を差し伸べたら際限なく求められるんじゃないかと不安になるのだろう。
でも沙良が家を購入し与えた事で、自分達の支援する分は少なくてもよくなる。
子供を引き取り育てずに済むからだ。
冒険者達は少女が自分達より少ない稼ぎで家を購入したのを知り、随分と身につまされる思いをしたかも知れないが……。
これで、この町の支援環境は整った。
俺達がもしこの町を去っても、路上生活をする子供はいなくなるだろう。
沙良、お前のしたかった支援は、町の人々がその意図を正しく受け取ったようだぞ。
まぁ多少、目立つ行為だったけどな……。
明日はD級の昇格試験。
試験に受かると討伐する魔物の種類も増えるので楽しみだ。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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一軒家(中古)を購入した。
事前に必要な生活用品や10人分の子供布団は揃えている。
沙良は10歳以下の冒険者登録出来ない子供を10人集めて家を与えた。
ただ家を与えるだけでなく、いくつかの細かい【約束】を守る事を条件にしたようだ。
ひとつひとつは普段俺達が何気なく行っているが、この世界の子供達には意味が分からないものもあるだろう。
土足厳禁にしたのは、俺も日本人としてよく理解出来る。
靴のまま家に入るなんて、病原菌を持ち込んでいるのと同じだからな。
特に、この世界は移動手段が馬車だから道には馬糞が落ちている。
F級で唯一鉄貨3枚(300円)の仕事のため、依頼を受ける子供達がおり、それほど不衛生ではない状態だったが、やはり気になる。
洗濯をする方法を教えたが、洗い替え用の服と下着がなく慌てて買いに走った。
だが沙良よ、一体そのお金はどこから出てるんだ?
一緒に冒険者をしているから、お互いの収入は分かっている。
そもそも冒険者登録に必要な、銀貨1枚(1万円)を12歳の少女が稼げる訳がない。
用意周到な妹の事だ。
異世界のお金が必要になると考え、公爵邸から逃げ出す時に追い出した後妻の部屋から盗んできたんだろう。
虐待されていたらしいから多少の腹いせもあったんだろうが……。
今回は目を瞑ってやろう。
俺は沙良のLvを上げるため、角ウサギを安全に狩る方法を考えた。
盾で角ウサギを殴りつけ、地面に押し付けた状態で槍で突き刺させるのはどうだ?
完全なパワーレベリングだが、沙良が早くLvを上げないとマンションにいけないからな。
その効果もあって沙良のLvが上がると体力も力も強くなり、今までは午前中しか狩りが出来なかったが午後も狩りにいくようになった。
沙良は家を購入する前に角ウサギが10匹入るマジックバッグを2つ購入して、収入を増やしたいらしい。
現在1日の収入は32,000円。
マジックバッグ2つの値段は金貨1枚(100万円)。
中古とは言え家の値段と同じとは……。
マジックバッグは結構いい値段がする。
当然、時間停止の機能は付いていない。
これは沙良のアイテムBOXを知られると、非常に拙い事態になりそうだ。
ダミーの意味でもマジックバッグは必要なので了解した。
1.5ヶ月後。
マジックバッグを2つ購入。
1日の収入は銀貨8枚(8万円)となり、月収は2人合わせて200万円。
0.5ヶ月後。
2軒目の家を購入し、更に2ヶ月後には3軒の家を購入。
予定より早く全ての子供達に家を与えられたようだ。
沙良は満足そうに笑っていた。
家に住む子供達は、妹との【約束】をよく守り毎日忙しそうにしている。
洗濯も天気の良い日にちゃんとして、庭には洗濯物が干されている様子が見えた。
町の人達も子供達の家を訪ね、毎日1食料理を作っているらしい。
大人の冒険者達は露店で購入した物を差し入れに持っていく。
沙良が家を与えた事で、確実に支援の輪は広がっていた。
路上生活していた頃には受けられなかったものだ。
何故なら人は自分とあまりにも違い過ぎる環境にいる人達に、手を差し伸べるのを躊躇うからだ。
自分達も生活するだけで精一杯なのに、もし手を差し伸べたら際限なく求められるんじゃないかと不安になるのだろう。
でも沙良が家を購入し与えた事で、自分達の支援する分は少なくてもよくなる。
子供を引き取り育てずに済むからだ。
冒険者達は少女が自分達より少ない稼ぎで家を購入したのを知り、随分と身につまされる思いをしたかも知れないが……。
これで、この町の支援環境は整った。
俺達がもしこの町を去っても、路上生活をする子供はいなくなるだろう。
沙良、お前のしたかった支援は、町の人々がその意図を正しく受け取ったようだぞ。
まぁ多少、目立つ行為だったけどな……。
明日はD級の昇格試験。
試験に受かると討伐する魔物の種類も増えるので楽しみだ。
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