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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第179話 迷宮都市 子供達へ初の人形劇披露 『シンデレラ』 2

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「今更、何を言ってるんだい。父から散々、甘い汁を吸ってきたじゃないか。私にした仕打ちも考えれば、それくらい理解出来るだろ?」

「そっ、それは……」

「アンタ達の掃除や洗濯までやったんだ。四の五の言わず、さっさと着替えて家から出ないと私のファイヤーボールで丸焼きにするよ!」

「それはご勘弁を~。直ぐに支度して家を出ますから!」

「じゃあね。二度と帰ってこないでおくれ」

「お、お世話になりました……」

※そうしてシンデレラは今まで自分を虐めた継母と継姉達を、家から追い出しました。

 ケンさんが苦しまぎれに、フォローのナレーションを入れてるんだけど?
 この物語、この先どうなってしまうんだろう……。

※ある時シンデレラの家に、お城から舞踏会の招待状が届きます。
 それは王子様が、お妃様を選ぶために開催したものでした。

「お妃様ねぇ、私はそんな柄じゃないからいかなくてもいいか」

※シンデレラは、お城からの招待状を無視し舞踏会にはいきませんでした。

 いかないのかよ!

「やっぱり自分の将来は旦那任せじゃなく、自分で稼いだ金で自立しないと駄目だ。皆、これから迷宮ダンジョンの攻略にいくよ!」

「「「「はい、リーダー!」」」」

※シンデンラは迷宮を攻略する冒険者になり、その後大きなクランを結成してクランリーダーになりました。
 今では100人以上も抱える、トップクランの1つです。
 稼ぎは充分あり、後は旦那様を見付け結婚するだけでした。

「あ~、最近のダンジョン内で食べる料理は、本当に美味しくなったねぇ。あの子の料理の腕は本物だよ!」

※シンデレラは、ダンジョンで出会った少女が作る料理が大好きでした。
 もし自分が男性だったら、少女をお嫁さんにしたいと思う程です。
 残念ながらシンデレラは女性だったので、少女をお嫁さんには出来ません。
 せめて自分のクランに入ってくれないかと、そればかりを思っています。

「まぁ、私も家持ちになって、可愛い子供が10人・・いるんだ。結婚は、しなくても問題ないだろう。旦那もいると面倒だし、クランメンバーを稼がせてやらなきゃいけないしね。私は今のままで充分幸せだよ」

※こうしてシンデレラは少女のそばで一緒にダンジョンを攻略し、美味しい料理を食べ幸せに暮らしました。
 おしまい。 

 舞踏会も魔法使いも王子様も重要アイテムのガラスの靴も、一切出てこないシンデレラが終了した。
 って言うか、その少女は確実に私ですよね!?
 アマンダさん、何で勝手かってに私をシンデレラへ登場させてるんですか!!
 そして、シンデレラの面影おもかげまったくない話でしたけど……。
 
 棚からアマンダさん達が姿を現すと、皆が立ち上がってのスタンディングオベーションだ!
 何故なぜこの話で、そんなに盛り上がれるのよ?
 子供達なんか目をキラキラさせちゃってるし~。
 女の子の夢と希望どこいった!
 最後、独身でいいやってなっちゃってたよ!

 もうアマンダ・・・・出世物語へ変更した方が良いんじゃないかと思うわ。
 じゃないと、シンデレラの原作者に申し訳なさすぎる……。
 兄と旭は、お腹を抱えヒーヒー言いながら笑ってるしさぁ。
 私は何気にクランの勧誘をされてるようだし。

 もう本当、勘弁して下さい……。
 アマンダさんのシンデレラは、上演禁止にしないと子供達の将来に悪い影響が出そうだよ。
 
 人形劇を終え、アマンダさんのパーティーが私達のもとにやってきた。
 アマンダさんはやりきった表情をし、とても満足そうに笑っている。
 後ろにいるケンさんは、フォローのナレーションで疲れたのか魂が抜けてしまったように生気がない。
 同じパーティーメンバーは、自分達の役がなくなり苦笑していた。

 ハンドパペットを頑張って作った甲斐かいがない。
 変身後の素敵なドレスの人形は、一番時間が掛かった力作だったのに……。
 ダンクさんとアマンダさん、初の人形劇は盛況せいきょうな内に幕を閉じた。
 結果から言うと、お披露目ひろめは大成功だったようだ。
 一体、どっちがより受けた・・・のかは考えないでおこう。

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