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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第176話 迷宮都市 子供達へ初の人形劇披露 『赤ずきんちゃん』 1
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日曜日の炊き出し終了後。
今日は『肉うどん店』の子供達も参加し、ダンクさんとアマンダさんの人形劇を見にきた。
アマンダさんが人形劇をするのを家持ちのリーダーに宣伝したらしく、14パーティーも集合し、ここには約260人もいる。
そう、ついにあのイロモノと化した人形劇の初披露を迎えてしまった……。
あれが物語の内容として成立するかどうかはともかく、原作者に申し訳ないので私は一計を案じ、兄と旭にお願いし最初にちゃんと物語通りの劇を私達3人でする事にしたのだ。
まずは最初に前回兄が紙芝居で読み聞かせた、『赤ずきんちゃん』から始める。
アースボールで棚を作り、話している人間が見えないようにハンドパペットだけを棚の上から出す。
3分の2の子供は既に物語を知っているけど、こういう話は先の展開を知っていても楽しめるのが良い所。
配役は勿論、兄がおばあさんに化けた狼、私はお母さん・赤ずきんちゃん・お婆さん、旭は狩人と男女に分かれた。
お母さんから、赤ずきんちゃんが森の向こうにいる病気のお婆さんのお見舞いに、手土産を持っていってほしいと頼まれる所から物語は始まる。
手渡された篭には、ワインとチーズと木苺のパイが入っていました。
お母さんと「寄り道をしない事」を約束し、赤ずきんちゃんは森へ出掛けます。
森で悪い狼に出会い、行き先を聞かれ病気のお婆さんのお見舞にいくと赤ずきんちゃんは話してしまいました。
悪い狼は言葉巧みに赤ずきんちゃんから、お婆さんの家を聞き出すのに成功。
悪い狼は、お婆さんと赤ずきんちゃんを食べてしまおうと画策し、お花を摘んであげたらと提案します。
お母さんとの約束を忘れた赤ずきんちゃんは、お花摘みにすっかり夢中になってしまいました。
優しい赤ずきんちゃんは、お婆さんにお花を摘んでいけば喜ぶと思ったのです。
ですが悪い狼はその間に先回りし、おばあさんをペロリと丸呑みにしてしまいました。
悪い狼はお婆さんになりすまし、ベッドの中に潜り込み赤ずきんちゃんを食べようと待ち構えています。
赤ずきんちゃんは、おばあさんの様子がいつもと違う事に気付いて色々な質問をしました。
ここのやり取りは、一番のメインイベントなので兄と息を合わせ大袈裟に演じる。
「お婆さん、どうしてお耳がそんなに大きいの?」
「それはね、おまえの声が遠くからでもよく聞こえるようにさ」
「お婆さん、なんてギョロギョロしたお目目でしょう?」
「それはね、おまえの顔がよく見えるようにさ」
「お婆さん。耳まで裂けた、なんて大きなお口なの?」
「それは……おまえを一口で食べるためだ!」
「キャー!!」
「グオーッ!」
赤ずきんちゃんが、狼に食べられてしまう場面で子供達から悲鳴が上がった。
狩人が狼のお腹を裂き、お婆さんと赤ずきんちゃんが助け出される場面では拍手喝采が起こる。
物語に聞き入っている観客の反応が嬉しいね。
狩人は狼のお腹に重たい石を入れ、川に沈めて成敗します。
そして、お婆さん・赤ずきんちゃん・狩人は、お母さんから持たされた手土産を一緒に食べました。
赤ずきんちゃんが、お母さんとした約束を破り寄り道してしまったのを話して謝ると、お婆さんは「正直に話してくれてえらいね。次は、お母さんとの約束を守ろうね」と優しく微笑んでくれます。
無事家へ帰った後に赤ずきんちゃんは、お母さんとの約束を破ってしまった事を反省しますが、お母さんは何も言わずにぎゅっと抱きしめるのでした。
お終い。
人形劇が終わり姿を現すと、話を聞いた子供達や冒険者達から大きな拍手があがり、私達はお辞儀をしてダンクさんのパーティーにハンドパペットを渡し次の出番を譲る。
同じ? 物語を2度続けて聞かせるのはどうかと思ったけど、話の内容を覚えている内にイロモノを聞かせた方が、まだましだと考え順番はこのままにしたのだ。
ダンクさんのパーティーが、棚の後ろに隠れて『赤ずきんちゃん』の再演が始まる。
赤ずきんちゃんがお母さんから病気のお婆さんの家へ、お使いを頼まれる所までは順調に進んでいく。
多少、お母さんと赤ずきんちゃんの声が野太いけれど大丈夫だろう。
問題は、ここからだ。
悪い狼役のリリーさんが、可愛らしい声で赤ずきんちゃんに声を掛ける。
「あら、赤いずきんがとっても素敵ね! どこにいくの?」
「はぁ? 何だてめぇは、魔物の癖に喋りやがって。俺が討伐してやるから覚悟しろよ!」
「えっ? 私は魔物ではありません。ただの狼ですから、討伐するのは勘弁して下さい」
「なんだそうか、ただの狼なのか? 獣が言葉を話せるなんて、聞いた事がないけどなぁ~。で、俺に何か用でもあるのか?」
「先程、これからどこにいくのか聞いたんですけど……」
「お前は馬鹿か? 知らないやつに行先を教える訳ないだろう。母さんから、病気の婆ちゃんへ見舞いにいけって頼まれてんだ。俺は忙しいから先にいくわ。じゃあな!」
ダンクさん?
赤ずきんちゃんは女の子なのに俺って言っちゃってるし、行先教えないって言った傍から、おばあさんの見舞いにいくのをしれっと話してますけどね。
それに悪い狼が話す事まで突っ込まないで下さいよ~。
狼が話せないと物語が始まらないから!
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今日は『肉うどん店』の子供達も参加し、ダンクさんとアマンダさんの人形劇を見にきた。
アマンダさんが人形劇をするのを家持ちのリーダーに宣伝したらしく、14パーティーも集合し、ここには約260人もいる。
そう、ついにあのイロモノと化した人形劇の初披露を迎えてしまった……。
あれが物語の内容として成立するかどうかはともかく、原作者に申し訳ないので私は一計を案じ、兄と旭にお願いし最初にちゃんと物語通りの劇を私達3人でする事にしたのだ。
まずは最初に前回兄が紙芝居で読み聞かせた、『赤ずきんちゃん』から始める。
アースボールで棚を作り、話している人間が見えないようにハンドパペットだけを棚の上から出す。
3分の2の子供は既に物語を知っているけど、こういう話は先の展開を知っていても楽しめるのが良い所。
配役は勿論、兄がおばあさんに化けた狼、私はお母さん・赤ずきんちゃん・お婆さん、旭は狩人と男女に分かれた。
お母さんから、赤ずきんちゃんが森の向こうにいる病気のお婆さんのお見舞いに、手土産を持っていってほしいと頼まれる所から物語は始まる。
手渡された篭には、ワインとチーズと木苺のパイが入っていました。
お母さんと「寄り道をしない事」を約束し、赤ずきんちゃんは森へ出掛けます。
森で悪い狼に出会い、行き先を聞かれ病気のお婆さんのお見舞にいくと赤ずきんちゃんは話してしまいました。
悪い狼は言葉巧みに赤ずきんちゃんから、お婆さんの家を聞き出すのに成功。
悪い狼は、お婆さんと赤ずきんちゃんを食べてしまおうと画策し、お花を摘んであげたらと提案します。
お母さんとの約束を忘れた赤ずきんちゃんは、お花摘みにすっかり夢中になってしまいました。
優しい赤ずきんちゃんは、お婆さんにお花を摘んでいけば喜ぶと思ったのです。
ですが悪い狼はその間に先回りし、おばあさんをペロリと丸呑みにしてしまいました。
悪い狼はお婆さんになりすまし、ベッドの中に潜り込み赤ずきんちゃんを食べようと待ち構えています。
赤ずきんちゃんは、おばあさんの様子がいつもと違う事に気付いて色々な質問をしました。
ここのやり取りは、一番のメインイベントなので兄と息を合わせ大袈裟に演じる。
「お婆さん、どうしてお耳がそんなに大きいの?」
「それはね、おまえの声が遠くからでもよく聞こえるようにさ」
「お婆さん、なんてギョロギョロしたお目目でしょう?」
「それはね、おまえの顔がよく見えるようにさ」
「お婆さん。耳まで裂けた、なんて大きなお口なの?」
「それは……おまえを一口で食べるためだ!」
「キャー!!」
「グオーッ!」
赤ずきんちゃんが、狼に食べられてしまう場面で子供達から悲鳴が上がった。
狩人が狼のお腹を裂き、お婆さんと赤ずきんちゃんが助け出される場面では拍手喝采が起こる。
物語に聞き入っている観客の反応が嬉しいね。
狩人は狼のお腹に重たい石を入れ、川に沈めて成敗します。
そして、お婆さん・赤ずきんちゃん・狩人は、お母さんから持たされた手土産を一緒に食べました。
赤ずきんちゃんが、お母さんとした約束を破り寄り道してしまったのを話して謝ると、お婆さんは「正直に話してくれてえらいね。次は、お母さんとの約束を守ろうね」と優しく微笑んでくれます。
無事家へ帰った後に赤ずきんちゃんは、お母さんとの約束を破ってしまった事を反省しますが、お母さんは何も言わずにぎゅっと抱きしめるのでした。
お終い。
人形劇が終わり姿を現すと、話を聞いた子供達や冒険者達から大きな拍手があがり、私達はお辞儀をしてダンクさんのパーティーにハンドパペットを渡し次の出番を譲る。
同じ? 物語を2度続けて聞かせるのはどうかと思ったけど、話の内容を覚えている内にイロモノを聞かせた方が、まだましだと考え順番はこのままにしたのだ。
ダンクさんのパーティーが、棚の後ろに隠れて『赤ずきんちゃん』の再演が始まる。
赤ずきんちゃんがお母さんから病気のお婆さんの家へ、お使いを頼まれる所までは順調に進んでいく。
多少、お母さんと赤ずきんちゃんの声が野太いけれど大丈夫だろう。
問題は、ここからだ。
悪い狼役のリリーさんが、可愛らしい声で赤ずきんちゃんに声を掛ける。
「あら、赤いずきんがとっても素敵ね! どこにいくの?」
「はぁ? 何だてめぇは、魔物の癖に喋りやがって。俺が討伐してやるから覚悟しろよ!」
「えっ? 私は魔物ではありません。ただの狼ですから、討伐するのは勘弁して下さい」
「なんだそうか、ただの狼なのか? 獣が言葉を話せるなんて、聞いた事がないけどなぁ~。で、俺に何か用でもあるのか?」
「先程、これからどこにいくのか聞いたんですけど……」
「お前は馬鹿か? 知らないやつに行先を教える訳ないだろう。母さんから、病気の婆ちゃんへ見舞いにいけって頼まれてんだ。俺は忙しいから先にいくわ。じゃあな!」
ダンクさん?
赤ずきんちゃんは女の子なのに俺って言っちゃってるし、行先教えないって言った傍から、おばあさんの見舞いにいくのをしれっと話してますけどね。
それに悪い狼が話す事まで突っ込まないで下さいよ~。
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