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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第173話 迷宮都市 革靴の依頼
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私のシルバーウルフ製の耳当ては、きっと優しい老紳士がぴったりのサイズを作ってくれる筈。
老紳士へ目で訴えると、分かっておりますと言うようにひとつ頷いてくれた。
「注文通り、ちゃんと出来ていると思います。このまま製作を続けて下さい。寒くなる前に欲しいのですけど全て揃うのは、いつ頃くらいになりますか?」
「そうですね……。数が少し多いのと、耳当てのこの部分は難しい作業になりますから、最長で2ヶ月程お時間を下さい。スヌードに関しましては、1ヶ月あればお渡し出来ると思います」
老紳士が、耳当てのアーム部分を指してそう回答した。
確かに、この世界にない仕様だから時間が掛かるのも無理はない。
「分かりました。1ヶ月後に、先ずはスヌードを引き取りにきます」
「畏まりました。お客様そのぉ…大変無礼を承知のうえで、お願いしたい件がございまして……」
なんだろう?
老紳士が私にお願いしたい件?
もう少しシルバーウルフの皮が欲しいとか?
「どうぞ、お話し下さい。私に出来る事なら協力させてもらいます」
私に促され、口籠った老紳士が躊躇いがちに口を開いた。
「ご注文頂きました商品の仕様を、私の店に売って頂きたいのです。勿論その分に相当する金額はお支払い致しますので、どうかお願い出来ませんでしょうか」
何だ、特許料とかアイデア料の話ね。
でもこれ日本じゃ普通に売ってる商品だから、お金を受け取るのは気が引ける。
「分かりました。でもお金は必要ありません。その代わりと言っては何ですが、フォレストディアの皮を持参してきたので、3人分の革靴を作ってもらえませんか?」
そう言って私は床に布を広げ、マジックバッグから取り出したフォレストディアの皮を置く。
高級服店では鞄・靴・宝飾品等も販売されているので、専任の職人さんがいる筈だ。
「これはまた、傷ひとつない上等な皮ですね。それで宜しければ、幾らでも作らせて頂きますとも! 本当にありがとうございます。先日収めて下さいましたワイルドウルフの皮も、注文の品を作製した後に残った分をお引き取り致します。その皮で、店用の商品を作りたいと考えておりますので」
「どうぞ是非そうして下さい。残った皮を返却されても困りますから、商品として販売するのであればお互い利益になりますしね」
「畏まりました。それで3人分の靴というのは、他にどなたの分を作製すればよいのでしょうか?」
事前に私と兄と旭の足型を写し取った羊皮紙を、マジックバッグから取り出して渡す。
足のサイズが分かれば、本人がいなくても作れるだろうと思い持ってきたのだ。
老紳士は手渡した羊皮紙を見ながら、サイズを確認していたから問題ないだろう。
お互いWIN・WINな取引が出来て良かった。
笑顔の老紳士に、店の外まで丁寧に見送られ少し恥ずかしい。
私は一般人なので、こういう対応をされると恐縮してしまう。
ハイブランドの店とか、兄達と違い入った事もないしさぁ……。
そもそもオーダーメイドで服を作った経験なんてないわ。
子供の頃、母が編んでくれたカーディガンやセーターを着たくらいかしら?
母は手先がとても器用で、ミシンも編み物も刺繍もパッチワークも何でも出来た。
小学校の担任の先生から、母が作ったカーディガンを見て自分にも作ってほしいと言われるほど腕も良かったのだ。
確かにあのカーディガンは、複雑な編み方で素敵だった。
大人用の物を私が凄く気に入り、るんるん気分で学校へ着ていき、それを先生が目敏く見付けたのよね。
結局先生には素人の作った物だからと、母は断っていたけど……。
今でも実家に、あのカーディガンは置いてあるのかな?
私の編み物の腕じゃ、到底作れないカーディガン。
少しだけ母を思い出して寂しい気持ちになる。
親にとって子供が幾つになっても子供のように、子供にとっても親はずっと親のままだ。
55歳になった今でも、親が恋しい気持ちに変わりはない。
懐かしさに思いを馳せながら、これからいく『肉うどん店』の母親達の腕は少しでも上達しただろうかと楽しみになる。
最初はスヌードも編もうと思っていたけど、数が多いので諦めたのだ。
ワイルドウルフの皮を使用し高級服店の『華蘭』に注文したので、かなり贅沢品になってしまったけど……。
実際に費用は0なので、まぁ大丈夫だろう。
それより毛糸のパンツはともかく、セーターに手袋は時間がなさすぎたか?
初心者5人じゃ手に余りそう……。
これは少し、予定を変更する必要があるかも知れない。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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老紳士へ目で訴えると、分かっておりますと言うようにひとつ頷いてくれた。
「注文通り、ちゃんと出来ていると思います。このまま製作を続けて下さい。寒くなる前に欲しいのですけど全て揃うのは、いつ頃くらいになりますか?」
「そうですね……。数が少し多いのと、耳当てのこの部分は難しい作業になりますから、最長で2ヶ月程お時間を下さい。スヌードに関しましては、1ヶ月あればお渡し出来ると思います」
老紳士が、耳当てのアーム部分を指してそう回答した。
確かに、この世界にない仕様だから時間が掛かるのも無理はない。
「分かりました。1ヶ月後に、先ずはスヌードを引き取りにきます」
「畏まりました。お客様そのぉ…大変無礼を承知のうえで、お願いしたい件がございまして……」
なんだろう?
老紳士が私にお願いしたい件?
もう少しシルバーウルフの皮が欲しいとか?
「どうぞ、お話し下さい。私に出来る事なら協力させてもらいます」
私に促され、口籠った老紳士が躊躇いがちに口を開いた。
「ご注文頂きました商品の仕様を、私の店に売って頂きたいのです。勿論その分に相当する金額はお支払い致しますので、どうかお願い出来ませんでしょうか」
何だ、特許料とかアイデア料の話ね。
でもこれ日本じゃ普通に売ってる商品だから、お金を受け取るのは気が引ける。
「分かりました。でもお金は必要ありません。その代わりと言っては何ですが、フォレストディアの皮を持参してきたので、3人分の革靴を作ってもらえませんか?」
そう言って私は床に布を広げ、マジックバッグから取り出したフォレストディアの皮を置く。
高級服店では鞄・靴・宝飾品等も販売されているので、専任の職人さんがいる筈だ。
「これはまた、傷ひとつない上等な皮ですね。それで宜しければ、幾らでも作らせて頂きますとも! 本当にありがとうございます。先日収めて下さいましたワイルドウルフの皮も、注文の品を作製した後に残った分をお引き取り致します。その皮で、店用の商品を作りたいと考えておりますので」
「どうぞ是非そうして下さい。残った皮を返却されても困りますから、商品として販売するのであればお互い利益になりますしね」
「畏まりました。それで3人分の靴というのは、他にどなたの分を作製すればよいのでしょうか?」
事前に私と兄と旭の足型を写し取った羊皮紙を、マジックバッグから取り出して渡す。
足のサイズが分かれば、本人がいなくても作れるだろうと思い持ってきたのだ。
老紳士は手渡した羊皮紙を見ながら、サイズを確認していたから問題ないだろう。
お互いWIN・WINな取引が出来て良かった。
笑顔の老紳士に、店の外まで丁寧に見送られ少し恥ずかしい。
私は一般人なので、こういう対応をされると恐縮してしまう。
ハイブランドの店とか、兄達と違い入った事もないしさぁ……。
そもそもオーダーメイドで服を作った経験なんてないわ。
子供の頃、母が編んでくれたカーディガンやセーターを着たくらいかしら?
母は手先がとても器用で、ミシンも編み物も刺繍もパッチワークも何でも出来た。
小学校の担任の先生から、母が作ったカーディガンを見て自分にも作ってほしいと言われるほど腕も良かったのだ。
確かにあのカーディガンは、複雑な編み方で素敵だった。
大人用の物を私が凄く気に入り、るんるん気分で学校へ着ていき、それを先生が目敏く見付けたのよね。
結局先生には素人の作った物だからと、母は断っていたけど……。
今でも実家に、あのカーディガンは置いてあるのかな?
私の編み物の腕じゃ、到底作れないカーディガン。
少しだけ母を思い出して寂しい気持ちになる。
親にとって子供が幾つになっても子供のように、子供にとっても親はずっと親のままだ。
55歳になった今でも、親が恋しい気持ちに変わりはない。
懐かしさに思いを馳せながら、これからいく『肉うどん店』の母親達の腕は少しでも上達しただろうかと楽しみになる。
最初はスヌードも編もうと思っていたけど、数が多いので諦めたのだ。
ワイルドウルフの皮を使用し高級服店の『華蘭』に注文したので、かなり贅沢品になってしまったけど……。
実際に費用は0なので、まぁ大丈夫だろう。
それより毛糸のパンツはともかく、セーターに手袋は時間がなさすぎたか?
初心者5人じゃ手に余りそう……。
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