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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第165話 迷宮都市 手作りのハンドパペット

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 日曜日の炊き出し終了後。
 今日も子供達が一緒に遊びたいと言うから、私は皆で出来る『だるまさんがころんだ』を教えてあげた。
 『だるま』がこの世界にあるか不明なので、ダンク・・・さんがころんだと言い換えた。

 遊び方を教えたら、最初の鬼役は私がする。
 アースボールで壁を作り、離れた場所に並んでいる子供達へ大声で「始めの一~~~歩!」と合図。

 すると子供達は大きく一歩を踏み出した。
 壁に向かいゆっくりと「ダ~ンクさ~んがこ~ろんだ」と言い、振り返って子供達の様子を見る。
 最初は誰も動かない。
 次は速く言うのがお約束だ。

「ダンクさんがころんだ!」
 
 私の言葉についていけず動き出した子供達が静止出来ない。
 静止していない子供達を呼び小指をつないでいく。
 もう一度壁に向かい、後半部分を速く言ってみる。
 
「ダ~ンクさ~んがころんだ!」

 素早く振り返ると、また何人か静止出来ない子供達を呼び小指をつなぐ。
 まぁ流石さすがに子供達相手じゃ大人気おとなげないので、次は普通に言って子供達が鬼から逃げられるようにしたんだけどね。

 無事逃げ出した子供達に「ストップ」と声をかけ、10歩以内にいる子供へタッチして鬼の交代だ。
 次に鬼役になった子供は、私の真似をし上手く速さを変えている。
 小さい子供が鬼になった場合は20歩以内にしてあげよう。 

 年長者が、なるべく小さい子供が鬼にならないように配慮する場面があった。
 感心しながら見ていると、旭が鬼になったようだ。
 こちらは手加減なしに次々と子供達を呼び出すから私が助けてあげる。
 1時間程満足するまで遊び、兄が大きいみかんを配っていった。
 
 子供達が遊びたいと思うようになったのは、生活に余裕が生まれたからだろう。
 冒険者登録をして1ヶ月程したら、大抵の子供はE級になり討伐依頼を受ける。
 収入が増えたので、遊ぶ事にも時間がけるようになったのだ。
 いい傾向になってきたなと嬉しく思う。

 兄達をホームに送り届け、今週も迷宮ダンジョン地下10階のワイルドウルフとシルバーウルフを狩りにいく。
 見かけたアウラウネとナイトメアの魔石を換金用に取り出し、地下10階にいる全てのワイルドウルフとシルバーウルフを倒したら終了。
 
 解体場のアレクおじさんに、今日も皮は換金しないと言ったらとても残念がられた。
 服を着替えて高級服店(華蘭からん)にいき、老紳士の店長さんへシルバーウルフ15匹分の皮を卸した後、今後の相談をしていく。

 やっぱり私達の分を傷のない革で作るのは勿体もったいないと言われ、冒険者ギルドから買い取った物を使用する事になった。 
 今回倒したワイルドウルフ26匹分と合わせ、合計50匹分あれば330人分は作製出来るそうなのでお願いする。

 他には、この世界の生地見本をいくつか見せてもらった。
 ダンクさん達とアマンダさん達が、とても張り切り物語の読み聞かせをしようとしているから、私も何かお手伝いしようと思いハンドパペットを作るのだ。
 この世界の生地見本の状態を見て使用出来る物を確認すると、老紳士にお礼を言ってシルバーウルフの代金、金貨120枚(1億2千万円)を受け取り店を出る。

 自宅に戻って本屋へいき、ハンドパペットの作り方の本をいくつか購入。
 簡単に出来る型紙も付いているから素人の私でも作れるだろう。
 公爵邸で拝借はいしゃくした沢山あるリーシャの服や、私の着なくなった古着のい目をほどき、ハンドパペットの生地として再利用。

 私は持っていないけど住人の部屋にミシンがあったので、手縫いよりは早いだろうと高校の家庭科の授業以来一度も使用していないミシンの使い方を思い出しながら、型紙に合わせ切った布を縫っていく。 

 そして、いくら探しても取り扱い説明書が見当たらず、DVDになっていたのに驚いた。
 いや~、世代の違いを感じるねぇ~。
 こうやって紙媒体ばいたいの物は減っていくのか……。
 
 子供の頃は新学期になると学校へ雑巾を持っていく必要があって、母が使い古したバスタオルやタオルを使用しミシンで雑巾に縫ったり、通学時に持っていける可愛いアップリケの付いた手提げ鞄を作ってくれたりしたのを思い出す。

 今は100均にいけば雑巾(3枚入り)が安く買えるので、わざわざ雑巾を縫う家庭は減っているんだろうな~。
 昔は一家に一台あったミシンも、持っていない家庭が増えている。
 1人暮らしだった私もミシンは使用する機会がないので買っていない。

 今のミシンは大分コンパクトで、片手で持ち上げられる程軽量になっていた。 
 しかもボタン1つで有名キャラクターの刺繍ししゅうをしてくれる。
 日本国民なら知らない人はいない、あの猫の耳にリボンがついたキャラとか〇ィズニーのキャラや、〇ーターラビット・〇ケモンなんかもあった。

 私の知らない内にミシンはかなり進化していたようだ。
 これなら作ってもらった子供も喜ぶだろう。
 今回はハンドパペットを作るので使用しないけど、これアプリコットを入れる巾着に刺繍してあげたら可愛いかも?
 
 そんな時代のギャップを感じつつ、シンデレラや赤ずきんちゃんの登場人物の服を再利用した布で作製する。
 型紙があったお陰で、上手く作れたんじゃないかしら?
 特にこだわったのは、シンデレラが舞踏会へいく時の衣装だ。
 これはリーシャが父親に初めて会った時着ていた、ピンク色のドレス生地を使用した。

 女の子の夢が叶う瞬間なので、ちょっと豪華ごうかにフリルを沢山付けたドレスにしたのだ。
 かなりゴスロリちっくになってしまったけど、この世界の人には分かるまい。
 この1着を縫うのに結構時間が掛かってしまった……。

 シンデレラを虐める継母や継姉達の衣装も、シンデレラとの境遇の違いを感じられるよう、公爵邸にあった後妻の服を使用して少し下品・・な感じに仕上げる。
 虐められている時のシンデレラの服は、私が最初にリーシャになった時着ていたボロい古着を使用した。
 
 赤ずきんちゃんの衣装は、狩人以外普通の物にする。
 一応狩人がヒーローなので格好良く見えるような衣装を考えた。
 絵本より動きのあるハンドパペットの方が、子供達も楽しめるんじゃないかな?
 後は、あのアレンジされまくりの内容だけが問題だ……。

 どうしてあんな内容に変化してしまったのか謎すぎる。
 一応、ハッピーエンドで終わってはいるけどね。

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