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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第161話 迷宮都市 地下13階 担架の必要性 2

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 2人が戻り2回目の攻略開始。
 兄はシャインマスカットを探しにいったので、旭と2人で魔物討伐だ。
 忘れないよう午前中に狩った魔物を出し、旭へ魔石取りの処理をお願いする。

「沙良ちゃん。俺が魔石取りしている間に、そこら辺りの木の枝を数本切ってくれない?」 

 旭に突然、木の枝を切ってほしいと言われ首をかしげる。

「いいけど、何に必要なの? 太さはどれぐらい?」

「あぁ、ごめん。説明するの忘れてた。さっき賢也けんや担架たんかの作り方を冒険者達に教えようと話してたんだよ。出来るなら、あまり動かしてほしくない状態の時もあるからね。今日みたいに、抱き抱えて運ばれると傷口が開いたりして危険なんだ。その点、担架たんかで運ぶだけでも安全度が増す。作り方は難しくないし、ちょうどこの場所には森があるからさ」

「そういう事ね、分かった。じゃあ私の手首くらいの太さの枝を何本か切り落とすよ」

「よろしくね~」

 旭から離れ森の中にある木から、丁度良いと思われる枝をウィンドボールで切り離す。
 枝から更に余分な枝を切り1本の棒になるよう加工していく。
 のこぎりは不要なため私でも簡単に出来る作業だ。
 魔法の自由度が高くて助かる。
 これでDIYとかしても楽しそう。

 そんな事を考えながらしていると、旭の魔石取りが終わったみたいだ。
 何本か作成した棒を収納して戻る。

「担架って、どうやって作るの?」

「あぁ、じゃ一緒に作ってみようか。枝を2本、出してくれる?」

 私は先程収納した2本の枝を取り出してみせる。

「えっと、沙良ちゃん何か布を持ってないかな」

「布団のシーツなら沢山あるよ?」

「それで大丈夫」

 私はアイテムBOX内にあるシーツを取り出し旭へ渡した。
 すると旭はシーツを横向きにし、左から3分の1の場所へ棒を置き折り返した。
 次に折り返した辺の端に十分な余裕を取り、棒をもう1本置いて右側も折り返す。
  最後に右側から折り返したシーツを、左の棒に掛け折り返すと完成のようだ。

 へぇ~、充分な布の長さがあれば私でも出来る。
 冒険者はマジックバッグを持っているから、布と2mくらいの棒を2本常備しておけば、いつでも担架が作れるようになるね。
 でも布が無い場合は、どうしたらいいんだろう?
  
「旭、棒は森の木を切って作るれるけど、布が無い場合はどうしたらいいの?」

「そういう場合は棒を持ったまま、上着を脱げばいいんだよ」

 ??
 私が理解出来ないでいると旭から棒を2本持つように言われ、その通り持ってみる。
 旭が鎧を脱いでから上着に手をかけ、下からひっくり返すように棒を2本持ったまま脱ぎ出した。

 おおっ、なるほど。
 実践されると非常に分かりやすいです。
 そして、上着の下は裸ですか……。

 小さい頃から一緒に育っているので、旭の裸くらいじゃ今更照れないけど今は体が若いからね。
 その均整のとれた上半身に少しだけ見惚みとれてしまった。
 冒険者活動している事や、毎週ジムに兄と2人で通っている効果もあるんだろうなぁ~。

 私がじっくり体をながめていると、視線に気が付いたのか旭がポージングの真似をしだす。 
 男性って、こういう所が子供っぽいよね。
 私が笑い出すと、旭は益々調子に乗って色々なポーズを決め出す。
 やだ可笑おかしい!
 笑いで腹筋がつりそうだわ~。

 そしてそんなタイミングで、シャインマスカットの収穫を終えた兄がやってきたものだから、旭が兄に頭を叩かれる。
 ダンジョン攻略中に、馬鹿な真似してるんじゃないと怒られたようだ……。
 旭は担架の作り方を私に説明していただけだと、言い訳を必死にしたけど兄の旭を見る冷ややかな目は変わらなかった。

 女性の前で、みだりに裸になるなともう一度叩かれていた。
 私は何とも思わないんだけど、兄の過保護な教育的にはNGらしい。
 見た目は若いけど私もう55歳なんですけどね……。
 兄の目には、19歳のリーシャとしての姿が映るので心配なんだろうか?

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