自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生（？）しましたが、自由に生きることにしました

第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第131話 迷宮都市 地下13階 兄達の男性事情？

　月曜日。
　今日から5日間またダンジョン攻略。
　階段へ一直線に、地下1階から地下11・・階まで駆け抜ける。
　兄がランダムに生る果物の収穫をしたいらしく、地下11階で兄とは別行動になる。

　私と旭は再び地下11階から地下13階まで駆け抜けた。
　安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
　アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。

　兄がいない事に2人が気付きどうしたのか聞かれたので、

「地下12階の桃を収穫しにいったから置いてきました」

　と答えると2人に大爆笑された。
　地下11階の梨と地下13階のシャインマスカットは内緒だから、桃の話にしておいたのだ。
　兄は梨を収穫したら、当然そこにあるりんごも収穫したいと思う筈はず。
　同様に桃を収穫後は、みかんも収穫せずにはいられないだろう。

　だから今回は地下13階のピオーネのみ、私達2人で収穫する。
　シャインマスカットを収穫したら、兄の楽しみを奪ってしまうからね。

　薬草採取とピオーネの収穫をしながら、コボルト達を昏倒させ槍で突き刺す。
　キラービーの集団がやってきた。
　ハニービーも換金額が高いので忘れず発見次第、昏倒させ槍で突き刺し収納。

　ピオーネを収穫しながら、西の川沿いを歩いていたら旭とバッタリ会った。
　粗方あらかたピオーネの収穫が済んだので、魔力草を採取しにきたらしい。
　私もピオーネの収穫をほぼ終えた所だったため、合流し迷宮サーモンを一緒に狩りにいく。

　旭が良い方法があると自慢げに言うから見ると、川へサンダーボールを撃ち迷宮サーモンを感電させている。
　ぷかぷかと浮いてきた5匹の迷宮サーモンを、止めのライトボールで瞬殺。
　おおっ、確かに簡単だ！

　そして私はある事が非常に気になっていたため、直ぐには収納せず迷宮サーモンの体内をマッピングで調べる。
　そう、鮭ではないけどイクラは取れるのか疑問に思っていたのだ。
　更に体長5ｍある迷宮サーモンのイクラの大きさも……。

　残念、体内に卵はなかったようだ。
　全部雄・だったのだろうか？
　今後は全ての迷宮サーモンを調べ検証しようと思う。
　主に私の知的好奇心のために……。

　3時間後。
　安全地帯のテントに戻ると兄の機嫌が良い。
　どうやら地下11階の梨も地下12階の桃も、無事収穫出来たようだ。

　アイテムＢＯＸに入れるため出してもらうと、りんごもみかんも軒並のきなみ収穫していた。
　2階層分だから数が凄すごい事になっている。

　テントから自宅に戻り昼食。
　本日のお弁当は鳥そぼろ・炒いり卵・絹さやの3色をご飯の上に載せ、キンピラとタコさんウインナーを添えてある。
　大根・えのき・豆腐の味噌汁＆麦茶と一緒に頂きます。

　精神年齢60歳手前の私達のお弁当の中に、タコさんウインナーを入れるのはどうかと言う意見もあるだろうけど、足がくるんとして可愛いから良いのだ！
　同じ理由でウサギリンゴも止められない！

　ナポリタン好きな兄も、あらびきウインナーじゃなく赤ウインナーを使用しないと怒るから、家の冷蔵庫にはいつも両方のウインナーが入っている。
　そしてあんかけパスタに使用する物も、あらびきウインナーは邪道だ。

　テントから出て2回目の攻略。
　兄はシャインマスカットを探す旅に出掛けたので、旭と一緒に魔物討伐だ。
　襲ってきたフォレストディアを昏倒させ槍で突き刺す。
　忘れない内に午前中狩ったコボルト系とキラービーを出し、旭へ魔石取りのお願いをする。
　
　毎日出せばそれ程量はないので旭も嫌な顔はしない。
　もし文句を言うのなら、私が《お好みで》料理してあげよう。

　何を？　ナニ・・に決まっている。
　急所に一突きすれば黙るだろう。
　自分で治せばいいから使用出来なくなる心配はない。
　
　まぁこの12年間使用した事はないだろうし、これからも使用出来る機会があるとは然そう然そう思えないけど……。
　ここはそろそろ王都いきを、本格的に考えてあげた方が良いかも知れない。

　兄だって7年半一度も……。
　実の兄には聞けないし、いい機会だから旭へ聞いてみようか。
　私は魔石取りをする旭へ、やにわに尋ねてみた。

「ねぇ旭、王都にいくの興味ある？」

「うん？　突然だね。また何かのスイッチ入っちゃった？」

「それどういう意味かしら？　単純に聞いてみただけよ！　ほら12年間、出来なかった事とか色々・・あるでしょ？　2人は何も言わないけど、そろそろどうなのかなって……」

「？？　王都へ何か用事でもあった？　あそこには『白銀はくぎんの剣つるぎ』の元メンバーだった、連れ子がいるからいかない方が良いと思うけど」

「ああっ！　そうだった、すっかり忘れてたよ！　いるじゃん性悪サリナが！　駄目だ王都にいくのは止めよう」

　迷宮都市で、何度もニアミスしそうになったサリナの顔を思い出す。
　本当に義理の母親そっくりになっており驚いた。
　向こうには気付かれていなかったけど、やっぱりあの子は何かおかしい気がするのだ。

　具体的にどこがと言われると困ってしまうけど、7年前ほんの数時間しか会わなかった際に覚えた違和感の正体がどうしても気になる。
　自分が12歳だった時の記憶は古すぎて、子供の頃どうだったかあまり思い出せない。
　それでも、もっと無邪気さがあったような気がする……。

「うん、そうした方がいいと思う。沙良ちゃんは、何で急に王都いきの話をした訳？」

　そんな直球に聞かれると2人の息子・・さんの話は言い辛づらい。
　いくら幼馴染とはいえ隠したい事もあるだろうし……。
　私は苦し紛れに適当な理由を言ってみる。

「えっと、旅行的な感じで？　私達まだ、どこへも旅行にいってないしね」

「う～ん、賢也けんやは早く自分のマンションに帰りたそうだから、当分迷宮都市から離れるのは賛成しないと思うよ。旅行へいきたいなら、Ｌｖを30に上げてからじゃないと無理かも知れない」　　　

「そっか～、楽しみにしてるもんね。分かった。旅行の話は、マンションをホームにした後でするよ」
　
「でも、この世界の旅行って基本馬車だから大変そうだなぁ。地元料理も美味しそうじゃないし。それならもっとＬｖを上げて日本国内を旅行した方が楽しいかも？　俺も仕事が忙しくて、いった事ない場所が多いんだよね～」

「それってかなり遠い先の未来になりそう……。1年でＬｖ4しか上がらないんじゃねぇ～」　

　自宅のホームから観光名所へいくには、少なくとも80kmは必要だ。
　Ｌｖ30に上げた後、残り50Ｌｖを上げようとするなら12年以上かかる計算になる。
　しかも私がいきたい温泉は更に遠いのだ……。

「ははっ、確かに。俺も北海道とか沖縄とか、沙良ちゃんのホームでいきたいけどなぁ」

「うん、寿命が幾つあっても足りないと思う」

　夏は北海道、冬は沖縄に是非ぜひいってみたい！
　Ｌｖが50になったら、ホームの移動出来る半径が2倍とかならないかしら？
　
　ほらクイズ番組みたいに、今までの回答で得られたポイントの意味がなくなるくらい高得点の最終問題があるでしょ？
　今までこつこつ溜めたポイント以上に入るから、最終問題だけ正解して1位になる人がいたり……。

　例えばＬｖ50になったら、ボーナスで100Ｋｍ追加とかになりませんか？
　私はこっそり『手紙の人』にお願いしておいた。

　コーヒーチケットが使えなくなった時、他の溜めていたポイントカードも使用出来ないと分かり嘆なげいていたけど、後日ドラッグストアーにいったらポントカードを通す機械がレジの横にあったのだ。
　よく通う本屋のポントカードを通す機械もあった。

　もしかしたら『手紙の人』は、私達の様子を見ているんじゃないかしら？

「残念。おっと、そろそろ集合時間だよ」

　腕時計を見ると午後3時だ。
　安全地帯へ戻るため兄の下もとへ移転する。

　結局、王都いきの件はすっかり旅行の話へ変わってしまい、肝心かんじんな男性にまつわる話は出来なかった。
　まぁ2人共、いい年をした大人だから適度に発散しているだろう。
　ただ相手がねぇ……。

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