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第二章・亡霊サミット
原爆ドームでの開催
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2023年5月19日~21日、日本の議長国の下でG7首脳会合が広島で開催されたが、霊界の世界では22日深夜零時から原爆ドームで亡霊サミットの開催予定があり、数名の作業員が中庭南側の捻じ曲がったらせん階段より機材を運び、5階では技術者が鉄骨の梁に電磁絨毯を張り、通信設備とデスクが床に並べられて、漆喰の剥がれた壁に数台のモニターが設置され、中央の展示ケースに重要機器が飾られた。
「まさか、サミットに招待されるとはな」
「警備兼任ってことでしょ?」
「坂本さんからは次のミッションに関係している、と言われた」
平和記念公園の小道で拓郎と福子が原爆ドームを眺めて立ち話をしている。拓郎はリムジンバスで広島タウンに戻ると、研究所の医療施設で両腕の形成手術を行い、右腕はギブスをして三角巾を巻いて吊り、左手首は大きめの手袋をして包帯で固定している。
「でも拓郎、腕は大丈夫なの?」
「二、三日もすれば、完全に接着する。福子、リハビリを兼ねて練習しようぜ」
「やっぱ、ドMだわ」
(霊界ゾーンは魂のエネルギー体が浮遊する暗黒の世界であるが、生者との境目にある連結ゾーンは霊体を形成する物質構造が液体空気に変化し、形成と粘着が容易であり、広島ダウンにある研究所には霊義体の腕や足の部位が冷凍保存してある。)
「そんな手術、私は絶対にやりたくないよ。ものすごく痛いし、拒絶反応もあるんだろ?持ち主の魂に憑依された者もいるってエビデンスもあるじゃないか」
拓郎は痛みを感じない体質と自己の魂の磁力が強く、多重ゴーストとして他者の魂を取り入れる意志の強さがあった。
福子が顔を顰めて包帯を指で突き「そのうちフランケンって呼ばれるよ」と忠告したが、拓郎は原爆ドームの上階で手を振る坂本和也を見て歩き出し、「無視かよ」と福子が唇を尖らせて追いかける。
機材を運び終えた作業員は階下へ降り始め、拓郎と福子は邪魔にならないように螺旋階段の端っこを駆け上がり、2階から4階の下見をして5階のメイン会場へと向かう。
「凄い設備ですね」
「今回の亡霊サミットは各国の首脳が出席し、ロシアのウクライナ侵攻が議題になるからな」
「と言っても、リモートなんだろ」
福子は吹き抜けの壁際に立ち、クレーンでドームの屋根にパラボナアンテナがセッティングされるのを眺め、拓郎は技術者と打ち合わせをする坂本和也に手招きされて、中央付近の展示ブースへ歩み寄る。
「まさか、サミットに招待されるとはな」
「警備兼任ってことでしょ?」
「坂本さんからは次のミッションに関係している、と言われた」
平和記念公園の小道で拓郎と福子が原爆ドームを眺めて立ち話をしている。拓郎はリムジンバスで広島タウンに戻ると、研究所の医療施設で両腕の形成手術を行い、右腕はギブスをして三角巾を巻いて吊り、左手首は大きめの手袋をして包帯で固定している。
「でも拓郎、腕は大丈夫なの?」
「二、三日もすれば、完全に接着する。福子、リハビリを兼ねて練習しようぜ」
「やっぱ、ドMだわ」
(霊界ゾーンは魂のエネルギー体が浮遊する暗黒の世界であるが、生者との境目にある連結ゾーンは霊体を形成する物質構造が液体空気に変化し、形成と粘着が容易であり、広島ダウンにある研究所には霊義体の腕や足の部位が冷凍保存してある。)
「そんな手術、私は絶対にやりたくないよ。ものすごく痛いし、拒絶反応もあるんだろ?持ち主の魂に憑依された者もいるってエビデンスもあるじゃないか」
拓郎は痛みを感じない体質と自己の魂の磁力が強く、多重ゴーストとして他者の魂を取り入れる意志の強さがあった。
福子が顔を顰めて包帯を指で突き「そのうちフランケンって呼ばれるよ」と忠告したが、拓郎は原爆ドームの上階で手を振る坂本和也を見て歩き出し、「無視かよ」と福子が唇を尖らせて追いかける。
機材を運び終えた作業員は階下へ降り始め、拓郎と福子は邪魔にならないように螺旋階段の端っこを駆け上がり、2階から4階の下見をして5階のメイン会場へと向かう。
「凄い設備ですね」
「今回の亡霊サミットは各国の首脳が出席し、ロシアのウクライナ侵攻が議題になるからな」
「と言っても、リモートなんだろ」
福子は吹き抜けの壁際に立ち、クレーンでドームの屋根にパラボナアンテナがセッティングされるのを眺め、拓郎は技術者と打ち合わせをする坂本和也に手招きされて、中央付近の展示ブースへ歩み寄る。
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