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第十章・学園での決戦
ダーク司祭の魔眼と弱点
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江国は立ち上がると冷静さを取り戻し、教師と一般の洗脳者に指示を出して連たちを襲わせ、自分は学園長として壇上へ上がり魔王に接見しに行く。
『剣が抜けたの?』
司祭に近寄り、黒い蛾を振り払って本の中から魔王の剣が現出するのを覗くと、MOMOEが一緒に本の中から飛び出してステージの端に着地した。
「えっ、なんで?」
司祭は書物を閉じ、魔王が握る剣の鍔にぶら下がるピンクのリボンを指で摘んで投げ捨て、衣服を整えて立つMOMOEを睨み付け、その背後で江国はおろおろと立ち尽くす。
「魔王は未完成なのでは?」
「なんだと……」
MOMOEが指摘したように、田代の体は完全に暗黒のエネルギーに対応できず、副反応が発症して魔王の剣を持つ腕の皮膚が泡立ち崩れ始めた。
江国が顔を顰めて『ダメか?』と思った瞬間、味方に守られた連が文子の肩を借りてクスノキの銃を撃った。洗脳者は四人のゴーストの盾と剣に押し返され、景子と順也と久美子も教師たちに抵抗している。
ギュン!と銀色ドングリ弾が司祭の左眼に飛び、命中したかに見えたが、寸前で剣が振られ剣身に弾かれて田代の眉間にめり込む。
すると血の王冠が消え、黒い皮膚と肉が崩れて骨と臓物が露わになり、壇上にカメラを向けた松田が吐きそうになっている。
「ボディ・スナッチャー」と連が嘆くのを文子は不思議そうに振り返ったが、すぐにその意味を理解し、四人のゴーストも壇上にジャンプしてMOMOEの近くで剣と盾を構えた。
魔王の剣はダーク司祭の手にあり、田代の体を脱ぎ捨てた魔王は司祭に乗り移り、黒い蛾のアイパッチを剥がして眼窩の奥から飛び出た魔眼で周辺を眺めた。
体育館から逃げ出そうとした生徒が床に這う魔文字に足止めされ、魔眼の力で校舎の全ての扉は封印され、パトカーで学園に駆け付けた数名の警察官が中へ入れず洗脳者に囲まれている。
「残念だけど振り出しだ」
「もっと悪いかもよ」
「うん、不利は否めないね」
文子と順也と久美子は肩を落とし、恐怖で震えながら席へ戻る生徒と壇上の前に集まる洗脳者を眺めたが、連は笑顔でクスノキの銃を宙に放り投げた。
「MOMOEのプラスを忘れてませんか?」
フクロウのペンに戻って飛び、MOMOEが受け取って連たちに微笑む。
しかし田代の肉の残骸から魔文字が分散して壇上の床を這い、MOMOEと四人のゴーストは宙に浮いて逃れ、江国は司祭の頭上に血の王冠が現れたのを見て、壇上の前へ出て信者と生徒たちにスピーチした。
「皆さん、落ち着いてください。田代ではなく、学園長の私だったら耐えられたのよ」
連が不安そうに「江国先生だけ、空気が読めてない」と呟き、文子と久美子と順也、景子も湊家族と一緒にステージを見上げる。
「司祭さまは私たちを導く尊い聖職者であります。黒い血に手を染めてはいけません。私が魔王へ体を差し出します」
江国は注目を浴びていると思ったが、観衆は江国の背後で書物と剣を持つ司祭の動きを観て息を止め、スパッと江国の首が剣で刎ねられた瞬間にゴクリと呑み込んだ。
ダーク司祭は書物を開き、転がった首と立ったままの江国の体をページの中に吸い込ませ、ブラックホールに落ちて塵となって消滅するのを観衆に見せた。
「望み通り、血の一滴残さず貰った」
ダーク司祭の言葉に場内が響めき、書物の中に渦巻くブラックホールを見せ付けられ、『禁断の書』は黒い墓場へ通ずる扉だと慄く。
黒いガス雲が書物から噴き出て、魔文字が宙に煌めいて渦巻き、観衆の髪が逆立って衣服が飛ばされ、前列の洗脳者が数名ブラックホールに吸い込まれて消え、松田はカメラを投げ捨てて連たちの方へ駆け寄り助けられた。
この時、上空の黒雲の渦巻きに空中潜水艦が引き寄せられて沈み込み、ゴースト職人が計器のメーターを見て浮力をアップした。
「船体が降下している。凄い重力だ」
「危険だ。学園から離れろ」
クルミが丸窓から突風でパトカーが浮いて警察官が避難するのを見下ろし、外側のブリキのボルトが緩み、船内のパイプが外れて蒸気が漏れたが、司祭の声がスピーカーに流れて嵐は止んだ。
「安心しろ。従えば物語は続く。しかし反抗する者は本の中で消滅する」
司祭は満悦の笑みで書物を閉じて演台に置き、左眼の青いビー玉を指で摘んで投げ捨て、眼窩から魔眼を現出させようとした。
「完全な魔王になるつもりだ」とフクロウのペンの声がゴースト職人と連たちに聴こえ、MOMOEと四人のゴーストが司祭に近寄るが剣先を向けられて宙に止まる。
その時、景子は香奈江から手に隠していた眼玉を渡されて驚いたが、『弱点……』と唇を動かすのを見て連に相談する。
「司祭は目の手術をしたのよね?」
「そっか、司少年の心は目に残っている」
連は受け取った眼玉を手のひらに転がして呟き、MOMOEも閃いてすぐに反応した。藤堂司は青いビー玉の目を与えられて司祭になり、魔眼になって全て奪われようとしている。
「人の目が過去の物語を映し出す」
『剣が抜けたの?』
司祭に近寄り、黒い蛾を振り払って本の中から魔王の剣が現出するのを覗くと、MOMOEが一緒に本の中から飛び出してステージの端に着地した。
「えっ、なんで?」
司祭は書物を閉じ、魔王が握る剣の鍔にぶら下がるピンクのリボンを指で摘んで投げ捨て、衣服を整えて立つMOMOEを睨み付け、その背後で江国はおろおろと立ち尽くす。
「魔王は未完成なのでは?」
「なんだと……」
MOMOEが指摘したように、田代の体は完全に暗黒のエネルギーに対応できず、副反応が発症して魔王の剣を持つ腕の皮膚が泡立ち崩れ始めた。
江国が顔を顰めて『ダメか?』と思った瞬間、味方に守られた連が文子の肩を借りてクスノキの銃を撃った。洗脳者は四人のゴーストの盾と剣に押し返され、景子と順也と久美子も教師たちに抵抗している。
ギュン!と銀色ドングリ弾が司祭の左眼に飛び、命中したかに見えたが、寸前で剣が振られ剣身に弾かれて田代の眉間にめり込む。
すると血の王冠が消え、黒い皮膚と肉が崩れて骨と臓物が露わになり、壇上にカメラを向けた松田が吐きそうになっている。
「ボディ・スナッチャー」と連が嘆くのを文子は不思議そうに振り返ったが、すぐにその意味を理解し、四人のゴーストも壇上にジャンプしてMOMOEの近くで剣と盾を構えた。
魔王の剣はダーク司祭の手にあり、田代の体を脱ぎ捨てた魔王は司祭に乗り移り、黒い蛾のアイパッチを剥がして眼窩の奥から飛び出た魔眼で周辺を眺めた。
体育館から逃げ出そうとした生徒が床に這う魔文字に足止めされ、魔眼の力で校舎の全ての扉は封印され、パトカーで学園に駆け付けた数名の警察官が中へ入れず洗脳者に囲まれている。
「残念だけど振り出しだ」
「もっと悪いかもよ」
「うん、不利は否めないね」
文子と順也と久美子は肩を落とし、恐怖で震えながら席へ戻る生徒と壇上の前に集まる洗脳者を眺めたが、連は笑顔でクスノキの銃を宙に放り投げた。
「MOMOEのプラスを忘れてませんか?」
フクロウのペンに戻って飛び、MOMOEが受け取って連たちに微笑む。
しかし田代の肉の残骸から魔文字が分散して壇上の床を這い、MOMOEと四人のゴーストは宙に浮いて逃れ、江国は司祭の頭上に血の王冠が現れたのを見て、壇上の前へ出て信者と生徒たちにスピーチした。
「皆さん、落ち着いてください。田代ではなく、学園長の私だったら耐えられたのよ」
連が不安そうに「江国先生だけ、空気が読めてない」と呟き、文子と久美子と順也、景子も湊家族と一緒にステージを見上げる。
「司祭さまは私たちを導く尊い聖職者であります。黒い血に手を染めてはいけません。私が魔王へ体を差し出します」
江国は注目を浴びていると思ったが、観衆は江国の背後で書物と剣を持つ司祭の動きを観て息を止め、スパッと江国の首が剣で刎ねられた瞬間にゴクリと呑み込んだ。
ダーク司祭は書物を開き、転がった首と立ったままの江国の体をページの中に吸い込ませ、ブラックホールに落ちて塵となって消滅するのを観衆に見せた。
「望み通り、血の一滴残さず貰った」
ダーク司祭の言葉に場内が響めき、書物の中に渦巻くブラックホールを見せ付けられ、『禁断の書』は黒い墓場へ通ずる扉だと慄く。
黒いガス雲が書物から噴き出て、魔文字が宙に煌めいて渦巻き、観衆の髪が逆立って衣服が飛ばされ、前列の洗脳者が数名ブラックホールに吸い込まれて消え、松田はカメラを投げ捨てて連たちの方へ駆け寄り助けられた。
この時、上空の黒雲の渦巻きに空中潜水艦が引き寄せられて沈み込み、ゴースト職人が計器のメーターを見て浮力をアップした。
「船体が降下している。凄い重力だ」
「危険だ。学園から離れろ」
クルミが丸窓から突風でパトカーが浮いて警察官が避難するのを見下ろし、外側のブリキのボルトが緩み、船内のパイプが外れて蒸気が漏れたが、司祭の声がスピーカーに流れて嵐は止んだ。
「安心しろ。従えば物語は続く。しかし反抗する者は本の中で消滅する」
司祭は満悦の笑みで書物を閉じて演台に置き、左眼の青いビー玉を指で摘んで投げ捨て、眼窩から魔眼を現出させようとした。
「完全な魔王になるつもりだ」とフクロウのペンの声がゴースト職人と連たちに聴こえ、MOMOEと四人のゴーストが司祭に近寄るが剣先を向けられて宙に止まる。
その時、景子は香奈江から手に隠していた眼玉を渡されて驚いたが、『弱点……』と唇を動かすのを見て連に相談する。
「司祭は目の手術をしたのよね?」
「そっか、司少年の心は目に残っている」
連は受け取った眼玉を手のひらに転がして呟き、MOMOEも閃いてすぐに反応した。藤堂司は青いビー玉の目を与えられて司祭になり、魔眼になって全て奪われようとしている。
「人の目が過去の物語を映し出す」
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