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第三章・フクロウのペン
イマジネーション・パワー
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『ミレフレ』の少女と王子はフクロウのペンで描いた窓を開け、手を繋いでカラフルな森へ逃げ出したが、魔王が黒い岩槍のような雹をグレーの空から降らせて行手を阻む。
『罠にかかったな。お前の王子を殺し、フクロウのペンを我が物にする』
魔王が狙っていたのはフクロウのアイテムであり、少女を縮小させてガラスのドームで覆われた模型の中に住まわせ、囮として見張っていたのだ。
『危ない』
『大丈夫。私に構わず走って』
少女と王子は森を映し出す盾を上に向けて身を隠し、緑色になった森の中をジグザグに走ったが、黒い岩槍の雹は辺り一面に降りかかり、盾に突き刺さってボロボロになってしまう。
雹に触れた部分は色が失われ、黒く変色し、家の窓からカラフルな森の道が続いていたが、虫に喰われて穴が空くように黒い染みで侵食された。
『跪いて命乞いすれば、命だけは許してやっても良いぞ。王子は暗黒の牢に、お前はわしと結婚するのだ』
もちろんフクロウのペンは人間界を侵略する道具として使わせてもらう。敢えてそれは言わず笑みを浮かべたが、少女は魔王の狙いを知っていた。
『絶対にコレは渡さない』
フクロウのペンは少女の胸ポケットに入っていたが、揺れてこぼれ落ちそうになり、翼を広げて飛び上がって少女の耳元で囁く。
『このままじゃ、ヤラレルぞ』
『わかってる。王子だけでも助けて』
グレーの空を見上げると黒い雲の塊が現れ、それが飛び散ってコウモリの大群になり、少女の真上に迫って周辺の草木に黒い影を落とした。
少女は王子の秘められた力に希望を抱き、立ち止まって自らが標的になり、砕けた盾を投げ捨てて空を見上げて魔王へ叫ぶ。
『魔王よ。望み通り、私が女王になる。だから、もうヤメなさい!』
降り掛かった黒い岩槍は1メートル程の位置でピタッと止まり、コウモリの大群もスピードを緩めて上空を舞い、魔王の巨大な眼が雲の切れ目から現れた。
『いいだろう』
魔王はガラスのドームから森を覗き、少女の申し出に興味を示したが、王子を助けるつもりは毛頭ない。空中で止まった黒い岩槍の雹《ヒョウ》がピュッと斜めに動き出して王子へ向かい、コウモリは少女の周辺を飛び交う。
その時、フクロウのペンは少女の服の下に潜り込み、足元から草むらに隠れて低空飛行して王子に近付き巨大なフクロウに変身した。
『王子。今のうちに逃げましょう』
『ダメだ。僕は少女を救いに来たんだぞ』
王子はそう言って腰の剣を抜いたが、フクロウは嫌がる王子の背中を掴んで飛び立ち、黒い岩槍から逃れた。
『捕らえよ』
その指示でコウモリも向きを変えて王子を追い、王子の背中を足で掴んで空を舞うフクロウは羽を散らして落下するが、王子が手を伸ばして足を掴むとペンに戻り一瞬で消え去った。
『なに?』
魔王が王子が空に丸いハッチを描き、中に入って閉めたのを見て驚く。
『フクロウのペンを使えるのは少女と自分だけと思っていたが……。しかもかなりのパワーだ』
少女はひとり森に佇み、黒い岩槍とコウモリの影が再び森を荒れ果てたモノクロームに変えたが、空の向こうで唖然としている魔王を想像して微笑んだ。
『フクロウのペンと王子がいつか私を助けに来てくれる』そう心の中で願い、部屋の中で手で触れて、見つめ合った瞬間を思い浮かべた。
連は『ミレフレ』の小説を読みながら、少女の危機にハラハラして手の汗を握り締め、時には悔しそうに叫び、王子がフクロウにアドバイスされてイマジネーションの能力を磨き上げ、フクロウのペンの使い手になって、少女の救出に向かうのを期待した。
『罠にかかったな。お前の王子を殺し、フクロウのペンを我が物にする』
魔王が狙っていたのはフクロウのアイテムであり、少女を縮小させてガラスのドームで覆われた模型の中に住まわせ、囮として見張っていたのだ。
『危ない』
『大丈夫。私に構わず走って』
少女と王子は森を映し出す盾を上に向けて身を隠し、緑色になった森の中をジグザグに走ったが、黒い岩槍の雹は辺り一面に降りかかり、盾に突き刺さってボロボロになってしまう。
雹に触れた部分は色が失われ、黒く変色し、家の窓からカラフルな森の道が続いていたが、虫に喰われて穴が空くように黒い染みで侵食された。
『跪いて命乞いすれば、命だけは許してやっても良いぞ。王子は暗黒の牢に、お前はわしと結婚するのだ』
もちろんフクロウのペンは人間界を侵略する道具として使わせてもらう。敢えてそれは言わず笑みを浮かべたが、少女は魔王の狙いを知っていた。
『絶対にコレは渡さない』
フクロウのペンは少女の胸ポケットに入っていたが、揺れてこぼれ落ちそうになり、翼を広げて飛び上がって少女の耳元で囁く。
『このままじゃ、ヤラレルぞ』
『わかってる。王子だけでも助けて』
グレーの空を見上げると黒い雲の塊が現れ、それが飛び散ってコウモリの大群になり、少女の真上に迫って周辺の草木に黒い影を落とした。
少女は王子の秘められた力に希望を抱き、立ち止まって自らが標的になり、砕けた盾を投げ捨てて空を見上げて魔王へ叫ぶ。
『魔王よ。望み通り、私が女王になる。だから、もうヤメなさい!』
降り掛かった黒い岩槍は1メートル程の位置でピタッと止まり、コウモリの大群もスピードを緩めて上空を舞い、魔王の巨大な眼が雲の切れ目から現れた。
『いいだろう』
魔王はガラスのドームから森を覗き、少女の申し出に興味を示したが、王子を助けるつもりは毛頭ない。空中で止まった黒い岩槍の雹《ヒョウ》がピュッと斜めに動き出して王子へ向かい、コウモリは少女の周辺を飛び交う。
その時、フクロウのペンは少女の服の下に潜り込み、足元から草むらに隠れて低空飛行して王子に近付き巨大なフクロウに変身した。
『王子。今のうちに逃げましょう』
『ダメだ。僕は少女を救いに来たんだぞ』
王子はそう言って腰の剣を抜いたが、フクロウは嫌がる王子の背中を掴んで飛び立ち、黒い岩槍から逃れた。
『捕らえよ』
その指示でコウモリも向きを変えて王子を追い、王子の背中を足で掴んで空を舞うフクロウは羽を散らして落下するが、王子が手を伸ばして足を掴むとペンに戻り一瞬で消え去った。
『なに?』
魔王が王子が空に丸いハッチを描き、中に入って閉めたのを見て驚く。
『フクロウのペンを使えるのは少女と自分だけと思っていたが……。しかもかなりのパワーだ』
少女はひとり森に佇み、黒い岩槍とコウモリの影が再び森を荒れ果てたモノクロームに変えたが、空の向こうで唖然としている魔王を想像して微笑んだ。
『フクロウのペンと王子がいつか私を助けに来てくれる』そう心の中で願い、部屋の中で手で触れて、見つめ合った瞬間を思い浮かべた。
連は『ミレフレ』の小説を読みながら、少女の危機にハラハラして手の汗を握り締め、時には悔しそうに叫び、王子がフクロウにアドバイスされてイマジネーションの能力を磨き上げ、フクロウのペンの使い手になって、少女の救出に向かうのを期待した。
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