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第ニ章・ゴーストの正体
Len & Momoe
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『Bi-hún』のドアを開け、傘立てにビニール傘を突っ込んだ連はマスターにアイスコーヒーを頼み、いつもの窓側の席に着いてiPhone9スペースブラックをテーブルに置き、鞄からヘッドホンを取り出す。
「ひとり?友だちも来るの」
「ウォーターガール」
遠藤由美が水を持って来て、連は片足立ちでそのグラスに透かして店内を眺めて微笑み、由美が首を傾げるのも構わず、席を離れて斜め前の無人のテーブルにグラスをそっと置いて戻る。
「光のスペクトルかも」
「レンくん。な、なんのマネ?」
連には少女のゴーストが席に座っているのが見え、光の波長で他の人間には見えないのだと思った。
「イマジネーションです」
「ますます意味不明」
由美はカウンターに戻り、マスターの高木博之と連の方を見てコソコソ話しているが、連は気にせずにヘッドホンをして、iPhone9で小説サイト『エディバー』を開き、トップランキングを独走中の小説『ミレフレ』の作者の名前を見る。
偶然にしても、ゴーストはMのサインをして連にMOMOEと名乗った。もし幻の小説の作者と関連しているとしたから、自分にこの本を読めたいうメッセージではないのか?
『君と僕はめぐり逢い、世界を超えて恋をする』
連はそんなロマンチックな想像をして微笑み、由美は「恋してる顔よ」と呟き、マスターはカウンター越しに「いつもじゃない」と答えた。
そして少女のゴーストはテーブルのグラスを覗き込み、人差し指をグラスの縁に触れて連の笑顔を水面に浮かべる。
『ミレフレ』のサブタイトルは『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』。連はヘッドホンをして、透き通るような真っ白のブックデザインを見つめて最初のページを捲った。
【ミレフレ】作者:Len & Momoe
『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』
ジャンル・ファンタジー
あらすじ・無し 作者コメント・無し
『色を失った世界。ある国の森の奥に小さな白い家があり、ひとりの少女が囚われていた。魔王が変えた無の世界であるが、少女は希望を失わず、カラフルな世界を取り戻そうと想像を膨らます』
ドアも窓もない部屋の机の上に24色のクレヨンが置いてある。あか、しゅいろ、だいだいいろ、みかんいろ、きいろ、レモンいろ、きみどり、みどり……と並んでいるが、どのクレヨンも透明なので画用紙に描いても何も見えない。
「色が欲しいなー」
少女は微笑みを忘れない。瞳が涙に濡れたら、水色の悲しみで何か描けるかもと、心の空にカモメを描いて水平線まで飛ばすのだ。
椅子に座ったまま両手を上げて背伸びをし、唯一外の存在を感じる天井の丸窓を見上げて両手を握り合わせて祈る。
「お願い。私の世界を変えてください」
連はiPhoneの液晶画面を傾け、角度を変えると光の反射で物語の文字が映像化される感覚になり、透明だが立体的な家がiPhoneの上に現れた。
『マジで?』
白い家の丸窓は白い雲で覆われているので、少女の視界は遮られて青空は見えず、連が上から家の中を見下ろしているのも知らなかった。
連は丸窓の上の白い雲に人差し指を向けて、スワイプするように避けてやると、少女が小さな丸窓を見上げて両手を広げて驚くのが見えた。
『君がMOMOE?』
その時、店内のテーブル席でグラスの水面に連の顔を映し出すゴーストの少女が声を発する。
『Len……』
ヘッドホンで清らかな呼び声を聴いた連はゴーストに顔を向け、サイレントからトーキーになったと思った。
「喋れるのか?」
片耳だけヘッドホンを外して、無人のテーブル席を見つめる連の姿をカウンターからマスターと由美が見て頭を抱えたが、連とモモエが声でも繋がった瞬間である。
「ひとり?友だちも来るの」
「ウォーターガール」
遠藤由美が水を持って来て、連は片足立ちでそのグラスに透かして店内を眺めて微笑み、由美が首を傾げるのも構わず、席を離れて斜め前の無人のテーブルにグラスをそっと置いて戻る。
「光のスペクトルかも」
「レンくん。な、なんのマネ?」
連には少女のゴーストが席に座っているのが見え、光の波長で他の人間には見えないのだと思った。
「イマジネーションです」
「ますます意味不明」
由美はカウンターに戻り、マスターの高木博之と連の方を見てコソコソ話しているが、連は気にせずにヘッドホンをして、iPhone9で小説サイト『エディバー』を開き、トップランキングを独走中の小説『ミレフレ』の作者の名前を見る。
偶然にしても、ゴーストはMのサインをして連にMOMOEと名乗った。もし幻の小説の作者と関連しているとしたから、自分にこの本を読めたいうメッセージではないのか?
『君と僕はめぐり逢い、世界を超えて恋をする』
連はそんなロマンチックな想像をして微笑み、由美は「恋してる顔よ」と呟き、マスターはカウンター越しに「いつもじゃない」と答えた。
そして少女のゴーストはテーブルのグラスを覗き込み、人差し指をグラスの縁に触れて連の笑顔を水面に浮かべる。
『ミレフレ』のサブタイトルは『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』。連はヘッドホンをして、透き通るような真っ白のブックデザインを見つめて最初のページを捲った。
【ミレフレ】作者:Len & Momoe
『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』
ジャンル・ファンタジー
あらすじ・無し 作者コメント・無し
『色を失った世界。ある国の森の奥に小さな白い家があり、ひとりの少女が囚われていた。魔王が変えた無の世界であるが、少女は希望を失わず、カラフルな世界を取り戻そうと想像を膨らます』
ドアも窓もない部屋の机の上に24色のクレヨンが置いてある。あか、しゅいろ、だいだいいろ、みかんいろ、きいろ、レモンいろ、きみどり、みどり……と並んでいるが、どのクレヨンも透明なので画用紙に描いても何も見えない。
「色が欲しいなー」
少女は微笑みを忘れない。瞳が涙に濡れたら、水色の悲しみで何か描けるかもと、心の空にカモメを描いて水平線まで飛ばすのだ。
椅子に座ったまま両手を上げて背伸びをし、唯一外の存在を感じる天井の丸窓を見上げて両手を握り合わせて祈る。
「お願い。私の世界を変えてください」
連はiPhoneの液晶画面を傾け、角度を変えると光の反射で物語の文字が映像化される感覚になり、透明だが立体的な家がiPhoneの上に現れた。
『マジで?』
白い家の丸窓は白い雲で覆われているので、少女の視界は遮られて青空は見えず、連が上から家の中を見下ろしているのも知らなかった。
連は丸窓の上の白い雲に人差し指を向けて、スワイプするように避けてやると、少女が小さな丸窓を見上げて両手を広げて驚くのが見えた。
『君がMOMOE?』
その時、店内のテーブル席でグラスの水面に連の顔を映し出すゴーストの少女が声を発する。
『Len……』
ヘッドホンで清らかな呼び声を聴いた連はゴーストに顔を向け、サイレントからトーキーになったと思った。
「喋れるのか?」
片耳だけヘッドホンを外して、無人のテーブル席を見つめる連の姿をカウンターからマスターと由美が見て頭を抱えたが、連とモモエが声でも繋がった瞬間である。
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