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第六章・精霊秘体の探索

薔薇のタイムトンネル

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 ファラはジェンダ王子を挑発して仰向けに寝転がって足を開いたが、アルダリが鉄の下着から抜き取った魔物コアンの矢で股間の秘部を射抜かれ、衝撃的なエネルギーが幻想を巻き起こし、エクスタシーの快感と深海の闇を覗き込む恐怖感がファラの深層心理を混沌とさせた。

『私は何者?』と呟いたのは自分の過去に不信感を抱き、美しい母を慕う少女ファラが精霊秘体の世界に現出している。

「そこを通しなさい。世界に害をもたらしてるのはそっちです」

「俺らは腐食の呪いを止めたいだけだ。君の母親の事も知らないし、魔女狩りなんて、中世の頃の話だろ?」

「私を嘘つきだと言うのね?」

 少女ファラが赤い唇を歪ませて長い舌をペコちゃんのように出し、両腕を広げて手のひらから火球の炎を宙に浮き上がらせた。

「戦うしなかねーか?」

「ダメよソング。下を見て」

 ソングが腰の剣を抜こうとしたが、チーネに言われて少女が立つ赤い薔薇の下を覗き込むと、太い茎の形成層に赤い液体が流れてマグマの渦巻く地底へ続いている。

「なんかヤバそう」

「ここは火薬庫なんだよ。傷付けずにバラのトンネルに入り込むしなかない」

「了解した。少女を泣かすのは俺の主義に反するしな」

「ちょっと、私の炎から逃れると思ってるの?」

 少女ファラが火球を投げようとするが、アルダリの声が聴こえて耳を傾けモーションを停止した。中山教授を拷問した時、「貴方に母の思い出はありますか?四姉妹に母の記憶はない筈だ。何故なら、全員が化合物で製造された人間だからね」と言われて激昂したのは、矛盾する記憶を内包し、核心を突かれて混乱したからである。
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