上 下
53 / 75
第六章・精霊秘体の探索

異次元の空間

しおりを挟む
「ソング、魔女は僕とトーマに任せてエリアンの相手をしろ」

 アリダリはジェンダ王子が危険な時間稼ぎを買って出たと感心した。

「珍しく、アグレッシブじゃな」

「アルダリ、それで?」

「ふむ、ヴァギナの迷路へ入り込め。ソングとチーネと魔女は同じ精霊秘体じゃから、異次元の空間を共有できる筈じゃ」

「わかった。チーネの声を聴こえるようにするね」

 チーネがそう言ってアルダリの耳に蝶の羽の鱗粉リンプンを振り撒いた。これで数分間は離れていても心の中で会話ができる。

「頼んだぞ」

 アルダリがジャケットに袖を通してサングラスを掛け、下は赤い褌で手に鉄の下着を持って王子の登ったロープを掴んで登り始めるが、毛虫がぶら下がった感じでモゾモゾと進まない。

 ウルガンは壁際にあった丸椅子を持って教授の近くに移動し、上階の見える位置に座り込んで観戦したが、体に埋め込まれた水晶玉が左腕に移動して、手の甲から顔を出す痛みに顔を歪めた。

『悪いが、これも仕事でね』

 肉を削られて腕から血が滴っているが、必死に水晶玉のレンズを上階へ向けた。

 
 ファラはトーマの顔を鞭で打ち、上階から蹴り落としたがジェンダ王子が現れてギリギリで助けた。

「おっ、イケメンが参戦したか?」

 歓迎しながらも笑顔で口から炎を吹きかけ、デニムのジャケットを焼いて脱がせ、白いシャツも焦げたが王子は腰の剣を抜いて構える。

 トーマはトカゲの被り物をして炎を避け、パイプの手摺りを背にして空手の構えをすると、鉄の下着を頭に乗せたアルダリがなんとかロープを登りきって登場した。

「魔女ファラよ。わしが相手じゃ」

 そう言って股間のイチモツを誇示したが、ファラの炎を浴びてジャケットも赤い褌も燃えてしまう。

「ひえー。わしの大事なモノが」と必死に赤い褌の火の粉を払い、鉄の下着を前に向けて炎を防ぐ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

彼女はいなかった。

豆狸
恋愛
「……興奮した辺境伯令嬢が勝手に落ちたのだ。あの場所に彼女はいなかった」

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。

つくも
ファンタジー
【レベル0】――これはソル・ユグドラシルが15歳の時に得たスキルである。  このスキルがあるおかげでソルのレベルは最低基準のレベル0から一切の上昇をしなかったのである。ソルは生まれつき強くなる事ができない運命にあった。対して義理の弟は驚異的な速度で剣技が向上する当たりスキル【久遠の剣聖】を得る事となる。    その結果、ソルは役立たずの無能として実家を追放されてしまう。なんとソルは表向きは存在していない危険なダンジョン——裏ダンジョンに捨てられてしまうのであった。絶体絶命の状況下でありながら、そこでソルは気づいてしまったのだ。このレベル0という外れスキルを利用した裏技に。  その裏技とはレベルアップ時のスキルポイントを利用したものであった。経験値は取得できないがスキルポイントだけは取得できる。 レベルが上がらない事により高効率でスキルポイントを稼ぎ、スキルポイントをステータスに変換する『ステータス変換』というスキルを取得し、ステータスを高効率で上げていく。  レベルが上昇しない事を逆手に取った成長方法でソルは加速度的に強くなり、裏ダンジョンを攻略してしまう。  しかしソルは攻略した裏ダンジョンが生還不可能な極悪難易度なものだと知らず、自身が世界最強になっている事にすら気づいていなかった。    これは追放されたレベル0の無能剣士が無自覚に無双する英雄譚である。 ※他サイトでも公開中

処理中です...