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第六章・精霊秘体の探索

チーネの決断

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「友よ。ありがとう」

 赤い褌姿で両腕組んで考え込むアリダリに、友情シーンに不似合いだとジェンダ王子が上着を掛けてやる。

「コアンは魔界にしか存在しない。ランス、マンダーは完全に闇に堕ちたのだろう」

「どうする?」

「ソングが魔女とSEXする手もあるが、ドラゴンを発動する前に腐るだろうな~」

「なに呑気なこと言ってんだ」

 エリアンが盾と剣を構えて階段へ向かい、呆れた表情でファラを倒しに向かったが、チーネがそれを見てソングに許可を与えた。

『ソング、エリアンを抱きなさい』

『えっ?ダメだ。俺が好きなのチーネだけだぞ』

『わかってる。これは戦略だよ。エリアンはレズだけど、王子の弓矢でソングが女の子に見えてる。でも、一度だけだぞ』

 チーネはそう耳元で囁き、アリダリにこの作戦を伝えに宙を飛んだ。妖精族も神族もSEXに関しては人間族のようなモラルは無いが、愛については人間以上に重要視している。

『世界を救うためだよ』

 そう心に言い聞かせ、背中の蝶の羽を羽ばたかせて急ぐ。

「アリダリ」

 目の前に妖精の縮小形態ともいえる蝶の羽を生やしたチーネが現れ、アリダリはファラのフェロモンを浴びて花冠のメシベがオシベの花粉で受粉したと理解した。

「おお~、チーネか。ちっちゃくなったな」

「うん。でも、これでドラゴンを案内できるぞ。ソングはエリアンにやらせて」

「なるほど」

 すぐ隣で聞いていたジェンダ王子が驚いてチーネに問う。自分が蒔いた種であるが、まさかこんな事態になるとは想定してなかった。

「チーネ。いいのか?」

「うん。ソングの愛を信じているから」

 そう聞いて王子は微笑み、すぐに行動に移した。ジェンダーに悩む自分がキューピッドの弓矢で恋のゲームを仕掛けるのは、究極の愛を見極めたいからである。

「わかった。魔女は任せろ」

 そう言って床に落ちていたリードのロープを上階のパイプに絡ませて、スルスルと登って行く。
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