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第三章・戦士チームの旅立ち
ユグドラシルへ
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戦士チームは徒歩で巨石の連なる急な山道を進み、波の紋様の岩肌に囲まれた自然の通路を抜けると、開けたスペースに鍵師トーマが岩の上にぽつんと座っているのが見えた。
旅慣れたトーマは夜明けと同時にひとりで先に出発し、仲良しのベールゼブフォというビーチボール大のカエルと一緒に待っていた。
「遅かったな」
「王の葬儀の準備を見てから出発したんでな。それでどうだ?何か変わった事は?」
「商人がひとり、通ったそうだぜ」
トーマがアリダリに聞かれてそう答えると、隣のベールゼブフォが大きな口を開けて付け加える。
「ヤズペルだ。アイツ、キライ」
「トーマ、カエルと友だちなのか?」
ソングがベールゼブフォの頭を恐る恐る撫で、チーネは珍しくないのかツノを指で弾いて揶揄った。(古代種で二本のツノがあり、口はかなり大きい。)
「ヤズペルはコイツらを捕まえて、異界へ密輸してたんだ」
「その商人も人間界へ向かったのですか?」
ジェンダ王子がそう聞くと、アリダリが頷いて霧の向こうに見え始めたユグドラシルの木を眺めた。
「間違いない。最早、ユグドラシルは人間界しか通じてないからな」
「行こ。中は迷路だけど、途中までは行ったことある」
チーネがそう言って、石の上を飛び跳ねて先に進む。ソングも負けじとその後を追いかけ、トーマはベールゼブフォと別れを告げてショルダーバックを持って歩き出す。
疲れ切ったアルダリをエリアンが背負い、ジェンダ王子がベールゼブフォに食べかけのパンを放って最後尾からついて行く。
ブロンドの長髪に白いブラウスが定番のジェンダ王子であるが、防具のチョッキとブーツを履き、弓と盾を背負って腰には剣を装着している。
女戦士エリアンはいつもの黒革の戦闘服から筋肉を盛り上がらせ、太い剣と盾を持ち、パンクヘアーにしてメイクも野獣仕様で三角の耳をピンと立てた。
アリダリはサファリファッションで、一角獣の角骨の杖とリュックを背負い、トーマは迷彩服にゴーグルと十字架のペンダントをしてショルダーバックを抱えている。
ソングはキルトのジャケットにハーフパンツで、腰のベルトに剣を装着し、甲虫の防具を胸と肘と膝にしていた。
チーネは黄金色の髪を編み込んだハーフアップスタイル、キルトの鮮やかな花柄の服を着て、甲虫の胸当て、厚手のスリットを腰に巻き、背中の剣はもちろん蜜蜂の剣で腰の皮ベルトに短剣を装着している。
霧の中に聳え立つ巨大なユグドラシルの枯れ木へ戦士チームが迫り、時折、尊厳な雰囲気にそれぞれが足を止めて眺めた。
「木というより、化石ですね?」
ジェンダ王子が初めて見る精霊の木の息遣いに耳を澄ます。
「大丈夫だ。まだ、生きとるわ」
エリアンに背負われていたアリダリが胸の谷間に手を入れようとして投げ落とされ、年老いた自分の事のように答えた。
旅慣れたトーマは夜明けと同時にひとりで先に出発し、仲良しのベールゼブフォというビーチボール大のカエルと一緒に待っていた。
「遅かったな」
「王の葬儀の準備を見てから出発したんでな。それでどうだ?何か変わった事は?」
「商人がひとり、通ったそうだぜ」
トーマがアリダリに聞かれてそう答えると、隣のベールゼブフォが大きな口を開けて付け加える。
「ヤズペルだ。アイツ、キライ」
「トーマ、カエルと友だちなのか?」
ソングがベールゼブフォの頭を恐る恐る撫で、チーネは珍しくないのかツノを指で弾いて揶揄った。(古代種で二本のツノがあり、口はかなり大きい。)
「ヤズペルはコイツらを捕まえて、異界へ密輸してたんだ」
「その商人も人間界へ向かったのですか?」
ジェンダ王子がそう聞くと、アリダリが頷いて霧の向こうに見え始めたユグドラシルの木を眺めた。
「間違いない。最早、ユグドラシルは人間界しか通じてないからな」
「行こ。中は迷路だけど、途中までは行ったことある」
チーネがそう言って、石の上を飛び跳ねて先に進む。ソングも負けじとその後を追いかけ、トーマはベールゼブフォと別れを告げてショルダーバックを持って歩き出す。
疲れ切ったアルダリをエリアンが背負い、ジェンダ王子がベールゼブフォに食べかけのパンを放って最後尾からついて行く。
ブロンドの長髪に白いブラウスが定番のジェンダ王子であるが、防具のチョッキとブーツを履き、弓と盾を背負って腰には剣を装着している。
女戦士エリアンはいつもの黒革の戦闘服から筋肉を盛り上がらせ、太い剣と盾を持ち、パンクヘアーにしてメイクも野獣仕様で三角の耳をピンと立てた。
アリダリはサファリファッションで、一角獣の角骨の杖とリュックを背負い、トーマは迷彩服にゴーグルと十字架のペンダントをしてショルダーバックを抱えている。
ソングはキルトのジャケットにハーフパンツで、腰のベルトに剣を装着し、甲虫の防具を胸と肘と膝にしていた。
チーネは黄金色の髪を編み込んだハーフアップスタイル、キルトの鮮やかな花柄の服を着て、甲虫の胸当て、厚手のスリットを腰に巻き、背中の剣はもちろん蜜蜂の剣で腰の皮ベルトに短剣を装着している。
霧の中に聳え立つ巨大なユグドラシルの枯れ木へ戦士チームが迫り、時折、尊厳な雰囲気にそれぞれが足を止めて眺めた。
「木というより、化石ですね?」
ジェンダ王子が初めて見る精霊の木の息遣いに耳を澄ます。
「大丈夫だ。まだ、生きとるわ」
エリアンに背負われていたアリダリが胸の谷間に手を入れようとして投げ落とされ、年老いた自分の事のように答えた。
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