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第二章・戦士チームの編成

ジェンダ王子

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 戦士チームの名簿が元老院げんろういんと王女エッダに提出され、アルダリも呼ばれて審議が行われたが、ソングの選出だけが四名の老齢の議員から反対された。

「人間の子供が魔術師と戦えるものか?」

「しかもゼツリはこの国を捨て、ミズガルズに住みおった」

「それは誤解じゃ。勇者ゼツリは最期まで我らの為に戦って死んだのじゃぞ」

 アルダリがそう言って怒ったが、元老院は聞き入れず、王女エッダの提案でソングは面接試験で決定する事になった。

「他のメンバーは招集して構いませんね?」

「ふむ、即刻、通達を出しましょう」


 城の回廊を長いスカートの裾を上げて王女エッダが酒蔵に向かい、樽から葡萄酒を瓶詰めしている店主にジェンダ王子の居場所を聞いている。

「王子を見てないか?」

「ああ、ジェンダ王子ならあそこです」

 王女は誰よりもジェンダ王子の事が不安だった。王が愛人に産ませた一人息子で、ブロンド長髪のイケメンであるが、性自認が男性にも女性にもあてはまらず、天使のように愛を振り撒いて遊んでいる。

 王女エッダが思った通り、通達が渡っても若い男の子と一緒に酒蔵の二階の部屋で遊んでいた。

「やべえ、母上だ。じゃー、当分会えないと思うが元気でな」

 ジェンダ王子が全裸でベッドから起き出して、まだ寝ている男の子とキスをして別れを告げ、慌てて服を着てキューピッドの弓と剣を持って部屋を出ようとした。

「父上が腐って死んだというのに、まだ遊んでいるのですか?」

 ドアを開けると王女と出くわして詰め寄られ、ブロンドの髪を掻き上げながらジェンダ王子が後退して反論する。

「いや、寸止めすれば安全なのです。それに僕は性欲より美しい愛に憧れている」

「兎に角、もっと男子らしくしなさい。貴方は王にならなければなりません」

「はい。戦士チームの件なら喜んで戦いますからご安心ください」

 ジェンダ王子はそう言うと、王女に背を向けて窓から逃げ出した。

「こら、待ちなさい」

 王女は部屋に入って窓から叫ぶが、王子は空高く飛び上がって石畳に見事に着地し、手を振って駆けて行く。

「まったく~」

 ため息混じりに王女が呟くと、全裸でベッドで寝ていた若い男の子に微笑みかられ、チラッと股間に露わになった物を見て苦々しく注意した。

「SEXすると、精液でアソコから腐るのよ。暫くは禁欲しなさい」

「わかりました。でも王女さまとなら、死んでも構わないのですが」

 そんな言葉を投げかけられ、無視して部屋を出たが、つい顔が綻んでしまい、王と愛人の哀れな死に様を思い出して気を引き締める。


 逃げ出したジェンダ王子は二階の窓を見上げながら歩いていて、屈強な戦士にぶつかって転びそうになった。
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