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第二章・戦士チームの編成
道具屋の商人
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ヤズベルは流浪の商人と呼ばれ、昔は九つの国を行き来していたが、神々の最終戦争『ラグナロク』後に道は閉ざされ、今はアーズランドとミズガルズ(人間界)で細々と商売をしている。
エピオという象鳥が引く店舗車にYazbel Shopと書かれた派手なステッカーがあり、骨董品から魔術道具、生活用品まで販売していた。(額にオスとメスのマーク記号がある伝書鴉が籠に入っている。)
伝書鴉はヤズベルが持つ女神の香水、アプロディーテーの蜜液の入った硝子瓶の香りに惹きつけられ、空から荷台に降りて蓋の開いた瓶口の匂いを嗅いでいる。
「ちょっと、見せてもらうぜ」
ヤズベルはエロガラスの喉を指で撫で、至福の表情で書簡を吐き出すのを手のひらで受けた。(伝書鴉は受取る者の匂いを嗅ぎ分けて書簡を届けるのだが、女神の香水は万能である。)
「ブェッ」
唾液で粘って丸まった紙片を慎重に開き、目を通してからすぐに丸めてエロガラスの口の中に戻す。
[妖精族からはチーネとソングを推挙する。チーネは最強の戦士であり、ソングはゼツリの力を秘めているぞ。」
「なるほどな。コレでまた儲かりそうだぜ」
ヤズベルは笑顔を浮かべながら香水の硝子瓶の蓋を閉め、まだ匂いをねだる伝書鴉の頭を小突いて空に放った。
城の地下室で実験の疲れからソファで寝てしまったアルダリは、湖面を滑空して石壁の小窓から室内に入った伝書鴉に起こされて目を覚ました。
「おお、待ちかねたぞ」
デスクの上に「ブェッ」っと唾液で粘った紙片を吐き出し、アルダリはチャチルの返信を読んで喜んだ。
「これで、戦いに向かえそうだ」
エロガラスは寄り道した事も気にせず、主人に擦り寄って餌をおねだりし、籠の中で唐揚げをいただき、アリダリは笑顔で用紙にメンバーを書き加えた。
両名とも希望通りの人選であり、特にソングは自分が五年前に人間界から連れて来てチャチルに預けたゼツリの息子である。
・チーネ。妖精の美少女であり、最強の戦士と云われる蜜蜂の剣の使い手。
・ソング(安室尊具)十五歳。人間の母の子であるが、勇者ゼツリの力を秘めている。
アルダリはそのメンバー表をすぐに元老院《げんろういん》に提出しようとしたが、ある事件が起きてもう一名加える事になった。
それは昨晩、ヤズベルが城を訪れて王女エッダに接見し、新製品の自慰道具をお勧めして売った事から始まっていた。
「アリダリさま。女王がお呼びです。なんでも金庫が破られたらしく」
ケインが慌てて呼びに来て、一緒に王室の居間に行くと、王女と側近の侍女四名がある者を捕らえて取り囲んでいた。
エピオという象鳥が引く店舗車にYazbel Shopと書かれた派手なステッカーがあり、骨董品から魔術道具、生活用品まで販売していた。(額にオスとメスのマーク記号がある伝書鴉が籠に入っている。)
伝書鴉はヤズベルが持つ女神の香水、アプロディーテーの蜜液の入った硝子瓶の香りに惹きつけられ、空から荷台に降りて蓋の開いた瓶口の匂いを嗅いでいる。
「ちょっと、見せてもらうぜ」
ヤズベルはエロガラスの喉を指で撫で、至福の表情で書簡を吐き出すのを手のひらで受けた。(伝書鴉は受取る者の匂いを嗅ぎ分けて書簡を届けるのだが、女神の香水は万能である。)
「ブェッ」
唾液で粘って丸まった紙片を慎重に開き、目を通してからすぐに丸めてエロガラスの口の中に戻す。
[妖精族からはチーネとソングを推挙する。チーネは最強の戦士であり、ソングはゼツリの力を秘めているぞ。」
「なるほどな。コレでまた儲かりそうだぜ」
ヤズベルは笑顔を浮かべながら香水の硝子瓶の蓋を閉め、まだ匂いをねだる伝書鴉の頭を小突いて空に放った。
城の地下室で実験の疲れからソファで寝てしまったアルダリは、湖面を滑空して石壁の小窓から室内に入った伝書鴉に起こされて目を覚ました。
「おお、待ちかねたぞ」
デスクの上に「ブェッ」っと唾液で粘った紙片を吐き出し、アルダリはチャチルの返信を読んで喜んだ。
「これで、戦いに向かえそうだ」
エロガラスは寄り道した事も気にせず、主人に擦り寄って餌をおねだりし、籠の中で唐揚げをいただき、アリダリは笑顔で用紙にメンバーを書き加えた。
両名とも希望通りの人選であり、特にソングは自分が五年前に人間界から連れて来てチャチルに預けたゼツリの息子である。
・チーネ。妖精の美少女であり、最強の戦士と云われる蜜蜂の剣の使い手。
・ソング(安室尊具)十五歳。人間の母の子であるが、勇者ゼツリの力を秘めている。
アルダリはそのメンバー表をすぐに元老院《げんろういん》に提出しようとしたが、ある事件が起きてもう一名加える事になった。
それは昨晩、ヤズベルが城を訪れて王女エッダに接見し、新製品の自慰道具をお勧めして売った事から始まっていた。
「アリダリさま。女王がお呼びです。なんでも金庫が破られたらしく」
ケインが慌てて呼びに来て、一緒に王室の居間に行くと、王女と側近の侍女四名がある者を捕らえて取り囲んでいた。
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