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第一現象・皮膚に刻まれた痣

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「ねっ、なんだと思う?」

「セルみたいね?」

「ねっ、圭介くん……」

「データーを作っている時にできたのか?」

 圭介はそれを見てすぐに呪いだと直感したが、表情は変えずにすぐに治ると安心させた。

「ストレスによる皮膚炎だと思う。パソコンをしている時、眩暈がしたとか?不安なイメージが湧いてこなかった?」

「そういえば、赤い光が見えた気がする」

 手首の痣を見ていた四人の学生が息を呑んで圭介の助言を待っている。近くにいた女学生は今にも泣き出しそうに瞳に涙を浮かべて顔を歪ませた。

『呪いは強力な暗示であり、不安感から侵入する』

 図書館で使用したパソコンのネット環境を調べ、何者かが不正にアクセスして呪いを起動した痕跡を見つける。

『四角いビームの放射線』

 液晶モニターに残像があるが、呪力は微量でありこれ以上悪化しそうもない。

「一時的な皮膚の炎症で済む。田舎の祖母特性の漢方薬があるから、それを温かいお湯で呑んで今夜ぐっすり眠れば治る筈だ」

 圭介はそう言って暗示をかけ、ロッカーに入れてあった柿の葉とヨモギとドクダミの薬草を四人の学生に渡した。

『死霊の血が空間に漂い。それを巧みにエネルギー波として発生させるのが呪術師である』

 しかしこんな現象は初めて見た。『生き字引』の祖母からも聞いた事がない。アナログ派だから、新しい呪いには無知とも言えるが。

『トンネル霊流を利用したのか?』

 電子が壁を通過するように、霊流を線状に集めれば遠くに飛ばす事が可能になる。(霊分子にもプラスとマイナスがある。)

『霊流で呪縛する術があるらしい』

 呪力は磁力に等しい。血を鬱血させて皮膚に痣を作るくらいなら自分でも可能だったが、デジタルネットワークを利用して遠隔の呪いを発生させるなんて想像外だ。

『血のドットの痣?しかも四角い傷線』

 普通の人間には見えないが、圭介は霊流を感じ取り、血のスクリーンに残虐なシーンを予知したり、過去の事故現場を再現する能力を持っていた。

『死霊の血の妄想家である』

 圭介は大学の図書館のパソコンとWi-Fiの電源を落とし、呪いの残像をリセットしてからマンションに帰った。

 翌日の朝、LINEに「漢方薬を呑んで寝たら治った」と全員から連絡があり、圭介も安堵したが、これは単なる自分への脅しに違いないとカーテンを閉めて部屋を暗くして瞑想する。
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