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 工房の裏庭にやってきた。
 もちろん、裏庭に来る前にメリアと話合って作って欲しい物の事はきちんと説明してある。
 リュイル達の装備品に問題なければ、数日ほどで出来上がるとの事。


「これだけの量だし、せっかくだからマナ鉱石でつくってあげるね。お兄さん」


 メリアはマナ鉱石の山を見ながら笑顔で言ってくれた。
 有難い。
 調理ではマナ鉱石で作った調理器具を使っているが、刃物は切れ味が良いし鍋やフライパンなどは見た目より軽くて使い勝手が良い。
 まぁ、それらの使い勝手が良いのはメリアの腕や技術が良いのだろう、作る前に手の大きさなど気にしていたから、調理器具を俺に合わせてくれたのかね。


「お兄さんが欲しい物を作っても、これだけのマナ鉱石は貰いすぎな気がするんだよ。おっぱいを好きに触らせるだけじゃねぇ。そうだ、お兄さん私の事を抱いてもいいよ」


 まさか、貰い過ぎたマナ鉱石の補填にメリアから笑顔で抱いても良いと言われるとは思わなかった。
 大量に欲しい物を目にして気持ちが高揚しているせいかな、似たような事が何度かあったし。
 驚きもしたけど、魅力的な提案に嬉しかった。


「おっぱいを好きにするのは良いけど、抱くのはまだダメよ」


 まぁ、フィアが腕に抱きつきながら止めにはいってくるとは思わなかったが。
 表情に出したつもりはないけど、嬉しいと思った事がばれちゃったんだろうなぁ。
 ただ、フィアがまだと言った事が気にかかるけど。
 メリアとの話合いを思い返しているとフィアが腕を引っ張ってくる。


「どうした?」

「お昼の用意はしないのかしら?」


 そうだ、お昼の用意もあって工房の裏庭に来たんだっけ。
 まぁ、お昼の催促を受けて、フィアに引かれる形ではあったが。
 お昼に近い時間ではあるけどさ、裏庭に引っ張ってきたのは抱く話があったからかな。
 今も、俺の腕はフィアのおっぱいに挟まれるように抱きかかえられてるし。
 それにしても、裏庭には前に昼食を用意した痕跡がそのまま残っているとはね。
 ラムリアが忘れたのか、メリアがそのままで良いと言ったのか。
 メリアの工房だからメリアだろうな。


「フィアは火の魔法を使えるよな」

「ええ」

「なら、薪を出すから火をつけておいてくれないか」

「ヒロは?」

「あれの回収だな」


 裏庭の隅に設置してあるテントとタープに視線を向ける。
 お昼の用意もあるけど、テントとタープの回収が目的だからね。


「そうだったわね」

「薪を並べるからその後は頼む」

「わかったわ」


 前回、火を使った痕跡のある場所にアイテムボックスから取り出した薪を並べた後は、その場をフィアに任せてテントの回収に。
 メリアに言われた魔物の皮を使っただけにテント、タープ共に良い感じだ。
 皮の加工をしてくれたレシェラ、魔物の情報を教えてくれたルーミアには感謝だな。
 ざっと見た限り小さな穴も開いてなさそうだし。
 回収する前にリエッタさんに作ってもらった絨毯を敷いていく。
 テントの中に隙間なく収まるのは流石だな、リエッタさんありがとう。
 絨毯を敷き終わって感触を確かめた感じは問題なさそうだが、後は実際に使ってみてだな。
 テントとタープの回収した後はフィアの所へ。


「これでいいかしら?」


 ある程度近づいた所でフィアが振り向く。
 見た感じ程よい感じで薪が燃えている。
 野営の時に見た火力の強さから、薪を駄目にしているんじゃないと思ったが。
 問題なさそうだ。


「うん、いいんじゃないか」

「ねぇ。薪を燃やすのを失敗すると思ったの?」

「そ、そんなことないよ」


 す、鋭い。


「表情にでてるから隠せていないわよ」

「ご、ごめん」


 そうか、表情に出ちゃっていたかぁ。


「別にいいわ、それよりもお腹がすいたわ」

「わかったよ、すぐに用意する」


 マナ鉱石で出来た鉄板をアイテムボックスから出して火にかけて、鉄板が熱くなる間に調理に使っているテーブルなどを用意していく。


「何をつくるの?前に作ったお好み焼きかしら?」

「それでもいいけど、それだと物足りないだろ」

「そうかしら?」


 前回、肉をそれなりに焼いただろうに。
 まぁ、お好み焼きは焼くけどさ。
 前は無かった青のりと鰹節などは用意してある。
 足りないと思った物は忘れずに用意するようにしている、その時にスキルを使えるとは限らないからね。
 さて、肉を求められるのは確定しているので、お好み焼きの前に準備だ。
 鉄板で焼く肉はもちろんワイヴァーンだ。
 ブラッドガウルの肉もあるからそっちでも良いんだけど、ワイヴァーンの肉があるんだし食べてみたい。
 アイテムボックスから取り出したワイヴァーンの肉は高級そうな感じ。
 まぁ、強い魔物になるほど美味く、高級になるみたいだから間違ってはいないのか。
 ワイヴァーンはそれなりに強い魔物だし。
 ただ、フィアにしてみればそうではなさそうだけど。
 ひとまず、ワイヴァーンの肉を厚めに切り分けてフィアの分だけ焼いてしまおう。
 味付けは塩と胡椒でいいか、たれは後からでもかけられるし。
 切り分けたワイヴァーンの肉に塩と胡椒をして鉄板で焼いていく。
 程よく両面を焼いてと、焼きあがる匂いと見た目は実に美味そうだ。


「出来たの?」

「ちょっと待って」


 とりあえず、味見だな。
 切り分けて一口。
 これはっ、うまっ。
 柔らかくて美味い。
 美味しいって話だったけど、本当にワイヴァーンの肉は美味いんだな。


「ヒロ、まだかしら?」

「ああ、ごめん」


 見つめてくるフィアに、急ぎ味見の残りを切り分けフィアに差し出す。


「柔らかくて、美味しいわ」

「ワイヴァーンの肉自体が美味いから塩と胡椒でいいかも。でも違う味がよければ言ってくれ。いつものたれは用意してあるからさ」

「わかったわ」


 フィアの食べる肉を焼く傍ら、自分の分も焼きつつそれをつまみながら、お好み焼きの準備をこなしていく。
 ワイヴァーンの肉は、本当に美味いねぇ。
 簡単に手に入るようなものではないし、高級なのもわかるな。
 まぁ、フィアのおかげ食べることが出来ているんだけどさ、視線を向ければ美味しそうに食べてるよ。

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