上 下
165 / 178

165

しおりを挟む
 依頼の報酬と集団については話はついたかな。
 両方とも事が片付くには時間がかかるけど。
 そうだ、ミランナとステイシアが話している事で気になることがあったんだっけ。


「ミランナに聞きたいことがあるんだけどいいか?」

「いいわよ、何かしら」


 飲み物を飲んで一息ついていたミランナは微笑みがら答える。


「ステイシアと話している時に、商人ギルドと商人にはワイヴァーン討伐の事は張り紙だけですむみたいな事を話していたけど、それで商人ギルドと商人には信じるのか?」

「商人ギルドと商人は問題ないのよ。冒険者ギルドで買い取ったワイヴァーンの素材が商人ギルドに流れるからね」

「なるほど、討伐されないと出回らない素材を目にするから信じるのか」

「そういうことね。それと、冒険者は売る方だから張り紙だけじゃあまり信じないわ。目撃した冒険者が多ければ別だけどね。それと、出た情報が本当なのか確認に動く冒険者がいるけど、素材を目にした商人達の方から情報を得ているような気もするわね」


 素材を売り買いしている商人にとっては素材の情報は死活問題だろうしな。
 良い素材になればなおさらか。


「ヒロ、ギルドカードを出してもらえるかしら」


 アイテムボックスからギルドカードを取り出しミランナに差し出す。
 ギルドカードを受け取ると机に向かいながら、別のギルドカード取り出し机で何やら作業を始める。
 片方のギルドカードはミランナの物かな。
 作業が終わるとミランナは机の引き出しから何かを取り出して俺の所へ。
 差し出される二枚のカード。
 

「一枚は俺のギルドカードだが、もう一枚は?」

「説明するわね。ヒロのギルドカードに私を登録したわ。私の方にはヒロを登録ね」


 そう言ってミランナは自身のギルドカードを掲げる。
 戻ってきたギルドカードを見るとミランナの名前が登録が確認できた。


「リュイル達が登録されているから話は聞いているのよね?」

「ああ、登録しいる相手の事ならギルドで教えてくれたり、連絡が取れるんだったか」

「そうね、あっているわ。もう一枚のカードなんだけど私がヒロを事を保証する物よ。私がギルドマスターでいる間しか効果は無いけどね。冒険者ギルドで困ったことがあったら、そのカードと一緒にギルドカードを出せば冒険者ギルドのギルドマスターと話をすることが出来るかもしれないわ」

「いいのか?そんなものをもらっても」

「かまわないわ。なんだかヒロは冒険者ギルドで騒ぎになりそうな感じがするのよ」


 騒ぎを起こすみたいに言われても困る。
 でも、仕留めた魔物を解体に持ち込んで騒がれてもこれがあれば多少は違うかもしれないな。


「それに、そのカードはこの国以外での効果はあまり期待しないほうがいいわ」

「そうなのか?」

「ギルドは国家を超えた組織ではあるけど、国によっては種族の格差が職員にもあらわれることもあるから」


 話すミランナの表情が少し曇る。
 なるほどね。
 なら、この国以外では見せない方が良いな。
 ミランナに迷惑はかけれられないし。


「わかった」

「他には何かあるかしら?」


 俺からは特にないな。
 リュイル達を見ても首を振っているから何もなさそうだ。


「大丈夫だ」

「そう、今回の事は本当に貴女達のおかげで助かったわ。何かあれば遠慮なく渡したカードを使って会いに来るといいわ」

「その時は遠慮なく頼らせてもらうよ」

「まぁ、ヒロなら会いに来てくれるだけでも歓迎するわよ」


 ワイヴァーンの心配が無くなった事でミランナは嬉しそうな笑顔を見せる。
 話も終わったし、借りた家に帰ろうか。
 でも、その前に行く所があるから、のんびりと休むことが出来るのはもう少し先になりそうだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~

ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆ ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様にて先行公開しております。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。

飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。 隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。 だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。 そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

戦争から帰ってきたら、俺の婚約者が別の奴と結婚するってよ。

隣のカキ
ファンタジー
国家存亡の危機を救った英雄レイベルト。彼は幼馴染のエイミーと婚約していた。 婚約者を想い、幾つもの死線をくぐり抜けた英雄は戦後、結婚の約束を果たす為に生まれ故郷の街へと戻る。 しかし、戦争で負った傷も癒え切らぬままに故郷へと戻った彼は、信じられない光景を目の当たりにするのだった……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...