上 下
160 / 178

160

しおりを挟む
 メイリアから聞いた事をすべてを話終えた後、飲み物を飲んで一息い入れる。
 そこで、話を聞いていたミランナが口を開く。


「ステイシア、何か思うところはあるかしら?」

「そうだな。情報をくれた冒険者が警告を促してきたのが気になるね。冒険者が何かを感じてなのか、もしくは思うところがあって用心しての事だろうからな」

「確かに、そうよね。商人ギルドの上役と貴族が絡んでいるようだし、杞憂で済ますにはちょっとって感じなのよ」

「街の騎士団を動かしたんだ、それなりの理由があるんだろう。商人ギルドの上役と貴族に関しては、騎士団を動かした理由から少し探ってみる」


 ステイシアの方で動いてくれるのか。
 王国騎士団が動くならすぐに解決しそうだ。


「騎士団を動かした理由を尋ねても、ワイヴァーンを理由にしてくる気もするがな」

「それなら問題ないわよ。ワイヴァーンの討伐は終わっているから。街を守護するはずの騎士団が商人ギルドの上役か貴族に従う方が問題よ」

「それはそうだが。冒険者ギルドに見つからないよう上手く動いていたようだから、騎士団の中の数人辺りが金で動いた可能性が高いな。それよりも、討伐って本当か?」

「もちろんよ、すぐにわかるわ。ステイシア、解体倉庫に移動するわよ」


 そう言ってステイシアと一緒に部屋を出て行くミランナ。
 二人で話合っていたからか俺達を置いて先に行っちゃったよ。
 俺が行かないと確認もできないのにねぇ。
 戻ってきて何か言われる前に解体倉庫に向かいますか。


「行くの?」


 立ち上がった所でフィアが飲み物を飲みながら見上げてくる。


「行くしかないだろ。俺がワイヴァーン出さなければ確認出来ないだろうし」

「待っていたら、呼びに来るんじゃないかしら?」

「ステイシアと話が進まないから、間違いないく呼びに来るとは思うけどさ。あとでミランナに色々と言われそうだからな」

「それもそうね」


 フィアが立ち上がると、リュイル達も立ち上がる。
 部屋に残っていても仕方がないし当然か。
 催促されて俺が用意した物はアイテムボックスにきちんと回収。
 部屋を出ようとした所で、開いている扉からミランナが姿を現す。


「ちょっと何をしているのよ。ヒロがいないと話が先に進まないのよ」


 俺を見るなり勢いよく迫ってくる。
 解体倉庫に向かうのが少し遅かったか。


「それはすまなかった」


 とりあえず謝る。
 言い訳したら沢山言葉が返ってきそうだしな。


「私も悪かったわ、部屋を出る時に声をかればよかったわけだしね」


 俺が謝ったせいかミランナは落ち着きを取り戻す。


「ステイシアを待たせているから、すぐに行くわよ」


 ミランナは俺の手を取り歩いていくので、引っ張られる形でついていく。


「ねぇ、リュイル達には確認しなかったんだけど、ワイヴァーンは回収してきているのよね?」

「もちろんだ。仕留めたワイヴァーンは全部回収してきているぞ」

「全部って事は残してきた物は無いのよね?」

「残してきた物は無いはずだ」


 フィアの仕留め方から考えれば回収忘れはないはず。
 ワイヴァーンの肉を食べたいって言っていたし。
 しかも、頭以外の損傷はないからな。
 俺の事を考慮して仕留めてくれるフィアには感謝だよ。


「よかったわ。討伐したワイヴァーンが草原に残っていたらってステイシアとの話に出たたのよ」

「草原に向かった集団か」

「ええ、その集団がワイヴァーンを持ち帰ってくる事が出来無くてなによりだわ。ワイヴァーンの討伐はフィアさんのおかげで確実だから、強制依頼を出すことも無く騎士団とも協議中にしているのよ」

「集団が持ち帰ってきたりしたら、何もしていないと思われるもんな」

「それに、ステイシアの事もあるわ」


 集団が成果を上げられると騎士団を勝手に動かした、商業ギルドの上役と貴族を責められなくなるか。
 金で動いた騎士団も同様だな。
 まぁ、そんな事には間違ってもなることは無い。


「リュイルとリリィの報告を聞いたと思うが、ワイヴァーンに関しては問題ない。集団がワイヴァーン目的なら何事もなく草原に行って帰ってくるだけになると思うぞ」

「なら、安心ね。うふふっ」


 ミランナがなんだか嬉しそうに笑みを浮かべているが大丈夫だよな。
 近寄りがたい笑みなんだけど。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ

中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。 ※ 作品 「男装バレてイケメンに~」 「灼熱の砂丘」 「イケメンはずんどうぽっちゃり…」 こちらの作品を先にお読みください。 各、作品のファン様へ。 こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。 故に、本作品のイメージが崩れた!とか。 あのキャラにこんなことさせないで!とか。 その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)

【R18】 二人の主人と三人の家族

mimimi456/都古
BL
俺の飼い主はふたり。 カズとリク 俺の家族もふたり。 和己と陸也 三人で家族 二人は俺の主人

モブだった私、今日からヒロインです!

まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。 このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。 そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。 だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン…… モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして? ※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。 ※印はR部分になります。

私を追い出すのはいいですけど、この家の薬作ったの全部私ですよ?

火野村志紀
恋愛
【現在書籍板1~3巻発売中】 貧乏男爵家の娘に生まれたレイフェルは、自作の薬を売ることでどうにか家計を支えていた。 妹を溺愛してばかりの両親と、我慢や勉強が嫌いな妹のために苦労を重ねていた彼女にも春かやって来る。 薬師としての腕を認められ、レオル伯アーロンの婚約者になったのだ。 アーロンのため、幸せな将来のため彼が経営する薬屋の仕事を毎日頑張っていたレイフェルだったが、「仕事ばかりの冷たい女」と屋敷の使用人からは冷遇されていた。 さらにアーロンからも一方的に婚約破棄を言い渡され、なんと妹が新しい婚約者になった。 実家からも逃げ出し、孤独の身となったレイフェルだったが……

この国に私はいらないようなので、隣国の王子のところへ嫁ぎます

コトミ
恋愛
 舞踏会で、リリアは婚約者のカールから婚約破棄を言い渡された。細身で武術に優れた彼女は伯爵家の令嬢ながら、第三騎士団の隊長。この国の最重要戦力でもあったのだが、リリアは誰からも愛されていなかった。両親はリリアではなく、女の子らしい妹であるオリヴィアの事を愛していた。もちろん婚約者であったカールも自分よりも権力を握るリリアより、オリヴィアの方が好きだった。  貴族からの嫉妬、妬み、国民からの支持。そんな暗闇の中でリリアの目の前に一人の王子が手を差し伸べる。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

処理中です...