異世界のんびり自由な流浪旅？

霜月雪

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　戻ってきたアイシェラが座った所で飲み物を目の前に置く。

「ありがと」

　お礼を言ったアイシェラは飲み物を手に取り一気に飲み干す。
　走ってきたんだ一気に飲むのも仕方ないか。

「怪我が無くてなによりだよ」

　話しかけながら空になったアイシェラのグラスに飲み物を注ぐ。

「確認だったし、無理はしなかった。それにヒロと約束した」

「そうだったな。おつかれさん」

「うん」

　飲み物を飲みながら笑顔で頷くアイシェラ。

「戻ってきたアイシェラは一息ついたようね。それじゃ話をしてもらおうと思うのだけど、その前にフィアさんお願い」

　俺との会話でアイシェラの様子を確認したリュイルはフィアに視線を向ける。

「わかったわ」

　フィアが頷くと隠蔽結界が発動。
　見てる限りじゃ、飲み物を飲みながら座ってるだけなんだよね。
　どうやって魔法を使っているのやら。
　気が向いた時にでも聞いてみようかな。

「ありがとうございます」

　隠蔽結界を確認したリュイルはフィアにお礼を述べ、視線をアイシェラに向ける。

「アイシェラ、話してもらえる」

「わかった」

「ちょっといいか？」

　アイシェラがグラスを置き話を始めるようとした所へ声をかける。
　先に知りたい事を聞いて予定を考えたい。
　まぁ、予定といっても昼食の事だけど。

「話を始める前にアイシェラに聞きたい事があるんだけど」

「なに？」

「向かってくる集団なんだけど、この場でやりすごして俺達が街に着くのはどのくらいになりそうだ？」

「確実じゃないけどいい？」

「ああ、おおまかでも分かれば」

「大体、お昼前後って感じになると思う」

　少し思案した後に答えをくれる。
　アイシェラの移動に関しての目測に大きなずれは無い。
　移動の時にはリュイルも聞いてるぐらいだしな。

「わかった、ありがとな」

　昼前後か。
　そうなると、この場所から移動する前に昼食にした方がよさそうかねぇ。
　街に着いて昼食の時間を作るよりは、ここでのほうがゆっくり食べられるだろうし。
　昼食には少々時間は早いかもしれないが。

「ヒロ、他に何かある？」

　予定を考えているとリュイルが聞いてくる。
　街に着いたらミランナに報告に行くんだろうけど、一応確認はしておくか。　

「街に戻ったら、そのまま冒険者ギルドに行ってミランナに報告だよな？」

「その予定よ」

「そうか」

　リュイルの言葉を聞いて予定を決める。
　早めの昼食は確定っと。
　後は、アイシェラが戻ってきたら出すと約束した食べる物だな。
　何にしようかね。

「とりあえず、俺の方は大丈夫だ。アイシェラの話をさえぎってすまなかった」

「大丈夫よ、話す前だったし時間もあるしね。それじゃ、改めてアイシェラお願い」

　リュイルが促すとアイシェラが話を始める。

「こちらに向かっている集団だけど………」

　アイシェラが話を始めると俺はスキルを起動して約束の食べる物を探し始めたよ。
　食べる物での約束事は守らないと後が怖いからな。
　アイシェラから聞いた話の内容に関してはリュイルとリリィが上手く纏めて、ミランナに報告してくれるだろう。
　なので、俺は話を聞き流しながら何かないか物色中。
　俺のスキルが見えるフィアはスキルを起動した事に気が付くと近寄ってきて、寄り添い俺の手の手元のスキル画面をのぞき込んでいる。

「フィア、何か食べたいものあるか？」

　何か食べたいとねだってきたのはレスティナだがスキル画面を見ることはできないからな、どれがいいとは聞くことが出来ないのでスキル画面をのぞき込んでいるフィアに囁く。

「なんでもいいわよ」

　なんでもと言われてもねぇ。
　

「私はどら焼きが食べたいな」

　迷っていると隣に座っていたレスティナが寄り添っていて囁いてくる。
　フィアに囁いたのだが隣にいたレスティナにはその囁きが聞こえていようで、レスティナが食べたいどら焼きを要求してきたようだ。
　何にするか決めてなかったし、食べたいならどら焼きでいいか。
　質より量のある訳アリのどら焼きにして、後は双眼鏡だな。
　みれば双眼鏡も数が色々ある、その中で手ごろな物に決めどら焼きと一緒に購入。
　街道を通る集団をここからリュイル達は確認するつもりなんだろうけど、俺には遠すぎる。
　どんな集団か気にはなるので見てみたいだけなんだけどね。
　魔法陣と共に現れた段ボール箱を開け中に入っている双眼鏡はアイテムボックスにしまい込んで、量で選んだ袋に詰まったどら焼きをテーブルの上に置くと、リュイル達の話し合いも止まりどら焼きに視線が集中する。

「約束した物な」

　そう言って袋を開ければ、みんなどら焼きを手に取り食べ始める。
　質より量で選んだどら焼きだがなかなか美味い。
　見ればみんな嬉しそうだなぁ。

「昼食は街に出発前にこの場所で食べていくからな。もう少したったら昼食の用意を始めるから話し合いは任せる」

　食べるのに夢中になっているようだけど話を聞いているのかな。
　みれば食べながらも頷いているようだし大丈夫だよね。
　まぁ、聞いてなくてもこの場所から動かないのだから問題は無いか。

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