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 視界は暗く良く見えないが、目の前にあるものが柔らかくて心地いい。
 起きるのはこの心地よさを堪能してからにしよう。
 しかし、少しというよりかなり身動きしにくいな。
 狭い場所で寝た覚えは無いんだが。
 確か、昨夜は朝食の仕込みをした後も少しばかり星空の下一人でのんびりして、小屋に戻ってきた時には、リュイル達は横になって寝ていた。
 酒瓶を横に転がして上半身裸で寝るのはどうかと思ったが、ワイヴァーンをとの接触で色々疲れたんだろう。
 フィアは日本酒を楽しむように飲んでいたけど。
 そんなに外にいたつもりはなかったが、起きていたフィアに聞いたらそれなりに外にいたらしい、リュイル達が先に寝るくらいだしな。
 少し話をしたあと、フィアに断って先に横になっていつもの様にスキルにチャージ。
 近くには誰もいない場所を選んだんだけどな。
 まぁ、起きればわかる事か。
 柔らかさと心地よさは名残惜しいが、そろそろ起きて朝食の用意をしないと。
 なんとか身体を起こし、窓から入ってくる明かるさの感じからいつもと同じぐらいか。
 両隣をみれば、リリィとレスティナが。
 身動きがしにくかったのと、視界が暗かったのはどちらかに抱きかかえられていたからだな。
 いつの間に隣に、離れていたはずなんだが。
 リリィとレスティナを起こさないようにおっぱいの柔らかさと心地よさを堪能。
 どちらのおっぱいもさすがだ。
 周囲に転がっている日本酒の瓶を回収し外へ。


「さて、みんなが起きてくるまでに朝食の用意だな」


 調理用テーブルに向かいリエッタさんのミルクで割ったコーヒーを飲みながら、のんびりと朝食の用意をしていく。
 みんなが起きてくるまでに用意すればいい。
 フィアやリュイル達は朝から肉を希望するので、毎食が肉中心の料理だ。
 野菜は汁ものや煮込みにいれてはいるけど栄養管理は大丈夫かと心配になるが、屋台で売っている料理やリュイル達の話を聞いた限りじゃ問題ないようだ。
 魔法なんてある世界だから、魔物の肉には知らない不思議栄養があるのかもしれない。
 俺も起きてからそれなりの時間がたっているから、肉でもいいのだけどさすがに違う物が食べたくなる。
 程よく朝食の準備が進んだところでスキルを起動。


「何かないかねぇ」


 リエッタさんのミルクで割ったコーヒーを飲みながら何かないか眺めていく。
 しかし、リエッタさんのミルクは本当に濃厚で美味しいな。
 リエッタさんに感謝だな。
 おっ!
 鮭の切り落としの訳アリ品がある、量もそれなりにあるしこれにしよう。
 せっかくだし七輪も欲しいな、色々あるけど丸いやつだな。
 物がそろえば焼くだけだ、、燃料は焚火に使った燃え残りの木で大丈夫だろう。
 七輪で鮭を焼きながら朝食の用意をしていると小屋の扉が開く。


「おはよう、フィア」

「おはよう、ヒロ」


 歩いてきたフィアに挨拶するとイスに座りながら返事が返ってくる。
 最初に起きてきたのは、身支度を整えたフィアだったか。

「リュイル達は?」

「まだ、寝てるわよ。何か飲み物をもらえないかしら?」

「水か、お茶、朝食用のスープに果汁がある」

「そうね、ヒロと同じものでいいわ」


 言ったものから選ぶと思ったが、まさか俺と同じものなんてな。
 選択肢に入れなかったものなんだがどうしよ。


「私には飲ませてもらえないのかしら?」

「そういうわけじゃないんだが」


 仕方ない出すだけ出すか。
 フィアが飲めないようなら俺が飲めばいいんだし。
 俺が飲んでいる物と同じものをフィアの前に出す。


「これ、リエッタのミルクよね。その割には色が変なのだけれど?」


 コップの中身をみてそんな事を言う。
 白いミルクと黒いコーヒーを合わせたら色が変化するからな。
 飲み物としては見たことのない色なのか。


「コーヒーって黒い飲み物を、リエッタさんのミルクで割ったものだ。俺は割と好みだけど、フィアの口に合うかは分からない。一口飲んで無理そうなら無理に飲むことはないよ」

「そんな飲み物があるのね」


 俺が飲んでいるのを見て、コップに口をつける。


「あら、なかなかいいわね」


 どうやらフィアの口にあったようで何より。
 リエッタさんのミルクの割合をかなり多めにしたしな。


「ところで何を焼いているのかしら?」


 飲みながら興味深そうに俺の作業を見て尋ねてくる。


「これか?」

「肉じゃないわよね」


 肉の焼けるような匂いとの違いから分かるようだ。


「魚だな」

「それが?」

「正確には、魚の切り身だがな」


 気になるのか近くに寄ってきて七輪で焼いている鮭を眺めるフィア。


「焼いている数は少ないのね?」

「ああ、これは俺の朝食用だからな。フィアとリュイル達にはいつものように用意はしてある」

「そうなのね。でも、私も食べてみたいわ」


 やっぱり欲しがったか。
 フィアが気にいったら、あるだけ焼くような事になる気がするんだよなぁ。
 だが、断れないし仕方がない。


「わかったよ。肉と違って骨があるから気を付けて食べろよ」


 香ばしく七輪の上で焼けた鮭の切り身を手元に一切れ残し、それ以外は皿に盛りフィアに渡す。
 フィアは嬉しそうに受け取り座っていた場所に戻り食べ始めたので、残した切り身を食べる。
 久しぶりに食べたけど、美味いな。
 ご飯が欲しくなるわ。


「あら、意外と美味しいわね」


 フィアの声を聴き見れば笑顔で食べている。
 俺が食べるために鮭の切り身を新たに七輪で焼いているが、フィアの表情からするとさらに催促されそうな予感がするよ。

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