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 日暮れ間近ではなく、もう少し日が高いうちに戻ってくると思っていた。
 まぁ、何事もなく戻ってきたようで何よりだ。
 結界内をこちらに向かって歩いてくるフィアに声をかけようとして、腕の肘から指先までが真っ赤になっていた。
 何事もなかったというのは気のせいだったか。
 遠目では袖に付いて落ちなかった血だと思って気にしなかったけど。
 何があった?
 ワイヴァーンの残りでもいたのだろうか。


「フィア、おかえり。その腕は?」


 近くまで歩いてきたフィアに問いかける。


「これ?私の血じゃないわよ。私は傷ひとつおってないわ」


 そう言って、血に塗れた腕を振り肘から指先まで滴っていた血を振り払う。


「そうか、フィアが無事に戻ってきてくれてよかったよ。もう少し日が高いうちに戻ってくると思っていたからさ」

「私も、ここまでかかるとは思わなかったわ」

「その腕を見れば何かあったんだろうけど、その話の前に腕を洗い流そうか」

「お願いね」


 差し出してくる腕を水できれいに洗い流していく。
 今日は、フィアの腕を洗ってばかりだな。


「この後はどうする?」


 フィアの腕を洗いながら訪ねる。


「そうねぇ。ヒロに任せるわ」

「任せるって言われてもな」


 フィアの腕が血塗れだった事から、何かの魔物と戦闘になった事は確実だ。
 仕留めた魔物の回収もあるだろうし、フィアから確認に向かった先での出来事も聞かないとなぁ。
 日も暮れてきたし移動は個人的に絶対に避けたい、向かう途中で日が暮れて帰りには完全に日が落ちて真っ暗だろう。
 月や星での明かりで見える範囲なんて限られる。


「腕が血塗れだったのだから何かしらの魔物を仕留めたんだろうけど、回収はすぐの方がいいのか?」

「回収は後でも問題ないわ。結界は張ってあるから、それに日が落ちた暗い中を移動するのは避けたいでしょう」


 すぐに回収したいと言われなくてよかった。
 フィア任せの移動になるだろうけど、光源のない真っ暗な草原を移動するのは何があるわからないし怖い。


「なら、フィアが確認に向かった先での出来事を話してもらう事になるかな」

「それでいいわ」

「あと、血を洗い流したけど、服の袖についた血は落ちないな」

「仕方がないわよ、ありがと」

「話するのは食事の前か後、どっちが良い?」

「食事の後がいいわ」


 確認のために往復して、向こうで何かの魔物と戦闘もしてきたんだから、おなかもすいているし食事が先になるよな。


「それじゃ、食事を先に済ませよう」


 フィアにそう促すと、用意してあるテーブルに向かう。
 リュイル達はすでにイスに座って飲み物を飲みながらくつろいでいる。
 イスに座った所でグラスに飲み物を注いでフィアの目に前に。


「フィアさん、お疲れ様です」


 リュイルがフィアに声をかける。


「すぐに、夕食の準備をするから」


 フィアが確認しに行っている間にフォレストバードを使って作った、からあげ、チキンカツ、チーズチキンカツをテーブルに並べる。
 他にも作った料理はあるけど夕食としても十分だろう、揚げ物ばかりだけど。
 作っている料理をリュイル達はものすごく気にしていたようだから、おやつの時間に味見として出したら喜んでいたし。
 おやつの時間には、いつもなら甘い物なんだけどフィアがいないのに甘い物を食べるわけにもいかなかったからなぁ。
 おやつの代わりに出したけど、リュイル達は嬉しそうに食べていたな、特にレスティナが。
 揚げたての揚げ物は美味しいからな。
 今出した料理も揚げてからすぐにアイテムボックスに入れたから、揚げたてに近いけどね。
 からあげ、チキンカツ、チーズチキンカツもそれなりの量はあるし、味噌汁とご飯も量は用意はした。
 フィアやリュイル達がおかわりしても足りないという事はないと思う。

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