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フィアに担がれてリュイル達の所に戻ってきたわけだが、リュイル達は俺達の格好を見て驚愕していた。
そりゃ、担がれて戻ってくれば驚きもするか。
着いたと同時に魔物の叫び声が複数上がれば、驚いた表情も戦闘を意識した真剣な表情に変わる。
聞こえた叫び声はフィアが仕留めたワイヴァーンと似たような叫び声だから、同じワイヴァーンだろう。
「たぶん、気づかれたと思うから結界からでないようにね」
「わかった、気を付けてな」
「問題ないわよ」
フィアはそう言って歩いていき、ある程度離れたところで立ち止まり空を見上げる。
ワイヴァーンが来る方を見ているんだろう。
少しするとワイヴァーンがフィアの上空に叫び声を上げながら集まっていく。
1匹の時と違ってすぐに襲わないのは群れだからかな?
しかし、何匹いるんだよ。
それぞれが叫び声をあげるものだから煩い。
俺とリュイル達がいる場所は木々の陰になっていて今の所は上空のワイヴァーンに気が付かれていないが、上空を旋回しているからそのうち見つかるかもしれない。
しかも、低空を滑空するようなワイヴァーンが出てきたから、今にも襲ってきそうだ。
旋回するワイヴァーンを眺めていたら、何かが折れるような音が聞こえワイヴァーンが落下。
落ちてきたワイヴァーンは首が折れ曲がり痙攣している。
「!」
上空を良く見れば旋回するワイヴァーンの群れの中にフィアが。
いつの間に上空へ上がってワイヴァーンを叩き落したんだ?
ワイヴァーンも空中にいるフィアに気が付いたのか、噛みつこうとするがフィアはするりとかわす。
フィアの方が小回りが利くもんな。
噛みつきをかわしながら、ワイヴァーンを時折叩き落していく感じだったのが、数が減るにつれて戦いなれたのか叩き落す間隔が短くなっていく。
しかしなぁ、こうも飛んでいる魔物がぽんぽん叩き落されていく様をみると言葉にならんな。
ワイヴァーンに対して警戒していたリュイル達も、ワイヴァーンが叩き落されていく様子をみて唖然としている。
ミランナとの話し合いや、リュイル達が聞いていた話ではワイヴァーンは高ランクに位置する魔物で、討伐にもそれなりの準備や人手が必要だって事なのに、それらが嘘に見える状況だもんなぁ。
「全部、叩き落としたようだぞ」
飛んでいるワイヴァーンが上空にいるフィアの周りに居なくなったので、唖然としていたリュイル達に声をかける。
「えっ、あっ、そう、なの?」
どうやらまだ状況を呑み込めていないような感じだ。
こっちの世界の価値観が疎い俺でもすごい光景と思っているんだから、リュイル達にとってこの光景は衝撃的だろうな。
まぁ、今の所は叩き落しただけで仕留めてはいないけど。
痙攣しているワイヴァーンが転がってるだけだし。
群れのワイヴァーンがこれで全部ならいいんだが。
上空にワイヴァーンが居なくなった事で安堵し気を抜いた所に、大きな叫び声と共に何かにぶつかる大きな音が響く。
「………ッ!」
音のした方を見ればフィアの張ってくれた結界にぶつかったワイヴァーンが2匹。
結界内にいる俺とリュイル達に噛みつこうと口を開け結界に頭をぶつけてくる。
フィアの結界のおかげで助かったけど、これは恐怖だ。
リュイル達もいつも間にか俺の近くに集まってるし。
安心した所に結襲われたんだ仕方がないことだろう。
結界に阻まれてるとはいえ、このままというわけにもいかないのだが、俺やリュイル達ではどうすることも出来ない。
ワイヴァーンは結界内にいる俺やリュイル達に執着しているのか、頭上にフィアが来た事にも気づかず叫び声を上げている。
フィアはそんなワイヴァーンの頭を砕き腕を肘の辺りまで差し込んでいく、するとワイヴァーンは痙攣し意図が切れた人形のように倒れ、その事に気が付いたもう1匹のワイヴァーンがそちらを見た時には、フィアはすでに移動していてもう1匹も同じように頭に腕を差し込んでいた。
「ヒロ、そこの2匹を回収してもらえるかしら?」
右腕の肘から先を血で真っ赤し、指先から血を滴らせながら歩いてくる。
「わかった。近くにワイヴァーンはいないよな?」
「この付近にはいないから安心していいわ」
フィアが言うなら結界から出て回収している所で襲われる心配はないだろう。
「なら、回収してっ、おっ」
踏み出そうとしたところで足が動かず倒れこむ。
「何やっているのかしら?」
「いや、足が動かなくてさ」
足を見ればリュイル達が申し訳なさそうにしている所をみると、リュイル達の誰かもしくは全員が俺の足を掴んでいたようだ。
つかまれていることに気が付かなかった俺も、それだけワイヴァーンに気を取られていたって事だろうな。
「まぁ、いいわ。私は他のワイヴァーンを仕留めてくるから、その回収もよろしくね」
フィアはそう言って結界の外へ歩いていく。
さて、俺もワイヴァーンを回収して回るかね、何匹いることやら。
そりゃ、担がれて戻ってくれば驚きもするか。
着いたと同時に魔物の叫び声が複数上がれば、驚いた表情も戦闘を意識した真剣な表情に変わる。
聞こえた叫び声はフィアが仕留めたワイヴァーンと似たような叫び声だから、同じワイヴァーンだろう。
「たぶん、気づかれたと思うから結界からでないようにね」
「わかった、気を付けてな」
「問題ないわよ」
フィアはそう言って歩いていき、ある程度離れたところで立ち止まり空を見上げる。
ワイヴァーンが来る方を見ているんだろう。
少しするとワイヴァーンがフィアの上空に叫び声を上げながら集まっていく。
1匹の時と違ってすぐに襲わないのは群れだからかな?
しかし、何匹いるんだよ。
それぞれが叫び声をあげるものだから煩い。
俺とリュイル達がいる場所は木々の陰になっていて今の所は上空のワイヴァーンに気が付かれていないが、上空を旋回しているからそのうち見つかるかもしれない。
しかも、低空を滑空するようなワイヴァーンが出てきたから、今にも襲ってきそうだ。
旋回するワイヴァーンを眺めていたら、何かが折れるような音が聞こえワイヴァーンが落下。
落ちてきたワイヴァーンは首が折れ曲がり痙攣している。
「!」
上空を良く見れば旋回するワイヴァーンの群れの中にフィアが。
いつの間に上空へ上がってワイヴァーンを叩き落したんだ?
ワイヴァーンも空中にいるフィアに気が付いたのか、噛みつこうとするがフィアはするりとかわす。
フィアの方が小回りが利くもんな。
噛みつきをかわしながら、ワイヴァーンを時折叩き落していく感じだったのが、数が減るにつれて戦いなれたのか叩き落す間隔が短くなっていく。
しかしなぁ、こうも飛んでいる魔物がぽんぽん叩き落されていく様をみると言葉にならんな。
ワイヴァーンに対して警戒していたリュイル達も、ワイヴァーンが叩き落されていく様子をみて唖然としている。
ミランナとの話し合いや、リュイル達が聞いていた話ではワイヴァーンは高ランクに位置する魔物で、討伐にもそれなりの準備や人手が必要だって事なのに、それらが嘘に見える状況だもんなぁ。
「全部、叩き落としたようだぞ」
飛んでいるワイヴァーンが上空にいるフィアの周りに居なくなったので、唖然としていたリュイル達に声をかける。
「えっ、あっ、そう、なの?」
どうやらまだ状況を呑み込めていないような感じだ。
こっちの世界の価値観が疎い俺でもすごい光景と思っているんだから、リュイル達にとってこの光景は衝撃的だろうな。
まぁ、今の所は叩き落しただけで仕留めてはいないけど。
痙攣しているワイヴァーンが転がってるだけだし。
群れのワイヴァーンがこれで全部ならいいんだが。
上空にワイヴァーンが居なくなった事で安堵し気を抜いた所に、大きな叫び声と共に何かにぶつかる大きな音が響く。
「………ッ!」
音のした方を見ればフィアの張ってくれた結界にぶつかったワイヴァーンが2匹。
結界内にいる俺とリュイル達に噛みつこうと口を開け結界に頭をぶつけてくる。
フィアの結界のおかげで助かったけど、これは恐怖だ。
リュイル達もいつも間にか俺の近くに集まってるし。
安心した所に結襲われたんだ仕方がないことだろう。
結界に阻まれてるとはいえ、このままというわけにもいかないのだが、俺やリュイル達ではどうすることも出来ない。
ワイヴァーンは結界内にいる俺やリュイル達に執着しているのか、頭上にフィアが来た事にも気づかず叫び声を上げている。
フィアはそんなワイヴァーンの頭を砕き腕を肘の辺りまで差し込んでいく、するとワイヴァーンは痙攣し意図が切れた人形のように倒れ、その事に気が付いたもう1匹のワイヴァーンがそちらを見た時には、フィアはすでに移動していてもう1匹も同じように頭に腕を差し込んでいた。
「ヒロ、そこの2匹を回収してもらえるかしら?」
右腕の肘から先を血で真っ赤し、指先から血を滴らせながら歩いてくる。
「わかった。近くにワイヴァーンはいないよな?」
「この付近にはいないから安心していいわ」
フィアが言うなら結界から出て回収している所で襲われる心配はないだろう。
「なら、回収してっ、おっ」
踏み出そうとしたところで足が動かず倒れこむ。
「何やっているのかしら?」
「いや、足が動かなくてさ」
足を見ればリュイル達が申し訳なさそうにしている所をみると、リュイル達の誰かもしくは全員が俺の足を掴んでいたようだ。
つかまれていることに気が付かなかった俺も、それだけワイヴァーンに気を取られていたって事だろうな。
「まぁ、いいわ。私は他のワイヴァーンを仕留めてくるから、その回収もよろしくね」
フィアはそう言って結界の外へ歩いていく。
さて、俺もワイヴァーンを回収して回るかね、何匹いることやら。
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