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解体倉庫からギルドマスターであるミランナの部屋に向かう。
ギルド職員に案内されなくても何度か歩いているので場所は知っている。
ミランナの所に行く前に準備しておくか。
「リュイルかリリィのどちらでもいいんだが、渡しておくよ」
アイテムボックスから今までに解体倉庫で受け取ったブラッドガウルの確認書類を出す。
「今までの書類ね、結構枚数あるわね」
「それだけの数を解体に出したという事でしょうね」
リュイルとリリィは受け取った書類を見ている。
かなりの数のブラッドガウルをフィアがしとめてくれたからな。
まぁ、枚数はあっても日付以外の内容は同じ書類だ。
今日、受け取ったは書類は解体に出した数も違うけど。
「どうしてこれを私達に?」
「俺は、報酬の相場はわからないからな」
「そういうことですか。ヒロさんはギルドマスターとの交渉を、私達に任せたいということですね」
「ああ、依頼を受ける前にミランナと話し合って決めた内容の範囲に収まってないからな」
「言われてみればそうね」
「ブラッドガウルの数もそうだがリーダーの大きさも想定していたより大きかったのか、ミランナは驚いていたからなぁ」
「それらに関しては、すでにギルドマスターと話し合っていますよ」
「そうだったかしら?」
「そうですよ、リュイル。ギルドマスターがブラッドガウルのリーダーを確認した後に話し合ったでしょう」
「あ~、そうだったわね」
「正確な数がわかっていなかったので、それ以外の事はある程度決めてありますよ。なので交渉といってもそれほどのことではありませんね」
「そうなんだ。リュイルとリリィに任せるよ」
話し合ってたのか、俺覚えてないわ。
ギルドマスターの部屋の扉を叩く。
「どうぞ」
ミランナの返事が聞こえたので一安心。
改めての出直しにならなくて何よりだ。
部屋の中に入ると、ミランナは机に向かい作業をしていてる。
「あら、貴女達だったのね。きりの良い所までおわしちゃうから、座って待っててくれる」
こちらに視線を向けたと思ったらそう言って机に向かう。
「忙しいところ悪いな」
「今はそんなに忙しくないから大丈夫よ」
声を掛けると、作業しながら返事が返ってくる。
イスに座り待っていると、作業を終えたミランナは立ち上がり部屋の入り口に。
「ちょっと待っててね」
そういい残し部屋を出て行く。
えっ?
俺らを部屋に残して何処行くの。
「なぁ、ミランナってギルドマスターだよな。俺らだけ部屋に残すって無用心じゃないか?」
「どうなのかしら?」
「信用なのでしょうか?」
「重要なものはこの部屋にないとか?」
「いないからといって、何か行動を起こすわけにはいかないわよ」
「何か用意するんじゃないですかね?」
俺の疑問にリュイル達が答え、フィアは何も言わず俺の隣で座ってる。
最後のレスティナの答えの可能性はあるな。
今日、ミランナの所に来るって話はしてなかったし。
「おまたせ」
ちょっとと言うだけあってすぐに戻ってきた。
「今、飲み物を持ってくるから詳しい話しは、その後にしましょう」
「この部屋を俺達だけにしたけど、それって問題にならないのか?」
「問題になるような相手だったら、最初からこの部屋には入れないわよ。それにちゃんと相手を見て決めているわ。そもそも、そんなことを聞いて来るような人は問題を起こさないでしょ」
確かに問題を起こすつもりはまったく無いが。
ミランナは俺達に対して、ある程度の信用あるいは信頼を持っているって事か。
話していると、部屋の扉が叩く音が聞こえミランナが答えると飲み物を持った女性が入ってくる。
「どうぞ」
入ってきた女性が飲み物をそれぞれの前に置くたびに揺れたなぁ。
揺れる巨乳は魅力的だったし、飲み物を置く時に微笑んでくれたのは嬉しかった。
女性が出て行くまで眺めていたが美人だったな。
今回は獣人で尻尾がもふもふだった。
「気になるようね」
ミランナに言われ周りを見れば、みんな俺を見ている。
目の前で揺れてるおっぱいあったら気になってみるよね。
「まぁ、私がヒロが好みそうなおっぱいの大きな女性に持ってきてもらうように頼んだんだのよ」
ミランナの指示だったか。
うん、ありがとう。
声に出せないが嬉しいぞ。
「人族なのに他種族の身体に興味を持つのはヒロぐらいよ、私のコレも気になってるようようだし」
ミランナは下からおっぱいを持ち上げ揺らす。
胸元が開いている服だから谷間が凄いな。
「それと、ヒロって冒険者ギルド職員に意外と人気あるわよ」
「そうなのか?」
「理由もわかってはいるわよ」
知らなかった。
見た限りそんな感じはしないんだが。
「ヒロが解体倉庫利用受付で種族を気にせず受付の女性と楽しそうに話をするのと、リュイル達が理由よ」
「リュイル達が?」
見ればリュイル達は驚いている。
「私達が?」
「気がついてないのかしら」
「どういうことでしょうか?」
「貴女達、自分の種族を忘れてないわよね」
俺が種族違いのリュイル達と仲良く行動しているからか?
「ヒロはわかったようね。護衛って余程の急ぎでもない限り、同種族で同姓を頼むことが普通なのに、女性でしかも種族違いが護衛してるだけでも珍しいのよ。しかも楽しそうに行動してればわかるでしょ」
リュイル達は顔を見合わせ納得した表情だ。
ミランナの話に気になることがある。
「なぁ、護衛に同種族で同姓って難しくないか?男の冒険者って少ないんだよな」
「別に少ないわけじゃないわよ。それなりはいるから難しくは無いわよ」
「でも、女性の方が多いって言ってなかったか?」
「言ったわよ。比率的に女性の方がはるかに多いからそう感じるのよ。堅実的なのが女性に多いのは確かだけどね。それに、ヒロのように個人で護衛を頼むなんて、あまり無いわよ」
「そうなのか?」
リュイル達を見れば頷いている。
「街の移動は護衛もいる乗合馬車の方が安いから、そっちを選ぶわよ」
「まぁ、リュイル達が護衛についてくれたのは偶然だしな」
出会ったのは国の命令で、乗合馬車が国境を越えてこの街に来る事ができなかったからだし。
現状、護衛についているのは俺が頼んだというよりはねぇ。
楽しく過ごせてるし、楽しみもあるから良いんだけどね。
「そういえば、そうだったわね。さて、そろそろ私の所に来た目的を済ませましょう」
「わかりました」
リュイルとリリィが立ち上がり、俺が渡した書類をミランナに手渡す。
「目の前にある飲み物は、好きに飲んで良いわよ」
そう言ってミランナは受け取った書類を確認していく。
飲み物を飲みながらミランナが書類を確認しているのを眺め、リュイルとリリィはミランナの机の前にいる。
それほど待たずに書類を置くミランナ。
「ヒロが言ってくれた数から予想はしていたけど、少し多いのは誤差でしょうね」
ブラッドガウルのはぐれの数は適当に言ったからな。
俺も正確な数字を把握してなかったし、そこは大目にみてほしい。
「報酬の方のは数日待ってもらえないかしら。正確な数字が出てなかったのと、報酬についてもきちんと話し合ってないものね」
「そうですね」
「ヒロさん、それで良いですか?」
「リュイルとリリィに任せるよ」
俺の返事を聞いて、ミランナ、リュイル、リリィは話し合いを始める。
そういえば、ブラッドガウルのリーダーを解体に出した覚えがないな。
どうしたっけ。
それとなくアイテムボックスの中を確認してみるが入っている感じがしない。
さっき出した魔物の中に混ざったかもしれないが、どうせ解体するんだし一緒でいいか。
肉を受け取りに寄った時に見てみるか。
「おわったわよ」
話し合いを終えたリュイルがこちらを向き声を掛け戻ってくる。
「早かったな」
「前回、話し合った時にある程度までは決めていましたから」
「報酬の支払いは、こちらの都合で悪いのだけれど5日ほど待ってもらえないかしら」
「私とリリィはかまわないのだけど」
「俺も別にかまわないぞ」
金銭的には余裕あるし問題は無い。
「ありがと、助かるわ」
「ミランナに言っておく事があるんだ」
「なにかしら?」
「後で解体倉庫からも話は来るかもしれないが、ブラッドガウルの解体が終わってるだろ、だから持っていた魔物を解体にだしたから」
「依頼のブラッドガウルが終わってるのだから問題はないわよ」
「ギルドの利用受付をしてないんだ」
「そういうこと、こっちで処理しておくわよ」
「たすかる」
「私からもお願いがあるんだけど良いかしら?」
「聞くだけでも?」
「別に依頼ってわけじゃないから聞いてからでいいわ。引き受けてくれるなら依頼の形にするわよ」
聞くだけなら良いか。
内容を知ってからリュイル達と相談すればいいんだし。
「とりあえず聞いてからで」
「わかったわ。今から数日前なんだけどブラッドガウルがいた平原で、ワイヴァーンを見たって話が上がってきたのよ」
「あの場所ってあまり高ランクの冒険者はいきませんよね?」
「ええ、強い魔物が出るわけでもないから、採取とかする低めのランクの冒険者が多いわ。話しを上げてきた冒険者はランクが低いの、でも同様に見かけたって話すランクの低い冒険者もそれなりにいるのよ」
「それでしたら」
「ただねぇ。ランクの低い冒険者がワイヴァーンを見たことがあるのかって事と、ワイヴァーンに認識されずに確認できるのか、認識されていて逃げられるのかって事なのよ」
「なるほど、そういうことですか」
リュイル達はミランナの話を聞いて頷いているが俺にはわからん。
「ヒロ、ワイヴァーンは目が良いのよ」
隣に座っているフィアが教えてくれる。
「目が良いってことは、こちらが認識できるなら向こうも認識しているって事よ。向こうは空を飛んでいるわけだし」
「それで」
「ワイヴァーンが認識できない距離から、空を飛んでいるのがワイヴァーンと認識できるのかって事よ」
「なるほど、情報の信用性が低いって事か」
「そうなのよ、だから困っているのよ」
「ギルドマスター、ワイヴァーンを見かけてのはどの辺りで、どの方向なんですか?」
「こっちに来てもらえる」
机の周りに集まるとミランナは地図を取り出し机の上に広げる。
「話として私の所まであがってきたのは、見かけたのは大体この辺りらしいわよ。で、飛んでいるのを見たのはこの方向らしいわ」
地図を見ながらミランナの説明を受けたが方向的には、俺達がブラッドガウルを殲滅した方向だな。
正確な位置ではなく大雑把な方向だけど。
「ギルドマスター、この方向はもしかして」
リュイルもというか、表情からしてみんな気がついたようだ。
「そう、貴女達がブラッドガウルを殲滅した方向なのよ。それで聞きたいのだけど、ブラッドガウルは殲滅したのよね」
「完全に殲滅できたかといわれるとちょっと」
「正直にいいますと、完全に殲滅は出来ていないと思います」
リリィの意見に同意だな。
はぐれがいたくらいだから、取りこぼしは間違いなくあると思う。
「そうなの?」
「説明はしたと思いますけど。リーダーがいて群れとしてまとまってはいましたけど、その群れの所に行くまでにはぐれと遭遇しましたから」
「そういうことね。確かに、はぐれまでとなると仕方が無いわね。でも、もしかしたら可能性はあるのかしら」
「聞きたいんだが、見かけたワイヴァーンって1匹なのか?」
1人で考え込み始めたミランナに尋ねる。
「ええ、上がってきた話では飛んでいるのは1匹だって話よ。ねぇ、可能性の話なんだけど、この辺り一帯にブラッドガウルのはぐれが点在していたら、遠くにいる冒険者よりく近くのブラッドガウルを狙うわよね」
「確かに、それは考えられますね」
「ワイヴァーンからすればブラッドガウルの方が魅力的でしょうから」
「まだ、この辺り一帯にいる可能性はあるわね。見間違いでなければね」
「そうなりますね」
「ワイヴァーンという事で話し合ったわけなんだけど、確認しに行ってもらえないかしら。可能性としてはなんともいえないけれど」
確認しにいって、ワイヴァーンでなければ問題は無いが、ワイヴァーンだった場合はどうにかなるのか?
フィアがいれば問題なく仕留められるんだろうけど、最初からフィアを当てにして受けるのはなんともな。
リュイル達は倒せるのか?
見ればリュイル達は俺に視線を向けてくる。
「俺を見ても無理だぞ。ワイヴァーンと戦闘なんて」
「わかってるわ。ワイヴァーンを私達でどうにかなるものではないわ」
「確認しに行って、いなければ問題ありませんが、ワイヴァーンがいた場合は逃げられれば良い方ですね」
「これは無理」
「そうですね、いくら確認だけとはいってもねぇ」
「危険すぎるよね」
リュイル達も引き受けるのは無理と考えているようだ。
かなり危険を伴う内容だしな。
みんな黙り込んだ所で、隣にいるフィアが俺の服を引っ張る。
「どうしたんだ、フィア」
「ヒロ、引き受けてもいいわよ」
「良いのか?」
「かまわないわよ」
「ありがとな。フィアにすべて頼ってしまうが頼むよ」
「任せておきなさい」
胸を張って答えるフィア。
揺れる大きなおっぱいが素晴らしくて、頼りになる返事をくれる嫁さんだ。
ここ数日で多少は余裕があるからフィアの好きなものを用意してあげよう。
「その、引き受けてくれるって事でいいのかしら?」
俺とフィアの話を聞いていたミランナが不安そうに尋ねてくる。
「ワイヴァーンの調査引き受けるよ」
「ありがとう、助かるわ。それで報酬なんだけど、そんなに出せないのよ。ただ、ワイヴァーンがいるって確かな情報だったら危険手当も含めてそれなりに払うわ。けど、いないって話になった時にはね」
「それは仕方が無いわよ」
「ワイヴァーンがいないほうが良いのですからね」
さて、とりあえずブラッドガウルの群れがいた所まで行くことにはなるな。
準備するものはないから、一応このまま出ることは可能だが誰かには伝えたほうが良いだろう。
冒険者ギルドにいるルーミアとルティナに声を掛けるべきかと思ったが、同僚がいる所で家の事を話すわけにはいかないな。
聞かれたら、ギルド内に話が広まりそうだ。
でも、ルティナなら俺が肉を受け取っている間にリュイル達に頼めば伝えられそうな気がする。
あとは、ラルフィナさんとリエッタさんに話を伝えるか、どちらも個人で店をやってるからな。
「ねぇヒロ、ワイヴァーンがいたら仕留めてもかまわないわよね?」
この後の予定を考えているとフィアが尋ねてくる。
「良いんじゃないか。駄目ってわけじゃないだろうし」
「えっ、ワイヴァーンを討伐できるの?」
ミランナが驚きの声をあげる。
さっきまで確認するだけでも危険だって話をしていたのに、討伐だもんな。
「問題なく仕留められるわよ。仕留めたら好きにして良いのよね」
「討伐したら、討伐者のものだから自由にして問題ないわよ」
「ヒロ、行くわよ」
なんだかやる気があるなぁ。
ここ最近、魔物を狩りに出ることが無かったから動くことが出来て嬉しいのかもしれないな。
「フィア、ちょっと待て、行くのはいいけど少し準備とかしたい」
「わかったわ」
「ミランナ、これから準備とか用事を済ませてから、ワイヴァーンの確認に向かうけど良いよな?」
「ええ、お願いよ」
「リュイル達もそれで良いよな」
「問題ないわ」
話し合いも終わり、この後の行動に移そうとしたとき、ギルドマスターの部屋の扉を乱暴に叩く音が室内に響いた。
ギルド職員に案内されなくても何度か歩いているので場所は知っている。
ミランナの所に行く前に準備しておくか。
「リュイルかリリィのどちらでもいいんだが、渡しておくよ」
アイテムボックスから今までに解体倉庫で受け取ったブラッドガウルの確認書類を出す。
「今までの書類ね、結構枚数あるわね」
「それだけの数を解体に出したという事でしょうね」
リュイルとリリィは受け取った書類を見ている。
かなりの数のブラッドガウルをフィアがしとめてくれたからな。
まぁ、枚数はあっても日付以外の内容は同じ書類だ。
今日、受け取ったは書類は解体に出した数も違うけど。
「どうしてこれを私達に?」
「俺は、報酬の相場はわからないからな」
「そういうことですか。ヒロさんはギルドマスターとの交渉を、私達に任せたいということですね」
「ああ、依頼を受ける前にミランナと話し合って決めた内容の範囲に収まってないからな」
「言われてみればそうね」
「ブラッドガウルの数もそうだがリーダーの大きさも想定していたより大きかったのか、ミランナは驚いていたからなぁ」
「それらに関しては、すでにギルドマスターと話し合っていますよ」
「そうだったかしら?」
「そうですよ、リュイル。ギルドマスターがブラッドガウルのリーダーを確認した後に話し合ったでしょう」
「あ~、そうだったわね」
「正確な数がわかっていなかったので、それ以外の事はある程度決めてありますよ。なので交渉といってもそれほどのことではありませんね」
「そうなんだ。リュイルとリリィに任せるよ」
話し合ってたのか、俺覚えてないわ。
ギルドマスターの部屋の扉を叩く。
「どうぞ」
ミランナの返事が聞こえたので一安心。
改めての出直しにならなくて何よりだ。
部屋の中に入ると、ミランナは机に向かい作業をしていてる。
「あら、貴女達だったのね。きりの良い所までおわしちゃうから、座って待っててくれる」
こちらに視線を向けたと思ったらそう言って机に向かう。
「忙しいところ悪いな」
「今はそんなに忙しくないから大丈夫よ」
声を掛けると、作業しながら返事が返ってくる。
イスに座り待っていると、作業を終えたミランナは立ち上がり部屋の入り口に。
「ちょっと待っててね」
そういい残し部屋を出て行く。
えっ?
俺らを部屋に残して何処行くの。
「なぁ、ミランナってギルドマスターだよな。俺らだけ部屋に残すって無用心じゃないか?」
「どうなのかしら?」
「信用なのでしょうか?」
「重要なものはこの部屋にないとか?」
「いないからといって、何か行動を起こすわけにはいかないわよ」
「何か用意するんじゃないですかね?」
俺の疑問にリュイル達が答え、フィアは何も言わず俺の隣で座ってる。
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「おまたせ」
ちょっとと言うだけあってすぐに戻ってきた。
「今、飲み物を持ってくるから詳しい話しは、その後にしましょう」
「この部屋を俺達だけにしたけど、それって問題にならないのか?」
「問題になるような相手だったら、最初からこの部屋には入れないわよ。それにちゃんと相手を見て決めているわ。そもそも、そんなことを聞いて来るような人は問題を起こさないでしょ」
確かに問題を起こすつもりはまったく無いが。
ミランナは俺達に対して、ある程度の信用あるいは信頼を持っているって事か。
話していると、部屋の扉が叩く音が聞こえミランナが答えると飲み物を持った女性が入ってくる。
「どうぞ」
入ってきた女性が飲み物をそれぞれの前に置くたびに揺れたなぁ。
揺れる巨乳は魅力的だったし、飲み物を置く時に微笑んでくれたのは嬉しかった。
女性が出て行くまで眺めていたが美人だったな。
今回は獣人で尻尾がもふもふだった。
「気になるようね」
ミランナに言われ周りを見れば、みんな俺を見ている。
目の前で揺れてるおっぱいあったら気になってみるよね。
「まぁ、私がヒロが好みそうなおっぱいの大きな女性に持ってきてもらうように頼んだんだのよ」
ミランナの指示だったか。
うん、ありがとう。
声に出せないが嬉しいぞ。
「人族なのに他種族の身体に興味を持つのはヒロぐらいよ、私のコレも気になってるようようだし」
ミランナは下からおっぱいを持ち上げ揺らす。
胸元が開いている服だから谷間が凄いな。
「それと、ヒロって冒険者ギルド職員に意外と人気あるわよ」
「そうなのか?」
「理由もわかってはいるわよ」
知らなかった。
見た限りそんな感じはしないんだが。
「ヒロが解体倉庫利用受付で種族を気にせず受付の女性と楽しそうに話をするのと、リュイル達が理由よ」
「リュイル達が?」
見ればリュイル達は驚いている。
「私達が?」
「気がついてないのかしら」
「どういうことでしょうか?」
「貴女達、自分の種族を忘れてないわよね」
俺が種族違いのリュイル達と仲良く行動しているからか?
「ヒロはわかったようね。護衛って余程の急ぎでもない限り、同種族で同姓を頼むことが普通なのに、女性でしかも種族違いが護衛してるだけでも珍しいのよ。しかも楽しそうに行動してればわかるでしょ」
リュイル達は顔を見合わせ納得した表情だ。
ミランナの話に気になることがある。
「なぁ、護衛に同種族で同姓って難しくないか?男の冒険者って少ないんだよな」
「別に少ないわけじゃないわよ。それなりはいるから難しくは無いわよ」
「でも、女性の方が多いって言ってなかったか?」
「言ったわよ。比率的に女性の方がはるかに多いからそう感じるのよ。堅実的なのが女性に多いのは確かだけどね。それに、ヒロのように個人で護衛を頼むなんて、あまり無いわよ」
「そうなのか?」
リュイル達を見れば頷いている。
「街の移動は護衛もいる乗合馬車の方が安いから、そっちを選ぶわよ」
「まぁ、リュイル達が護衛についてくれたのは偶然だしな」
出会ったのは国の命令で、乗合馬車が国境を越えてこの街に来る事ができなかったからだし。
現状、護衛についているのは俺が頼んだというよりはねぇ。
楽しく過ごせてるし、楽しみもあるから良いんだけどね。
「そういえば、そうだったわね。さて、そろそろ私の所に来た目的を済ませましょう」
「わかりました」
リュイルとリリィが立ち上がり、俺が渡した書類をミランナに手渡す。
「目の前にある飲み物は、好きに飲んで良いわよ」
そう言ってミランナは受け取った書類を確認していく。
飲み物を飲みながらミランナが書類を確認しているのを眺め、リュイルとリリィはミランナの机の前にいる。
それほど待たずに書類を置くミランナ。
「ヒロが言ってくれた数から予想はしていたけど、少し多いのは誤差でしょうね」
ブラッドガウルのはぐれの数は適当に言ったからな。
俺も正確な数字を把握してなかったし、そこは大目にみてほしい。
「報酬の方のは数日待ってもらえないかしら。正確な数字が出てなかったのと、報酬についてもきちんと話し合ってないものね」
「そうですね」
「ヒロさん、それで良いですか?」
「リュイルとリリィに任せるよ」
俺の返事を聞いて、ミランナ、リュイル、リリィは話し合いを始める。
そういえば、ブラッドガウルのリーダーを解体に出した覚えがないな。
どうしたっけ。
それとなくアイテムボックスの中を確認してみるが入っている感じがしない。
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「おわったわよ」
話し合いを終えたリュイルがこちらを向き声を掛け戻ってくる。
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「俺も別にかまわないぞ」
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「ありがと、助かるわ」
「ミランナに言っておく事があるんだ」
「なにかしら?」
「後で解体倉庫からも話は来るかもしれないが、ブラッドガウルの解体が終わってるだろ、だから持っていた魔物を解体にだしたから」
「依頼のブラッドガウルが終わってるのだから問題はないわよ」
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「そういうこと、こっちで処理しておくわよ」
「たすかる」
「私からもお願いがあるんだけど良いかしら?」
「聞くだけでも?」
「別に依頼ってわけじゃないから聞いてからでいいわ。引き受けてくれるなら依頼の形にするわよ」
聞くだけなら良いか。
内容を知ってからリュイル達と相談すればいいんだし。
「とりあえず聞いてからで」
「わかったわ。今から数日前なんだけどブラッドガウルがいた平原で、ワイヴァーンを見たって話が上がってきたのよ」
「あの場所ってあまり高ランクの冒険者はいきませんよね?」
「ええ、強い魔物が出るわけでもないから、採取とかする低めのランクの冒険者が多いわ。話しを上げてきた冒険者はランクが低いの、でも同様に見かけたって話すランクの低い冒険者もそれなりにいるのよ」
「それでしたら」
「ただねぇ。ランクの低い冒険者がワイヴァーンを見たことがあるのかって事と、ワイヴァーンに認識されずに確認できるのか、認識されていて逃げられるのかって事なのよ」
「なるほど、そういうことですか」
リュイル達はミランナの話を聞いて頷いているが俺にはわからん。
「ヒロ、ワイヴァーンは目が良いのよ」
隣に座っているフィアが教えてくれる。
「目が良いってことは、こちらが認識できるなら向こうも認識しているって事よ。向こうは空を飛んでいるわけだし」
「それで」
「ワイヴァーンが認識できない距離から、空を飛んでいるのがワイヴァーンと認識できるのかって事よ」
「なるほど、情報の信用性が低いって事か」
「そうなのよ、だから困っているのよ」
「ギルドマスター、ワイヴァーンを見かけてのはどの辺りで、どの方向なんですか?」
「こっちに来てもらえる」
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「ギルドマスター、この方向はもしかして」
リュイルもというか、表情からしてみんな気がついたようだ。
「そう、貴女達がブラッドガウルを殲滅した方向なのよ。それで聞きたいのだけど、ブラッドガウルは殲滅したのよね」
「完全に殲滅できたかといわれるとちょっと」
「正直にいいますと、完全に殲滅は出来ていないと思います」
リリィの意見に同意だな。
はぐれがいたくらいだから、取りこぼしは間違いなくあると思う。
「そうなの?」
「説明はしたと思いますけど。リーダーがいて群れとしてまとまってはいましたけど、その群れの所に行くまでにはぐれと遭遇しましたから」
「そういうことね。確かに、はぐれまでとなると仕方が無いわね。でも、もしかしたら可能性はあるのかしら」
「聞きたいんだが、見かけたワイヴァーンって1匹なのか?」
1人で考え込み始めたミランナに尋ねる。
「ええ、上がってきた話では飛んでいるのは1匹だって話よ。ねぇ、可能性の話なんだけど、この辺り一帯にブラッドガウルのはぐれが点在していたら、遠くにいる冒険者よりく近くのブラッドガウルを狙うわよね」
「確かに、それは考えられますね」
「ワイヴァーンからすればブラッドガウルの方が魅力的でしょうから」
「まだ、この辺り一帯にいる可能性はあるわね。見間違いでなければね」
「そうなりますね」
「ワイヴァーンという事で話し合ったわけなんだけど、確認しに行ってもらえないかしら。可能性としてはなんともいえないけれど」
確認しにいって、ワイヴァーンでなければ問題は無いが、ワイヴァーンだった場合はどうにかなるのか?
フィアがいれば問題なく仕留められるんだろうけど、最初からフィアを当てにして受けるのはなんともな。
リュイル達は倒せるのか?
見ればリュイル達は俺に視線を向けてくる。
「俺を見ても無理だぞ。ワイヴァーンと戦闘なんて」
「わかってるわ。ワイヴァーンを私達でどうにかなるものではないわ」
「確認しに行って、いなければ問題ありませんが、ワイヴァーンがいた場合は逃げられれば良い方ですね」
「これは無理」
「そうですね、いくら確認だけとはいってもねぇ」
「危険すぎるよね」
リュイル達も引き受けるのは無理と考えているようだ。
かなり危険を伴う内容だしな。
みんな黙り込んだ所で、隣にいるフィアが俺の服を引っ張る。
「どうしたんだ、フィア」
「ヒロ、引き受けてもいいわよ」
「良いのか?」
「かまわないわよ」
「ありがとな。フィアにすべて頼ってしまうが頼むよ」
「任せておきなさい」
胸を張って答えるフィア。
揺れる大きなおっぱいが素晴らしくて、頼りになる返事をくれる嫁さんだ。
ここ数日で多少は余裕があるからフィアの好きなものを用意してあげよう。
「その、引き受けてくれるって事でいいのかしら?」
俺とフィアの話を聞いていたミランナが不安そうに尋ねてくる。
「ワイヴァーンの調査引き受けるよ」
「ありがとう、助かるわ。それで報酬なんだけど、そんなに出せないのよ。ただ、ワイヴァーンがいるって確かな情報だったら危険手当も含めてそれなりに払うわ。けど、いないって話になった時にはね」
「それは仕方が無いわよ」
「ワイヴァーンがいないほうが良いのですからね」
さて、とりあえずブラッドガウルの群れがいた所まで行くことにはなるな。
準備するものはないから、一応このまま出ることは可能だが誰かには伝えたほうが良いだろう。
冒険者ギルドにいるルーミアとルティナに声を掛けるべきかと思ったが、同僚がいる所で家の事を話すわけにはいかないな。
聞かれたら、ギルド内に話が広まりそうだ。
でも、ルティナなら俺が肉を受け取っている間にリュイル達に頼めば伝えられそうな気がする。
あとは、ラルフィナさんとリエッタさんに話を伝えるか、どちらも個人で店をやってるからな。
「ねぇヒロ、ワイヴァーンがいたら仕留めてもかまわないわよね?」
この後の予定を考えているとフィアが尋ねてくる。
「良いんじゃないか。駄目ってわけじゃないだろうし」
「えっ、ワイヴァーンを討伐できるの?」
ミランナが驚きの声をあげる。
さっきまで確認するだけでも危険だって話をしていたのに、討伐だもんな。
「問題なく仕留められるわよ。仕留めたら好きにして良いのよね」
「討伐したら、討伐者のものだから自由にして問題ないわよ」
「ヒロ、行くわよ」
なんだかやる気があるなぁ。
ここ最近、魔物を狩りに出ることが無かったから動くことが出来て嬉しいのかもしれないな。
「フィア、ちょっと待て、行くのはいいけど少し準備とかしたい」
「わかったわ」
「ミランナ、これから準備とか用事を済ませてから、ワイヴァーンの確認に向かうけど良いよな?」
「ええ、お願いよ」
「リュイル達もそれで良いよな」
「問題ないわ」
話し合いも終わり、この後の行動に移そうとしたとき、ギルドマスターの部屋の扉を乱暴に叩く音が室内に響いた。
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