異世界のんびり自由な流浪旅？

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　借りた鍵で家の門を開け、見慣れた庭を眺めながら進み家の鍵を開けフィア、ラルフィナさんの３人で家の中に入る。
　少し街から離れていたけど、借りているとはいえこの家に入ったらなんだか戻って来たって感じがするな。
　帰ってこれる場所でも宿とは感覚が違うな。


「ヒロ、どうしたの立ち止まって」


　玄関を入ってそのままでいた事がフィアは気になったようだ。


「帰ってきたと思っただけだよ」

「そう？」


　フィアは首をかしげている。
　感覚的なものだから説明はしにくいな。
　さて靴を脱いでくつろげる部屋は前と同じ方が良いだろう、分かりやすいし。


「靴を脱いで絨毯の上で過ごせる部屋は前と同じでいいよな？」

「ヒロに任せるわ」

「あの部屋でまたのんびり出来るのね～」


　ラルフィナさんはどうやらお気に入りのようだ。
　前と同じ部屋に行き、厚みのある硬い絨毯を敷き、その上に同じ厚みだが柔らかい絨毯を敷く。
　絨毯を敷き終わるとすぐフィアとラルフィナさんは靴を脱いで感触を確かめていく。
　俺が絨毯を敷くのを部屋の入り口で待っていたからな、それだけ気にいってくれたのだろう。
　絨毯の中心辺りに座卓を出して後はリュイル達が戻ってくるまでのんびりしていれば良い。
　俺は少しやる事があるけど。


「リュイル達が来るまで適当にすごしてくれ。俺は少しやる事があるから」

「ヒロ、何か飲み物欲しいわ」


　部屋を出て行こうと、立ち上がりかけた所へ俺の服をつかんでフィアが催促する。
　確かアイテムボックスには何も無かった気が、確認してスキルで買わないとならないかも。


「何が良いんだ？」

「お酒は駄目かしら？」

「お酒って今からか？」

「そうよ」


　リュイル達がどれくらいで戻ってくるか分からないのに酒を飲み始めるのか。
　今回の依頼はフィアがかなり頑張ったし、仕方が無いか。


「わかった、どんな酒が飲みたいんだ？」

「？」

「どうしたんだ？」

「お酒って色々あるの？」


　あ、まずい事をしてしまったかもしれない。


「ワインで良いか？」

「違うのが良いわ」

「わかったワインじゃないものな」

「ビールも駄目よ」


　考えが読まれたか、仕方が無い。


「取り合えず飲み物として酒は用意するけど、口に合わなくても文句は受け付けないからな」

「かまわないわ、それも楽しみだわ」


　フィアは酒が楽しみなようで笑顔を向けてくる。
　美女の笑顔はやっぱりいいな。


「ヒロくん、私の分もあるかしら～」


　期待した表情で聞いて来るラルフィナさん。
　さすがにフィアだけですとは言えないよな。
　ラルフィナさんも飲みたいだろうし。


「もちろん、ラルフィナさんの分も用意しますよ」

「ありがとね～」

「準備してくるから」


　そう言って部屋をでて、前回俺が寝るために使っていた部屋に向かう。
　キッチンでスキルを起動してもいいのだが使っている時にリュイル達がルーミアを連れてきたり、エルメリアが来られても困る。
　選んでいる所は見えないけど、購入した瞬間を見られたくない。
　スキルを起動してと、酒が何がいいんだろうな。
　日本酒にするか一升瓶だと結構量もあるし、それともウイスキー、ブランデーか。
　度数が高いウイスキーとかでもストレートでもえらい飲みそうだ。
　迷うけど、今回は日本酒でいくか。
　一升瓶お楽しみ６本セットってのがあったからそれにして、日本酒グラスのセットも一緒に購入と。
　つまむものは、リュイル達が来れば夕食になるし無くても良いか。


「用意出来たぞ」


　フィアとラルフィナさんの前にアイテムボックスから購入した日本酒の６本セットのうち１本を取り出し、グラスも２個出す。


「これは？」


　フィアが興味深そうに瓶を見ながら聞いて来る。
　見ればラルフィナさんも同様だ。
　

「日本酒って言う酒」


　それぞれのグラスに日本酒を注ぐ。


「透明なのね」

「水みたいですね～」


　確かに知らなければ、見た目は水に見えるな。
　２人が飲んで口に合わなければリュイル達に、それでも駄目なら料理にでも使うか。
　日本酒の入ったグラスに口をつけ２人はいっきに飲み干す。
　普通、少しずつ飲むんじゃないの。


「あっ、これは」

「ん～」


　初めての味に驚いているのか、２人は飲み終えたグラスを見ている。
　その後フィアとラルフィナさんの２人は視線を交わすと同時に俺に向かってグラスを差し出したので、日本酒をグラスに注ぐ。
　今度はゆっくりと飲む。


「ヒロ、この日本酒良いわね」

「私も～、気に入りました～」


　どうやら初めて飲む日本酒をフィアとラルフィナさんは気にいってくれた様だ。
　この感じだと、リュイル達も気に入りそうだな。
　特にラムリア辺りが強い関心を示すかもしれないな。


「日本酒は置いていくから、後は２人で飲んでくれ」

「わかったわ」

「は～い」


　フィアとラルフィナさんの２人が飲み始めたので、俺は部屋を出て風呂の準備をし、夕食に使うブラッドガウルの肉をキッチンで切り分けてしばらくした後、玄関で話し声が聞こえる。
　声でリュイル達と分かり、作業を中断して玄関に。


「おかえり」　

「「「「「　ただいま　」」」」」


　出迎えればリュイル達の返事が返ってくる。
　ん、何か人数が多いような。
　見ればリュイル達の後ろにルーミア、エルメリアの他に居る。


「ごめん、１人増えちゃった」

　
　誰がリュイル達の後ろにいるのか確認しようと思った所で、リュイルが申し訳なさそうに言ってくる。
　増えちゃったって、まぁ１人ぐらいなら問題ないけどさ。
　どうして来る事になったんだ。