異世界のんびり自由な流浪旅？

霜月雪

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　　ブラッドガウルか、確かにあの凶悪な顔と巨体で迫ってこられたら間違いなく逃げる、逃げ切れるかは別だけど。
　ミランナが言っていたように、それなりの冒険者では無理だろうな。
　こんな少数で来るのも間違ってるような気がするが、フィアがいれば問題ないだろう狩れるのだし。
　ブラッドガウルを回収した後は近くの適度に木々がある場所に移動して野営の準備だ。
　フィアに隠蔽結界を張ってもらうと、リュイル達はそれぞれが行動を始める。
　そういえば、ブラッドガウルは高級品の肉でギルドでも半分は売って欲しいって事を言っていたな。
　倒して食べては駄目とも聞いてないから食べて見るのも良いな。
　野営で魔鉄板焼きか、味付けは色々ある、解体が出来ればになるが。

「リュイル、ちょっと良いか？」

「なに？」

　リュイルを呼ぶと近くに来てくれる。
　俺は食事の準備してるしな。

「ブラッドガウルなんだけど解体って可能か？」

「そうねぇ。微妙かしらね」

　微妙って何だ。
　出来ない事は無いってことか。

「ガウルと同じ様に解体していいなら出来るわ。ランクＡのブラッドガウルがただのガウルと同じとは限らないし、使うことの出来る素材のこともあるわ」

「ランクが高くなれば、素材として利用できる所も多くなると」

「その認識で間違いないわ。ランクが高くなればそれだけ保有している魔力も大きいだろうし」

「素材の事を気にしなければ解体は可能なんだな」

「ええ、角と皮以外の素材をあきらめてもらえば」

　魔物の体内なんてどうなってるか分からないし、この１匹に関しては素材はどうでも良いだろう。
　フィアのおかげで魔物素材の売却で懐はかなり余裕だし。
　素材に関してはミランナが聞いたら何て言うか分からんけど。

「素材は気にしなくていいから解体を頼む」

「え、まぁ、それでいいなら解体はするけどね」

「ミランナがブラッドガウルの肉は高級肉って言っていたからな、食べてみたいと思ってさ」

「そういうことね、わかったわ。みんなに声掛けくるから結界の端のほうにでも出しておいて」

　そう言ってリュイルはリリィ達が作業しているほうへ歩いていく。
　言われたように俺は結界の端のほうへ行ってブラッドガウルを出す。
　よくもまぁ、こんなのをフィアは倒せたもんだ。
　眺めているとリュイル達が来た。

「時間かかるけど大丈夫？」

「こっちも食事の用意があるから大丈夫だ、食べる分だけでも確保してもらえれば。それと、ラムリアには手伝ってもらいたい事があるんだけど良いか？」

「ええ、こっちは大きな穴をあけてもらえれば大丈夫よ」

　穴か、そういえばボアの解体の時にあけた穴の中に内臓とかいらない物を入れて埋めてたな。
　思い出していると、リュイルの指示に従ってラムリアが魔法でブラッドガウルの前に大きな穴をあける。

「で、ヒロは私に何をして欲しいの？」

　作業が終わったラムリアは、こちらに振り向きながら嬉そうに言ってくる。
　俺もやってもらう事は魔法を使ってもらう事だけど。

「前にアースウォールって魔法を使っていたけど高さって調節はできる？」

　調理用のテーブルを用意してある所へ２人で歩きながら聞く。

「高さの制限はあるけど可能よ」

　ならあれができる、鉄板焼きが。
　使うのは魔鉄板だけど。

「それじゃ、こことこの場所にこのくらいの高さで頼む」

「そんなものでいいの、アースウォール」

　ラムリアが魔法を唱えると希望した高さに土が盛り上がる。
　ここに魔鉄板を置いて下に火をくべれば鉄板焼きの準備で、後は解体で肉待ちだ。
　フィアが興味深そうにこちらを眺めている。
　しかし魔鉄板って言いにくいからもう鉄板で良いか、誰も気にしないだろう。

「あとは、ご飯の準備してくるから解体の様子見ながら、鉄板下に火を入れて適度に熱しておいてくれ」

「わかったわ」

　
　解体に時間がかかるって言っていたし、ずっと熱しているわけにもいかないからな。
　ラムリアに鉄板を任せ俺は米を炊いてご飯の用意。
　

「終わったわよ」

　土鍋８個分のご飯が炊きあがり、それから少ししたところでリュイルから声を掛けられたので解体している所へ。
　全部は解体が終わっていなかったが、俺が見た感覚では解体は結構進んでいた。

「とりあえずこれだけあれば、今日と明日の分くらいはあるわよね」

　結構な量があるんだけど、そんなに食べるのか？
　リュイル達が納得した量であればかまわないけどさ。

「足りませんでしたか？」　

　俺が驚いていると、心配そうにリリィが聞いてきた。

「いや、足りない事はないんじゃないか、足りなかったら解体すればいいんだし」

　解体された角、皮、切り分けられた肉や解体途中のブラッドガウルをアイテムボックスに回収しながら答える。
　もどって鉄板を見れば程よく熱せられていた。
　ラムリアが解体作業を確認しながらうまくやってくれたようだ。
　ブラッドガウルの肉を取り出し適度の厚さに切り分け皿に盛り、色々な味のステーキのたれ、焼肉のたれを用意すれば準備は終わりだ。
　後は好きなように焼いて、好きなたれをかけて食べてもらえば良い。
　ミランナが言っていた高級品の肉、食べるのが楽しみだ。

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