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 依頼のフォレストファングがいるという森についた。
 どこかに洞窟があるのか、いくつも洞窟があるのか分からないが、洞窟で見かけたというミネラルダイノスもこの森だ。
 森での行動方針がまだ決まっていないので森には入らず離れた距離にいる。


「これからどうするんだ?」

「私達でもフォレストファングが1匹、2匹なら倒せるけど、森にいるのは群れって話でしょう」

「そうですわね。はぐれの数匹はどうにかなるとしても群れで襲われたら勝ち目はありませんね」

「森の中での行動力はフォレストファングの方が上」

「森の中では使える魔法も限られてしまいますしね」

「群れに囲まれないように警戒しながら少しずつ減らしていくしかないですかね」


 リュイル達の話からすると、どうやら長期間かかりそうだ。
 森の中から出てこないとは聞いてないけどどうなんだ。


「フォレストファングって森から出てこないのか?」

「主な活動が森の中であって外に出てこないわけじゃないわよ」

「ここは安全ではない」

「出てくればアイシェラが気づくし、ラムリアの魔法もあるから森の中より戦いやすいから、何とかなるわよ。それよりも冒険者ギルドのカードだして」


 襲われるかも知れないということが俺にとって気が休まらないのだが。
 フィアは森をじっと見ているし、何かあったら頼むよ。
 アイテムボックスからギルドカーを出してリュイルに渡す。


「遅くなっちゃったんだけどね」


 そう言ってリュイル達は集まってなにやらやっている。


「はい、これでいいわ」


 手渡されたカードにはリュイル達のパーティ、紅の守護の名前が記載されていた。
 どうやらカードにはフレンド登録が可能なようだ。


「私達のパーティ名が表示されていると思うけどそれに触れれば私達の名前が出てくるわ」


 言われるままに操作してみると5人の名前に切り替わる。


「これ何か意味があるのか?」

「ギルドで登録している相手なら何処にいるとかの情報を教えてくれたり、連絡なんかはやってくれるわ」


 信用か信頼の証みたいなものか。
 このカード意外と色々と便利で高性能なのかもしれない。


「話は終わりましたか?」


 森をじっと見つめていたフィアが森から視線をこちらに向け聞いてくる。


「ああ、フィアこそ森をじっと見つめていたようだけど何かわかったのか?」

「それなりの数がいるようですわね」

「ん、それなりの数?」

「え、フィアさん。森の中にいるフォレストファングの数が分かるの?」


 リュイルが驚く。
 他を見てみれば同じような表情だ。


「感じている気配がフォレストファングかどうかはわからないわ。似たような気配がそれなりにあるってことぐらいかしらね」


 ここから気配がわかるんだ。
 この分だと正確な位置も分かるんだろう。
 さすがフィアだ。


「すこし行って来るわね。隠蔽結界は張っておくから動き回らないようにね」


 そう言って森の中に飛んでいった。


「どうしたらいいかしらね?」

「とりあえず野営の準備で良いんじゃないか」


 リュイルに尋ねられたのでそう答えた。
 動き回るなって事だし結界も張ってくれたんだからな。
 みんなで分担して野営の準備。
 テーブルやイス出したあと調理用のテーブルを出したあと、食事の準備はどうしようか悩んでいるところにフィアが戻ってきた
 片手に一匹ずつ計2匹の緑色したでっかい狼の首をつかんで。
 とりあえず鑑定すると「フォレストファング」とでた。
 間違いないようだな、しかし緑色の狼とは森だからかな、しかし思ったよりでかい。


「フィア、お疲れ様。リュイルこれ、フォレストファングであってる?」


 鑑定の事は話してないからリュイルに確認。


「ええ、フォレストファングに間違いないわ、けど」

「けどって何か問題でも」

「私達が知っているフォレストファングよりも大きいんですわ」


 リュイルの確認のあとにリリィが説明してくれる。
 これが普通のサイズではないのね。
 

「フィアどうだった?」

「数が多いだけで問題は無いわ」

「俺は食事の準備でもしてれば良いか?」


 俺が一緒にいっても役にたたないだろうし、食事の準備でもしていたほうが良いだろう。


「そうね、それでいいわ。でも、場所は森の中でも良いかしら。森の中に少し開けた場所があったのよ、ここまで持って来るのは面倒なのよ」


 フィアも俺が食事の準備をしていることには賛成か。
 まぁ、戦闘ごとはすべてまかせよう。
 野営の準備を片付け、フィアの見つけた森の中にある開けた場所へ。
 森の中での野営でもフィアが結界を張ってくれるなら安心だろう。

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