上 下
46 / 178

046

しおりを挟む
 さて、食事を作るのだけど何にしますかね。
 肉は色々と種類も量もあるからな。
 あれから休憩を挟みながら歩いた。
 適度に休憩を入れているのは俺の事を考えてくれての事だろう。
 野営に適した場所をアイシェラが見つけたのでそこで野営をする事に。


「フィア、張った結界の中って見えなくすることは可能なのか?」


 野営の準備が終わり、フィアが結界を張るときに聞いてみた。


「可能か不可能かでいえば出来るわよ、隠蔽結界。それがどうかしたかしら?」

「結界があるとはいえ周りが暗いのに焚き火と料理作ってるときの魔法の明かりは目立つだろ、何か引き寄せそうな気がしてな」

「そういうことなら、これからは外から見えないよう隠蔽結界にしておくわね」

「わがまま言って、すまないな」

「気にしなくて良いわよ、そういったことなら気軽にいってね」


 結界の外からは中の様子が見えなくなったらしい、外から見て確認したわけじゃないからそこはフィアを信じよう。 
 まず先に、土鍋5個に米を研いで吸水。
 その間に朝食用のスープだが、フォレストバードと市場で買った野菜の味噌汁にでもするか。
 大きめに切った肉と野菜とだし入れて煮込んで火が通ったら火止めて味噌入れて味をみてよければ出来上がり。
 少し時間を置いてからアイテムボックスへ。
 給水の終わった土鍋2つを火にかけ残りはアイテムボックスへ。
 炊き上ったら残りを順次炊いていけば良い。
 今日の夜はガウルの肉を沢山入れたシチューにすることに。
 コンロは2つしかないので新しく購入ついでにワインも7本追加で。
 肉、じゃがいも、人参を同じ大きさに切り、たまねぎは好みの幅にスライス。
 鍋に切った肉、野菜、だし、水、ワインを入れてあくをとりつつ煮込む。
 火が通ったらビーフシチューの素を入れて弱火にして焦げないように少し煮込んで完成。
 土鍋はシチューを煮込んでいる途中で新しく火にかけたので出来るのにもう少しかかる。
 コンロひとつ追加したから土鍋をひとつ追加して6個にするか。
 土鍋を全部炊き上げるまでに朝食の準備をする。
 といってもタマゴサンドと色々な味のステーキソースで焼いた肉を食パンに挟むだけだけど。


「出来たぞ」


 リュイル達がいるテーブルの真ん中にガウルのシチュー、両隣に土鍋を置き蓋を取る。
 ちゃんとご飯が出来ている。


「皿にご飯を盛ってその上にシチューかけて食べてくれ、パンがよければ食パン出すから言ってくれ」


 それぞれ自分の皿にご飯を盛ってシチューをかけている。
 前は個人に用意していたんだけど、おかわりになると俺が忙しくゆっくり食べていられないので一度に量が作れるものは自分で好きなだけとれるように鍋ごと置くようになった。


「これ、肉が多くて美味しい」

「具沢山でいいですわね」

「シチュー美味しい」

「ご飯にシチューがからんでたまりません」

「具沢山シチューにご飯最高ですよ」

「シチュー美味しいわ、シチューと一緒に食べるご飯も美味しいわね」


 みんな美味しいって言ってくれてよかった。
 食品会社のビーフシチュー素だ。
 こういったものにハズレはないからな。
 具沢山のシチューは最高だな。
 ご飯があるし言う事ない。
 こういったものは本当にうまい。
 飲み物にはお茶。
 6人にはワイン出しておかないとな。


「これ1人1本な」


 テーブルに6本のワインをだす。


「ヒロ、いいの?」

「ああ、ルーミアに魔物の肉をあげた事に何か思うことがあったみたいだからな」


 フィアが聞いてきたので答えるとリュイル達も思う所があるのか俺から視線をそらす。


「そういうわけじゃないんだけど、あの子に何か上げたんだから私も何か欲しかっただけよ」


 横を向きながら答えるフィア。
 別に機嫌が悪かったわけじゃないのか?


「気が利かなくて悪かったな」

「私達も似たようなものだけど」

「ヒロさんなら仕方が無いかなって感じですね」

「そう」


 俺なら仕方が無いとは、どういうこった?


「私達に接するように種族を気にしないってことね」

「だから珍しい事やっているなって感じね」


 リュイル達は俺のことをそんな風に見ていたのか。
 この世界の価値観とずれているんだろうけどさ、多少自分の思うままに行動してもいいよな。
 自分好みのおっぱい美人がいたら仲良くなりたいと思って行動しても。
 後はワインのせいか、いつもより会話の弾んだにぎやかな食事で作った料理はいつも通り残らなかった。
 みんなの機嫌が悪いわけじゃなくて何よりだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号
ファンタジー
過労で倒れて公爵令嬢に転生したものの… 乙女ゲーの悪役令嬢が活躍する原作小説に転生していた。 乙女ゲーの知識?小説の中にある位しか無い! 原作小説?1巻しか読んでない! 暮らしてみたら全然違うし、前世の知識はあてにならない。 だったら我が道を行くしかないじゃない? 両親と5人のイケメン兄達に溺愛される幼女のほのぼの~殺伐ストーリーです。 本人無自覚人誑しですが、至って平凡に真面目に生きていく…予定。 ※アルファポリス様で書籍化進行中(第16回ファンタジー小説大賞で、癒し系ほっこり賞受賞しました) ※残虐シーンは控えめの描写です ※カクヨム、小説家になろうでも公開中です

【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎

sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。 遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら 自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に スカウトされて異世界召喚に応じる。 その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に 第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に かまい倒されながら癒し子任務をする話。 時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。 初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。 2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

生徒会補佐様は平凡を望む

BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢ 『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』 南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。 本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。

私は逃げます

恵葉
ファンタジー
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。 そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。 貴族のあれやこれやなんて、構っていられません! 今度こそ好きなように生きます!

八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!

異世界隠密冒険記

リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。 人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。 ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。 黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。 その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。 冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。 現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。 改稿を始めました。 以前より読みやすくなっているはずです。 第一部完結しました。第二部完結しました。

処理中です...