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第五話 果物がご飯☆

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大亀アルトと○や×を使った会話でリーフィとの情報交換を終えた彼女はまたツルに覆われて眠り始める。


『アルトどうだった?』
『主人大変だ。お嬢さん念話を教わる前、さらに親や兄弟に出会ってすらないかもしれない』
アルト契約獣からの報告を聞いてメーデル悲鳴のような声をあげる。

『なんですって?!』
「え、なになに?どしたん」
『……どうしたのですか。』
その反応に、保護した2人が不安そうに窺うと真剣な顔で迫られた。

『……あなた達が保護する前って、他に見なかった?リーフィは!』
『い、いや。あの子は一体だけだった。』
メーデルさんの迫力に負けてマルゼもたじろぎながら答える。

『……あの子、生まれて間もないのに親なしだわ…』
『え…』
「どゆこと?」
『本来ならリーフィは集団行動の種族なの。もしその親や兄弟がその付近に見当たらなかったのであれば…あの子以外の子は…あの子が生まれる前に逃げたか…狩られた後よ…。』
『残念だが、狩られた後の方が濃厚だ…。周りに小さな穴がいくつかあったらしいから…』
『つっ!!』
『メーデル?』
『……狩られた後の方が可能性が高いそうよ…その形跡をあの子自身が知っていたみたい。でもなんの穴かはわからない様子だったと。』
契約獣であれば意思疎通のはかれるスキルが互いにあるというのを学びながら悪魔族のプレイヤーはイベント進行を見守っていた。

『…親がいないリーフィですか…念話は魔物同士の意思疎通にとても大切なものです。それを得るには親から指導のもとでなくてはなりません。』
「え…じゃあ、あいつは?」
『……魔物からのいじめが予測されるわ。他のと合流させるのは危険よ。でも、そんなことはできないし…』
「フィー…?」

なんの話ししてるのー?というかのようにアルトの足元近くに近寄ってきた問題のリーフィ。俺たちが見えたことで警戒心はまだあるようで、アルトとも少し離れた位置で鳴く。

グァグァと話を始めるが、丸とバツを綺麗に作り出すだけの会話しかしていないみたいだ。

『アルト?』
『……この子にお腹が減ったのかと聞いたら、食べるという行為をしなくてはならないのかと言うような反応だった。生まれてから何も食ってないようだ。』
『えぇ?!生まれてから何も?!ありえないわ!光合成だけでは体力もつかない!早くご飯の準備しましょ!考えるのは後!』

『果物類なら今ありますが…』
『本当!何がある?』
『リゴとミーカですね。』
『ミーカにしましょう。身が柔らかい方がいいわ。』

マルゼさんが小さくして差し伸べるがコロコロとツルに包まれて、距離を一気に離される。
『…マルゼでその反応なら…私もダメそうね…』
『私がいく。』
『頼むわね、アルト』

アルトに果物が渡され、軽く咥えたままリーフィに近づいていく。近くに落として、食べることを促している。
食べ物というのもわからないのか、ツルで持ち上げたり落としてみたりしている。食べ方をアルトが教え、それを真似するように小さな口元にそれを寄せる。

「食べた」

食べた瞬間、喜ぶように頭の双葉がぴこぴこ動く様子を見ておもわず動画を撮る。
後で掲示板への報告の中で癒しを提供しよ。
ミーカというみかんに似た果物を食べ終わった後、アルトが慌てて土の山魔法で作りリーフィの前を塞ぐ。どこかに移動しようとしていたリーフィはその土の山を見上げる。

『アルト?』
『森に帰ろうとしたのだ…お前はここに住むのだぞ。』

体を傾け、不思議そうな顔をする。
アルトがしばらく説得し、何か気になるものを新しく見つけさせ、引き止めることに成功したようだ。

『それにしても、人を恐れすぎているわ。自己防衛ができること、比較的穏やかな魔物達と共にさせて、成体に育つまで見守ることとするわ。人には無理に懐かせなくてもいいもの。成体に育ったら自然に返すのが保護協会の方針だから。』

成体になったら自由にさせると聞いて、テイムもできるのかと質問した。

『えぇ、出来ないことはないわ。でも、人との溝が深いから…難しいわよ。』
「ここ、通わせてもらってもいいですか」
『魔物に危害加えないならいつでも出入り可能よ。武器は装備不可だからね。』
「分かってます。」

俺はいつかこの子をテイムしてともに旅をして回りたいと強い意志のもと考えた。
他人に慣れなくてもいいけど、俺には慣れて欲しいな。

儚い希望を抱く悪魔族。叶う時は来るのか…?

目の前の亀さんに森に帰るのはダメだと言われてしまいました。でも、私の行く手を塞ぐために作ったこの山。土属性の魔法ですよね。私も魔法したいです。教わるためにしばらく亀さんをお師匠に頑張りますっ。

甘い果物を食べて元気いっぱいです。何しましょうお師匠さまっ!

はっ!お師匠さまっと女性がお話ししてます。怖い人じゃないのですか?
影から覗きます。
ぱちっと目が合うのは悪魔の顔…

ふええぇ…あなたは嫌いですっ!!
ツルを操ってお師匠様に隠してもらいます。


『……嫌われすぎでしょ』
『彼の場合顔と種族でしょう』
「俺の一番気にしてるところを…」
『まあ、通えば変わると思うけど…』
『スキル指導の合間に行くと良いですよ。』
「ガンバリマス…」

怖い人たちはおかえりになられました。
女性がメーデルさん。お師匠様がアルトさんだという名前でした。

少しの間お世話になりますっ。
そうだ、ステータスに変化はありますか??

【PN】:リリアLv1
【種族】リーフィ(幼生)
【特性】魔法耐性Ⅰ
【スキル】
土いじりⅢ 光合成Ⅱ 跳躍Ⅰ ツルⅢ 危険察知Ⅰ 気配察知Ⅱ 隠密Ⅰ

《ステータス》
HP15
MP15

ATK25
DFE10
DEX31
SPD26
LUK100(固定値)

おや?隠密Ⅰが増えてます。後ステータスも伸びてますね。平均がわからないので比べようがないですが、最初と比べたら強くなってます。
これならあの土壁を壊せるのではっ。
実戦です。
アルトさんが作った壁の近くに行き、ツルで攻撃。
ふおお。砕けました。

『なっ?!』
『ほぅ…』

お師匠様が近づいてくる気配を感じて褒めて欲しくてアピールします。
『よく壊せたな』
◎と?を作り、褒めてくれてるのか聞いてみます。

『嗚呼、よくやった。』
えへへ。

『ちょっと…何教えてるの……』
『保護してきた奴らが師弟関係だった。少し真似しただけだ。この子のステータスを鑑定できるものを呼んでほしい。この子は1人で頑張ったようだ。自己防衛もすぐ覚えるだろう。魔法に興味を持っていたぞっ』
『……あ、アルト?』
『魔法スキルの適正も調べないとな。植物関係だと土と風だとは思うが……』
『……』
『そうだ!魔物の世界といえば弱肉強食だ。意思疎通が出来ないからといっていじめられると確定するのは早いかもしれんな。他のものにも挨拶させてこよう』
『待ちなさい!』
『む。』
『師弟関係を持ちたがってたのは分かったから…落ち着いて。ほらその子はまだ生まれたばかりなのよ。お昼寝させないと。』

『おや…眠いのか』

う、先程もログインしてすぐに寝てしまったのに申し訳ない。初日はあんなに動けてたのは身の危険を察知しての警戒で力が入ってたからのようです。幼生でゲーム世界では生まれたばかりだもの…体力ないのにそんな長い時間動けません。
アルト師匠のそばは涼しげな風が流れてきます。甲羅もひんやり冷たく、日向ぼっこも最適な環境。擦り寄りながらウトウト…

電撃が体を貫通したような感覚に襲われた大亀アルトと何かを察したメーデル。

『ーー!!』
『あー…アルトさん?』
『主人、この子の世話は私がやるぞっ。巣に持ち帰っていいかっ!』

完全に心が堕ちている契約獣の様子を見て呆れるしかしこれを利用して健康診断などを終わらせてしまおうと計画した。

『……巣はだめ。健康診断とか眠ってる間に済ませてしまいましょう。ステータス鑑定も。だから、背中に乗せて眠らせてあげて。』
『うむっ!!』

師匠に背中に乗れるかと言われました。
至福の場所に乗っていいんですかっ!乗らせてくださいっ。
ツルでしっかりひっついて、落ちないように固定…


『移動はできるようにしないと健康診断とか出来ないわ。ツルで包まないで眠れるかしら?』
『ふむ…ならば、リーフィ。』

むむ、にゃんですか~
ひんやりとした背中にマイナスイオンでも発生させているのかと癒されながら微睡に浸るところに声をかけられ力の抜けたような声で返事を返した。

「フィ~…?」
『……やっぱり連れ帰っ』
『絆されないのっ!ほら、首につかまるようにツタを引っかけるだけでいいって伝えて。』

メーデルさんがツタで丸まってほしくないようなので、アルトさんの甲羅の上にツタを伸ばし登って、ツタを首に引っ掛けてバランスをとりつつお眠状態になります。

『…あら、人の言葉も理解できてるのね。』
『落ちないように気をつけねば…』
「フィ~」
ネムネムモードでございます…
すやすや…
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