57 / 66
57婚礼
しおりを挟む
真夜中近く、ルーナルーナは緊張した面持ちで鏡と向き合っていた。すっかり体内時計がダンクネス仕様に落ち着いているので、眠気はない。
「お綺麗ですわ!」
「正直、見違えたかもしれない」
レアやコメット達が前日から磨き上げたルーナルーナは、今、この国で最も美しい姫になっている。
闇の女神への信仰が厚いダンクネス王国では、百回以上も繰り返して染め上げた漆黒のキモノが婚礼の衣装となる。ルーナルーナはその上に施された金や銀の繊細かつ大胆な刺繍を指でなぞった。
(このキモノ一着で、私のお給料何ヶ月……いえ、何年分が飛ぶのかしら)
根っからの庶民であるルーナルーナには、まだ式が始まってもいないのに体がカチカチになっている。せめて、汚さないようにしなければと心に念じていた。
「肌の色を変えると、こんなに印象が変わるものなのね」
侍女がルーナルーナの髪を結い上げる仕上げをいている間、レアは惚れ惚れとしながら感嘆のため息をついた。
今日のルーナルーナは魔法で肌の色を白く変えている。これら、闇の女神ルナと同じ姿。式に集まった国中の貴族達に見せることで、彼女を本物の女神の化身である姫巫女であることを印象付ける手筈となっている。
「さ、できあがったわ! 奴らの驚いた顔を見るのが今から楽しみね!」
レアの声は弾む。実はルーナルーナ、ダンクネス王国に入って以来、まだ一度も貴族達が集う公の席には出向いていない。サニーが嫌がって止めているためだ。ルーナルーナは心象が悪くなるのではと不安がっていたが、レアからすれば、ルーナルーナの美しさはサニーの社交カードの一枚ともなるので、それで良いと考えている。
コメットはルーナルーナの顔を覗き込んだ。
「ルナ、花嫁がそんなに硬い表情じゃ、望んていない結婚だと思われちゃうわよ?」
「え……それは、いけないわ!」
「だったら、ちゃんとにっこりしておかないとね。今日のルーナルーナは、誰よりも美しいのだから。ほら、胸張って!」
ルーナルーナは、ようやく笑うことができた。
リングは、そわそわしながら与えられた席に座っていた。隣にはジークが座っている。ここは王城敷地内にある庭園。闇の女神は天におわすと言われているので、婚姻の儀式は野外で行われるのだ。
魔法で制御された白い光の玉がいくつも浮かび上がり、前方の大舞台を照らし出している。ここは、日頃であればダンクネス王国伝統の踊りが披露される舞台でもある。その広くて豪華な高座に座っているのが、王子の正装に見を包んだサニーと、花嫁衣裳を着たルーナルーナだ。
リングの席からはルーナルーナの表情までもがよく見える。さらには、華美になりすぎない程度の印象を保ちつつ、贅を尽くした会場の手の込み用も。
(彼女は、確かに愛されている)
リングは、そう自分に言い聞かせることしかできなかった。ジーク以外はシャンデル王家の人間が世界を渡ることができないので、リングはいわゆる国の名代としてここに座している。
ルーナルーナと出会ってからのことを振り返ると、自然とさまざまな感情が溢れ出てくる。それは、キプルジャムのような甘酸っぱさ。秘めたる味だ。
(もし彼女が姫ではなく侍女のままであれば……)
リングは、シャンデル王国を発つ前にレイナスと会った時のことをふと思い出した。本来は、王子側近のリングよりも宰相の方が格が上。婚儀への出席を促したのだが、レイナスの答えはすげないものだった。
「フラレた相手の婚儀へ平静な顔して出られる程、私は厚顔ではないのだよ」
しかしその顔を見れば、本音はしっかりと伝わってくる。レイナスとて、ルーナルーナの勇姿とも呼べる花嫁姿は一目でも見てみたかっただろう。例え、それを許さない人がいたり、隠された想いが実を結ぶことが決して無くとも。リングにはレイナスの気持ちが痛いぐらいに理解することができた。
(そう考えると、この晴れ姿を目にすることができるのは、役得以上の僥倖だな)
最近のリングの実家には、彼の業績や手腕が高評価をし始めた家々から合い話が殺到している。そろそろ結婚しろと両親も煩く言うのだが、リングの初恋と失恋はまだまだ長く尾を引きそうだ。
クロノスの言葉の後にダンクネス王国の重鎮からの挨拶、ジークの挨拶が終わると、いよいよライナの登場である。ライナはサニーとルーナルーナの前に進み出ると長い祝詞を唱え、女神の祝福と呼ばれる聖魔法で生み出した金色の玉を二人に授ける。その後は主役二人が盃で祝の酒に口をつけ、いよいよ儀式はクライマックスを迎えた。
まず、サニーが自分の魔力を掌に集中させて、光る青い玉を作る。続いてルーナルーナも同じように魔力で赤い玉を作ると、お互いに向き合って掌をそっと重ねた。
魔力がぶつかる。
二つの光がせめぎ合って螺旋のように互いを絡みとって一つの光になった。それは、王族を象徴する紫。後は、この新たに生まれた光を天に放つことで、結婚の誓いと女神への感謝を示すことになっているのだが、異変が起きた。
「熱いっ」
「ルーナルーナ?!」
ルーナルーナの胸元が突然白く光り始める。サニーがルーナルーナのキモノ胸元を少し緩めると、なんと姫巫女の証が白い強烈な光を放っていた。その光は徐々に一本の線に集約される。まるで天を貫くレーザービームのよう。
誰も見たことがない景色。静まり返る儀式の場。
その時、ルーナルーナから放たれた光に返事をするかのように、白いスポットライトのような柔らかな光と金色のスパークルがサニーとルーナルーナの上に降り注いだ。
「女神の奇跡だ……」
「これこそが、真の祝福だ!」
「姫巫女の力だ……」
「長く生きてきたが、こんなことは見たことも聞いたこともない」
集まった面々からは驚愕の声が次々とあがって、それに拍手が加わっていく。二人を中心に騒めきが小波のように広がり、ついに、その音は地面が揺れ動かす程の大きさになっていった。
こうしてダンクネス王国は、サニーとルーナルーナの婚姻を心から祝福した。
婚姻の儀式の後は披露宴である。
ここでは、先程の軌跡に腰を抜かした貴族達も直々にルーナルーナと口を交わすことが許されていた。だが、再び現れたルーナルーナの肌は黒くなり、女神の祝福を得たための変化だという都合の良い解釈があっという間に広がってしまう。サニーの頑なな防衛も手伝って、ルーナルーナは簡単に声をかけることもできないぐらいの聖なる姫巫女として、ただただ崇め奉られる存在となっていた。
披露宴が終わると、すっかり空は白み始めていた。ダンクネス王国における夜の本格的な始まりである。
ルーナルーナはコメットに無理やり着せられた透けそうな程に薄い生地の夜着を纒い、新しく設けられた二人の寝室でサニーの訪れを待っていた。
ここからは、コメットやレアに言われずとも、ルーナルーナにとっては勝負の刻である。
「お綺麗ですわ!」
「正直、見違えたかもしれない」
レアやコメット達が前日から磨き上げたルーナルーナは、今、この国で最も美しい姫になっている。
闇の女神への信仰が厚いダンクネス王国では、百回以上も繰り返して染め上げた漆黒のキモノが婚礼の衣装となる。ルーナルーナはその上に施された金や銀の繊細かつ大胆な刺繍を指でなぞった。
(このキモノ一着で、私のお給料何ヶ月……いえ、何年分が飛ぶのかしら)
根っからの庶民であるルーナルーナには、まだ式が始まってもいないのに体がカチカチになっている。せめて、汚さないようにしなければと心に念じていた。
「肌の色を変えると、こんなに印象が変わるものなのね」
侍女がルーナルーナの髪を結い上げる仕上げをいている間、レアは惚れ惚れとしながら感嘆のため息をついた。
今日のルーナルーナは魔法で肌の色を白く変えている。これら、闇の女神ルナと同じ姿。式に集まった国中の貴族達に見せることで、彼女を本物の女神の化身である姫巫女であることを印象付ける手筈となっている。
「さ、できあがったわ! 奴らの驚いた顔を見るのが今から楽しみね!」
レアの声は弾む。実はルーナルーナ、ダンクネス王国に入って以来、まだ一度も貴族達が集う公の席には出向いていない。サニーが嫌がって止めているためだ。ルーナルーナは心象が悪くなるのではと不安がっていたが、レアからすれば、ルーナルーナの美しさはサニーの社交カードの一枚ともなるので、それで良いと考えている。
コメットはルーナルーナの顔を覗き込んだ。
「ルナ、花嫁がそんなに硬い表情じゃ、望んていない結婚だと思われちゃうわよ?」
「え……それは、いけないわ!」
「だったら、ちゃんとにっこりしておかないとね。今日のルーナルーナは、誰よりも美しいのだから。ほら、胸張って!」
ルーナルーナは、ようやく笑うことができた。
リングは、そわそわしながら与えられた席に座っていた。隣にはジークが座っている。ここは王城敷地内にある庭園。闇の女神は天におわすと言われているので、婚姻の儀式は野外で行われるのだ。
魔法で制御された白い光の玉がいくつも浮かび上がり、前方の大舞台を照らし出している。ここは、日頃であればダンクネス王国伝統の踊りが披露される舞台でもある。その広くて豪華な高座に座っているのが、王子の正装に見を包んだサニーと、花嫁衣裳を着たルーナルーナだ。
リングの席からはルーナルーナの表情までもがよく見える。さらには、華美になりすぎない程度の印象を保ちつつ、贅を尽くした会場の手の込み用も。
(彼女は、確かに愛されている)
リングは、そう自分に言い聞かせることしかできなかった。ジーク以外はシャンデル王家の人間が世界を渡ることができないので、リングはいわゆる国の名代としてここに座している。
ルーナルーナと出会ってからのことを振り返ると、自然とさまざまな感情が溢れ出てくる。それは、キプルジャムのような甘酸っぱさ。秘めたる味だ。
(もし彼女が姫ではなく侍女のままであれば……)
リングは、シャンデル王国を発つ前にレイナスと会った時のことをふと思い出した。本来は、王子側近のリングよりも宰相の方が格が上。婚儀への出席を促したのだが、レイナスの答えはすげないものだった。
「フラレた相手の婚儀へ平静な顔して出られる程、私は厚顔ではないのだよ」
しかしその顔を見れば、本音はしっかりと伝わってくる。レイナスとて、ルーナルーナの勇姿とも呼べる花嫁姿は一目でも見てみたかっただろう。例え、それを許さない人がいたり、隠された想いが実を結ぶことが決して無くとも。リングにはレイナスの気持ちが痛いぐらいに理解することができた。
(そう考えると、この晴れ姿を目にすることができるのは、役得以上の僥倖だな)
最近のリングの実家には、彼の業績や手腕が高評価をし始めた家々から合い話が殺到している。そろそろ結婚しろと両親も煩く言うのだが、リングの初恋と失恋はまだまだ長く尾を引きそうだ。
クロノスの言葉の後にダンクネス王国の重鎮からの挨拶、ジークの挨拶が終わると、いよいよライナの登場である。ライナはサニーとルーナルーナの前に進み出ると長い祝詞を唱え、女神の祝福と呼ばれる聖魔法で生み出した金色の玉を二人に授ける。その後は主役二人が盃で祝の酒に口をつけ、いよいよ儀式はクライマックスを迎えた。
まず、サニーが自分の魔力を掌に集中させて、光る青い玉を作る。続いてルーナルーナも同じように魔力で赤い玉を作ると、お互いに向き合って掌をそっと重ねた。
魔力がぶつかる。
二つの光がせめぎ合って螺旋のように互いを絡みとって一つの光になった。それは、王族を象徴する紫。後は、この新たに生まれた光を天に放つことで、結婚の誓いと女神への感謝を示すことになっているのだが、異変が起きた。
「熱いっ」
「ルーナルーナ?!」
ルーナルーナの胸元が突然白く光り始める。サニーがルーナルーナのキモノ胸元を少し緩めると、なんと姫巫女の証が白い強烈な光を放っていた。その光は徐々に一本の線に集約される。まるで天を貫くレーザービームのよう。
誰も見たことがない景色。静まり返る儀式の場。
その時、ルーナルーナから放たれた光に返事をするかのように、白いスポットライトのような柔らかな光と金色のスパークルがサニーとルーナルーナの上に降り注いだ。
「女神の奇跡だ……」
「これこそが、真の祝福だ!」
「姫巫女の力だ……」
「長く生きてきたが、こんなことは見たことも聞いたこともない」
集まった面々からは驚愕の声が次々とあがって、それに拍手が加わっていく。二人を中心に騒めきが小波のように広がり、ついに、その音は地面が揺れ動かす程の大きさになっていった。
こうしてダンクネス王国は、サニーとルーナルーナの婚姻を心から祝福した。
婚姻の儀式の後は披露宴である。
ここでは、先程の軌跡に腰を抜かした貴族達も直々にルーナルーナと口を交わすことが許されていた。だが、再び現れたルーナルーナの肌は黒くなり、女神の祝福を得たための変化だという都合の良い解釈があっという間に広がってしまう。サニーの頑なな防衛も手伝って、ルーナルーナは簡単に声をかけることもできないぐらいの聖なる姫巫女として、ただただ崇め奉られる存在となっていた。
披露宴が終わると、すっかり空は白み始めていた。ダンクネス王国における夜の本格的な始まりである。
ルーナルーナはコメットに無理やり着せられた透けそうな程に薄い生地の夜着を纒い、新しく設けられた二人の寝室でサニーの訪れを待っていた。
ここからは、コメットやレアに言われずとも、ルーナルーナにとっては勝負の刻である。
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
玉の輿にもほどがある!
市尾彩佳
恋愛
親に玉の輿狙ってこいと言われ王城に放り込まれて侍女になった女の子が、狙ってたよりずっと上の身分の人物に求婚され迷惑を被る話。アルファポリスさんから書籍化していただいた「これがわたしの旦那さま」のスピンオフにして続編でもあります。これまでの事情を簡単に差し挟んでますので、今作単体でもお読みいただけると思います。自ブログに掲載していたもの(現在は非公開)を、少しだけ手直しして転載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる