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お手紙⑤
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公威さんからは何の連絡もない中、12月に入ってすぐの日に、合原家から丁寧な書状が届いた。
合原家は、うちの商売を引き継いでいるが、それは大枚払って買い取ってくれたわけである。そして、それとは別に毎年、収益金という名目で、過分なほどのお金も我が家に振り込まれてくる。
その件で何かあったのだろうか、と思いきや、手紙は公威さんに関するものだった。
公威さんは現在、病気で公務を休んでおり、私との縁談を一旦白紙に戻してほしい、とのことであった。
先に手紙を読んだ母は、こっそり私を呼んで無言で手紙を渡してきた。
読んだ私も、黙って母の顔を見る。驚きで、手紙を持つ指先が冷たく感じられるほどであったのだが。
母は首を振って、
「仕方ありませんね。ご連絡してくれただけ、よしとしましょう」
そう言うが、その声は悲痛な響きを伴うものであった。
それから母は、家族全員を集めて手紙の説明をした。母が話し合えるや否や、律子が叫ぶ。
「お母様、仕方ないなんて、そんな悠長な! 白紙に戻すって、どういうこと? 陸軍省からは、『無事なので、ご心配なく』って、お返事だったわよね? 実際は、公威様は重篤なご病気だったということ?」
律子の体は、小刻みに震えている。
「りっちゃん、落ち着いて。お手紙の末尾に、近々公威様ご自身から説明させてもらいますってあるわ。やはり、私は待つしかないみたいね」
そう言いながら、私は頭がぼうっとして、自分の声が遠くから聞こえてくるみたいな、不思議な感覚を覚えていたのだ。
合原家は、うちの商売を引き継いでいるが、それは大枚払って買い取ってくれたわけである。そして、それとは別に毎年、収益金という名目で、過分なほどのお金も我が家に振り込まれてくる。
その件で何かあったのだろうか、と思いきや、手紙は公威さんに関するものだった。
公威さんは現在、病気で公務を休んでおり、私との縁談を一旦白紙に戻してほしい、とのことであった。
先に手紙を読んだ母は、こっそり私を呼んで無言で手紙を渡してきた。
読んだ私も、黙って母の顔を見る。驚きで、手紙を持つ指先が冷たく感じられるほどであったのだが。
母は首を振って、
「仕方ありませんね。ご連絡してくれただけ、よしとしましょう」
そう言うが、その声は悲痛な響きを伴うものであった。
それから母は、家族全員を集めて手紙の説明をした。母が話し合えるや否や、律子が叫ぶ。
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律子の体は、小刻みに震えている。
「りっちゃん、落ち着いて。お手紙の末尾に、近々公威様ご自身から説明させてもらいますってあるわ。やはり、私は待つしかないみたいね」
そう言いながら、私は頭がぼうっとして、自分の声が遠くから聞こえてくるみたいな、不思議な感覚を覚えていたのだ。
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