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粋なお姐さん方

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「こんにちは」
 私は軽く頭を下げたものの、そのあとの言葉が続かない。久しぶりというほどではないから、なんと言えばいいのだろう。

「奇遇ですね、梅見うめみですか?」
「はい、公威様は?」
 公威さんは、ちらりと背後に目線をさまよわせた。
「この人たちに誘われて、梅を観に来たのですが」

「合原様、こちらのお嬢様方は?」
 三人いる芸者さんのうち、一番年嵩としかさらしき人が、微笑んで膝を折る屈んだ姿勢の挨拶をしてくれた。

 その仕草も立ち姿もいきで美しくて、圧倒される思いがした。
 私と律子、今西さんも慌ててお辞儀をする。

「見てわからないか? 正真正銘のお嬢様たちだ」
 公威さんはそう言ってから、わざとらしく咳払いをした。

「そんなことはわかってますよ。そうじゃなくて、どちらのお嬢様? って伺ってるんですよ」
ねえさん方に紹介しても仕方ないだろ」
「まあ、憎たらしい! わかりました、大事なお人ってことですね。無粋でござんした」

 芸者さんは悪戯っぽい目で公威さまを見ているので、きつい言葉ほどには怒っていないのだろう。
 私は、彼女と公威さんが親しげな雰囲気を漂わせているのが気になった。

「とにかく、今日はこれで」
 きっぱりと言う公威さんに、芸者さんたちは顔を見合わせて苦笑している。

 さっきの芸者さんが、
「お嬢様方、ごゆっくり」
 と言うと、三人揃ってお辞儀して、私たちの横をすり抜けて行った。彼女たちは、天満宮の境内に入って行った。

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