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初詣の帰り道①

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 女だけで迎える正月は、何と形容したらいいのだろう。気楽ではあるけれど、どこかぴりっとしないような、寂しいような。

 本当なら私は今頃、合原家で新年を迎えていたのだ。でも、父が元気でいてくれたら、合原家との縁談は無かったかもしれないし。

「人生って、簡単に様子が変わっちゃうものなのね」
「どうしたの? 急に」

 律子と近くの神社にお参りに行った帰り、私はふと思ったことを口にした。私のいけないところなのだが、あれこれ考えていたことを、会話の流れを無視して言ってしまうことがよくある。

『言われたほうは、突然何を言い出すのって戸惑うわよ』と、母はいつも苦笑するのだが、私は黙っていられないたちなのだ。

「ごめんね。ここしばらくのことを振り返っていたら、なんだか悲しくなっちゃって」

「元気出してよ、お姉様。お姉様は何も悪くないじゃない。そもそも、お父様が亡くなられて一年しか経っていないうえ、学業もまだ残っていたのに結婚するなんて。早すぎたんだと思えばいいじゃない」

 律子に慰められ、私はなんとなく嬉しくなる。
「どっちがお姉さんかわからないわね。りっちゃんは本当にしっかりしてるわ」

「とんでもない! 私は口だけよ。お姉様みたいに決断できたかどうか。いざとなると、ぐずぐずして何も出来ない人なの」

 道の向こう側に、幸せそうなご家族がこちらに向かって歩いてくるのが目に入った。
 先頭にいた晴れ着姿のお嬢さんは、同級生の藤崎頼子さんだった。

「文子さま!」
「頼子さま! あけましておめでとうございます」

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