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第九章 夏季休業
エーデル王国での買い物(4)
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「えへへ、どうかな?」
恥ずかしそうにはにかむマリアはその場で軽く回って皆に意見を求めた。
膝上までの紺色のプリーツスカートは裾の部分にだけ淡い緑色の糸でラインが入っている。だがそれは近くでよく見れば蔓草の刺繍であることがわかる。
太腿の半ばまで覆う黒いニーハイソックスは、淡い緑のリボン飾りが付いており、さり気ない可愛らしさがある。
肘までの七分袖の白いブラウスは薄手の生地で作られており、暑苦しさを感じさせない。ふわりと広がった袖口とゆったりとした襟元には、深緑の糸でスカートと同じように蔓草模様の刺繍が施され、襟元の方には黄緑色の紐で編み上げられている。
いつも右で括っている髪は三つ編みにされ、深緑の紐が編み込まれている。ほとんど髪型は変わっていないにも拘わらず、それだけでだいぶ印象が変わる。
素肌はさほど晒していないにも拘わらず、全体的にゆったりとしたデザインのためか見る者に涼し気な印象を与えていた。
「……なんで髪の毛を編んだんだ?」
アルフォード散々言葉に迷ったが、結局そんな言葉が口から出た。
「ん~、なんとなく。偶には良いでしょ? それともおかしい?」
「……そんなことはないが。なかなか似合ってるぞ」
「ふふふ、ありがとう」
頭を軽く撫でられ、マリアは嬉しそうに笑う。
「……どうせ何着か買うんだろ? 次は俺が選んでやるよ」
「えっ? ギルガルドさんが?」
対向意識を燃やしたのか、ギルガルドはそう言って店内を見回すと、真剣な眼差しで服を選びだした。強面な男が子どもの服を選ぶ様はある種の異常な空気を醸し出していた。
「ギルばっかりはズルいぞ」
「そうだそうだ。俺らも選ぶからな」
マリアは想定外の展開に唖然とする。
「え~、なんでそうなるの?」
その言葉は服選びに情熱を燃やしている男たちには届かない。
「どれ。1つ儂も選んでみるか」
「……おじいちゃんまで!?」
マリアは体から力が抜けるのを感じた。そしてその場に座り込んでしまう。
「……随分と皆さんに愛されてますね」
その様子を見ながら、店員はどこか楽しそうに笑っていた。
「……否定はできませんけど、お金を払うのは私なんですよね」
いったいいくらかかるのかと溜息を吐く。マリアの中に買わないという選択肢はなかった。
「まあ、偶にだったらこういうのも楽しいですけどね」
そう言って笑い、元の服に着替え直すと、デザインよりも動きやすさ重視で自分の服を選びだした。
恥ずかしそうにはにかむマリアはその場で軽く回って皆に意見を求めた。
膝上までの紺色のプリーツスカートは裾の部分にだけ淡い緑色の糸でラインが入っている。だがそれは近くでよく見れば蔓草の刺繍であることがわかる。
太腿の半ばまで覆う黒いニーハイソックスは、淡い緑のリボン飾りが付いており、さり気ない可愛らしさがある。
肘までの七分袖の白いブラウスは薄手の生地で作られており、暑苦しさを感じさせない。ふわりと広がった袖口とゆったりとした襟元には、深緑の糸でスカートと同じように蔓草模様の刺繍が施され、襟元の方には黄緑色の紐で編み上げられている。
いつも右で括っている髪は三つ編みにされ、深緑の紐が編み込まれている。ほとんど髪型は変わっていないにも拘わらず、それだけでだいぶ印象が変わる。
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「……なんで髪の毛を編んだんだ?」
アルフォード散々言葉に迷ったが、結局そんな言葉が口から出た。
「ん~、なんとなく。偶には良いでしょ? それともおかしい?」
「……そんなことはないが。なかなか似合ってるぞ」
「ふふふ、ありがとう」
頭を軽く撫でられ、マリアは嬉しそうに笑う。
「……どうせ何着か買うんだろ? 次は俺が選んでやるよ」
「えっ? ギルガルドさんが?」
対向意識を燃やしたのか、ギルガルドはそう言って店内を見回すと、真剣な眼差しで服を選びだした。強面な男が子どもの服を選ぶ様はある種の異常な空気を醸し出していた。
「ギルばっかりはズルいぞ」
「そうだそうだ。俺らも選ぶからな」
マリアは想定外の展開に唖然とする。
「え~、なんでそうなるの?」
その言葉は服選びに情熱を燃やしている男たちには届かない。
「どれ。1つ儂も選んでみるか」
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「……否定はできませんけど、お金を払うのは私なんですよね」
いったいいくらかかるのかと溜息を吐く。マリアの中に買わないという選択肢はなかった。
「まあ、偶にだったらこういうのも楽しいですけどね」
そう言って笑い、元の服に着替え直すと、デザインよりも動きやすさ重視で自分の服を選びだした。
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