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第五章 エイセルの街
マリア&グレンの場合(3)
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2人は雑貨屋で金色の蝶々と蒼い薔薇の花を模したバレッタと服屋で何着か新しい服を買うと、段々と人気のない方に歩いていった。
そして薄暗い路地の横を通り過ぎた時、突如後ろから羽交い絞めにされた。口を抑えられているため、大声を出したくても出せない。
マリアとグレンは必死に抵抗して見せた。
「怪我をしたくなかったら大人しくしろ!そこの坊主もこの嬢ちゃんに怪我をさせたくなかったら暴れるのを止めろ!」
それを聞いてマリアは、諦めた振りをした。グレンもそれを見て大人しくなった。
人攫いたちはまず2人の両手両足を縛ると、薄汚れた麻袋の中に一人ずつ放り込んで口を縛った。
「動いたら殺す。死にたくなければ決して動くんじゃねぇ。良いな?」
それだけ言うと、袋を担ぎ上げ、何食わぬ顔で歩き出した。
その一連の様子を見ていた者たちがいた。その者たちは男たちが立ち去ると、慌てたようにどこかに走っていった。
マリアたちが袋から出されたのは、薄暗い狭い部屋だった。
男たちは袋から2人を出すと、手足のロープはそのままにして部屋から出ていった。
マリアは首を巡らして辺りの様子を観察した。窓は上の方に小さい明かり取りのものがあるだけで、到底そこから出れる大きさではなかった。そもそも普通ならそこに手すら届かないだろう。ドアは一か所だけで、外で見張っている者がいるようだ。すぐ隣にはグレンも同じように放置されていた。それだけでなく、他にも10歳前後の子供たちが6人ほどいた。
「あなたたちも捕まっちゃったの?」
マリアの視線に気がついたのか、マリアよりも1つ2つ上の少女がそう尋ねてきた。
「う~ん、そういうことになるのかな?」
幸い口は塞がれておらず、話すことだけはできた。その気になれば魔術が使えることに、マリアは内心ホッと息を吐いた。
「なんでそんなに落ち着いているのよ!私たちこのままじゃ売られちゃうのよ!」
攫われてきたというのに、妙に落ち着いているマリアに、少女は苛立たし気に叫んだ。
「うるせぇ!静かにしろ!」
外から怒鳴られ、少女は体をビクつかせた。
「う~ん、なんて言えば良いと思う?グレン」
「僕に訊くなよ」
マリアとグレンはそんなことは些細なことのように気にせず、話していた。どこまでもマイペースな2人だった。
そして薄暗い路地の横を通り過ぎた時、突如後ろから羽交い絞めにされた。口を抑えられているため、大声を出したくても出せない。
マリアとグレンは必死に抵抗して見せた。
「怪我をしたくなかったら大人しくしろ!そこの坊主もこの嬢ちゃんに怪我をさせたくなかったら暴れるのを止めろ!」
それを聞いてマリアは、諦めた振りをした。グレンもそれを見て大人しくなった。
人攫いたちはまず2人の両手両足を縛ると、薄汚れた麻袋の中に一人ずつ放り込んで口を縛った。
「動いたら殺す。死にたくなければ決して動くんじゃねぇ。良いな?」
それだけ言うと、袋を担ぎ上げ、何食わぬ顔で歩き出した。
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マリアたちが袋から出されたのは、薄暗い狭い部屋だった。
男たちは袋から2人を出すと、手足のロープはそのままにして部屋から出ていった。
マリアは首を巡らして辺りの様子を観察した。窓は上の方に小さい明かり取りのものがあるだけで、到底そこから出れる大きさではなかった。そもそも普通ならそこに手すら届かないだろう。ドアは一か所だけで、外で見張っている者がいるようだ。すぐ隣にはグレンも同じように放置されていた。それだけでなく、他にも10歳前後の子供たちが6人ほどいた。
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「う~ん、そういうことになるのかな?」
幸い口は塞がれておらず、話すことだけはできた。その気になれば魔術が使えることに、マリアは内心ホッと息を吐いた。
「なんでそんなに落ち着いているのよ!私たちこのままじゃ売られちゃうのよ!」
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「うるせぇ!静かにしろ!」
外から怒鳴られ、少女は体をビクつかせた。
「う~ん、なんて言えば良いと思う?グレン」
「僕に訊くなよ」
マリアとグレンはそんなことは些細なことのように気にせず、話していた。どこまでもマイペースな2人だった。
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