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第三.五章

冒険者の証言(1)

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この章は、第三章と第四章にあったことを人々の証言形式でお送りします。聞き役は第四章の旅の中盤頃に登場するとある人物です。

☆★☆★☆

王都のとあるCランク冒険者の話

 あれは春のことだった。日差しが暖かく、過ごしやすい日だったことを覚えている。
 その日俺が長期間かかる依頼を終わらせ、ギルドに入るとまだ若いパーティがいた。
 俺が驚いたのはそいつらが受け取った金額だ。俺は耳を疑ったね。報酬が全員分合わせて金貨10枚以上だと言うんだぜ?だが、周りの奴らは平然としていた。さもそれが当然と言わんばかりにな。
 俺は近くの奴に訊いた。あいつらは何者だとな。
 帰ってきた返答は登録したばかりの新米冒険者で、いつも金貨10枚以上稼いでくるというものだった。それ以外は不明だとな。
 俺が知っている情報はそれだけだ。

◇◆◇

王都のとあるFランク冒険者の話

 あいつらについて?同じ人間だとは到底思えないね。あいつら登録初日にゴブリンの村、丸々一つ壊滅させたんだぞ。お陰で最近じゃゴブリンの数が減ってこちとらその日の食うものにも困ってんだよ!もうほっといてくれ!

◇◆◇

王都のとあるEランク冒険者の話

 俺が知っていることは少ないぞ。
 あいつらは毎日100匹単位で魔物を狩ってきて一日の稼ぎは金貨10枚を超えるらしい。羨ましいことだね。
 登録したその日のうちにGランク。これはそこまで珍しいことじゃない。問題は1週間もしないうちにギルマス権限で無試験でFランクに上がったことだ。普通じゃありえないね。不正をしているんじゃないかって噂もある。ただ、あいつらの後を追っていった奴らが青い顔をして帰ってきたから不正はないと思うぞ。
 後は、そうだな。あいつら金を持っているからその見た目で絡んだ奴らがいたんだよ。そいつら全員瞬殺だよ。少なくともこのギルドではあいつらに絡むのは御法度になっている。覚えておきな。知らなきゃ潜りと呼ばれるぞ。

◇◆◇

王都のとあるDランク冒険者の話

 俺はいくら強くっても一日に何百体も魔物を倒してくるなんて、絶対何か不正をしていると思ったんだ。だからあの日あいつらを仲間とつけたんだ。
 結論から言おう。あいつらは不正なんかしていねぇ。
 あいつらは異常だよ。特にあの杖を持った女。あいつはおかしい。だって杖を振るっただけで魔物が数メートは軽く飛ぶんだぞ?大型の魔物を投げ飛ばすんだぞ?あの細腕でだ。どこにそんな力があるのか聞きてぇよ!それにちっこい嬢ちゃん。魔術師だ。それもその辺で冒険者をしているような奴らとは比べものになんねぇほど凄腕のな。できることならあの子だけでもうちのクランに入って欲しいぐらいだよ。他の2人も十分規格外だな。
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