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本編

嬉しいな

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「バイヤン会って言う馬鹿デカい組織があってよ。元は小さな自警団だったらしいんだが、今じゃ各地の町や領主の依頼なんかを請けて団員を派遣する雇われ警護団よ」

息継ぎをしてまたヤーゴが話を続ける。

「ここの団員は平均点が高くてね。末端の雑魚でもなかなか良い腕をしてやがる。で、そいつらの中で最も強いと言われてるのが通称五枚看板て言われる5人だ」

ヤーゴは一気に捲し立てた。

「本当に強いのか?」

牛嶋が念をおす。

「かなり強いね。俺の知る限り文句無くブッチギリで最強だと思う。はっきり言って身体能力が人間じゃない。怪しげな魔法も使うと噂だし、そんなのが5人も居るんだ。反則だよ」

「そうか……」
「そうか、とか言っちゃって。旦那、口許が緩んでるぜ」

唯桜に言われて牛嶋は自分の口を手で擦った。

「まあ、旦那の楽しみは知ってるし、邪魔するつもりも奪うつもりもねぇよ」

唯桜が言った。
ヤーゴの話は続く。

「そいつら普段は自分の組を束ねて各地で各々やってるんだが、ごく稀に上からの特別な命令があると集結するんだ。組織の力を示すデモンストレーションみたいな意味があるんだろうが、こっちは堪ったもんじゃねえ」

だが、とヤーゴは言った。

「こっちにゃアンタらがいる。俺の見たところアンタらも負けてないね。まあ5対3なのは数的に不利だがそれは仕方ねえ、なぁに肝心なところで奴らを抑えてくれりゃそれで良いんだ。何も正面切ってやり合うこたぁねえ」

そう言ってヤーゴは握り締めた手に力を込めた。

「なるほどねぇ、殿が俺らの仕事って事か」

唯桜が納得したように一人頷く。
美紅は興味無さげに一人ベッドに横になっていた。

「まあ、良いだろ。で……」

唯桜がヤーゴの顔に自分の顔を近付ける。

「お前達は何をやらかそうってんだ?  そんな凄腕5人もあてがわれてよ」

唯桜が言った。

「奴らが来るのはたまたまみたいなモンさ。さっきも行ったように組織の上の連中が力の誇示の為に時々やるのさ」

ヤーゴが答えた。

「だとしてもだ。わざわざスーパースターを集結させといて小さな事件だったら向こうも格好付かねえだろ。向こうは向こうで何か掴んでやがる筈だ。でなきゃこの件にそんな奴らを投入しねえよ」

唯桜の指摘にヤーゴが小さなため息をつく。

「まったくアンタにゃ敵わねえ。そうさ、まったくその通りよ。俺らは俺らでこのヤマは絶対失敗出来ねえ。なんたって2年がかりのヤマだからな、向こうも何か掴んでやがるんだろうが、それでも後には引けねえ」

そう言ってヤーゴが立ち上がった。

「明日現場についてきてくれ。見てもらった方が話が早い」
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